今回は「ウェハ」についてです。
1.初めに
わからない用語を調べた際、用語の説明をするために他の用語が出現してくるので結局何を意味するのかわからなくなったという経験はありませんか?
私は結構あります。
特に、業界特有の用語なんてその業界の方は知ってて当たり前のように使用してくるので、全く解読できなかったりします。
残念ながら、本ブログに関しても同じことが言えます。
人それぞれどこまで理解しているかは当然異なってきますので、万人が理解できる記事を書くというのは不可能なのです。
超初心者に合わせて毎回基礎中の基礎から説明してたら本題に入れませんからね。
その対策として、本ブログでは記事中に登場する一部の用語(※よくある青字下線表示をしてある)をクリックすると、別途その用語についてまとめた記事へ移動させるような形式を取っています。
そのまとめ記事の一部が本記事となります。
その為、まとめてある内容は基本中の基本で、『おそらくこんな意味なんだろうな』と理解してもらうのを目的としています。
わかりやすくがモットーです。
なので、難しい言い回しは極力避けますし、形式ばった書き方だと拒否反応が起きる方もいそうなので言葉遣いもゆるゆるにしていきます。
用語の一覧は本ブログトップの「用語集」というボタンから閲覧できるので、他にも気になる用語があったらそこを覗いてみてください。
2.ウェハとは?
ウェハ[wafer]とは、半導体材料の結晶で生成した円盤状の薄い板のことです。
語源はお菓子のウェハースです。
カナ表記の場合、ウエハ・ウェハー・ウエーハという具合に微妙に異なる表記をされていて、どの呼び方が正しいのかは謎です。
『これが正しい!』という決まりは無いようです。
ウェハの半導体材料として使用しているのはほぼシリコンなので、シリコンウェハと呼ぶこともあります。
ウェハは高純度(99.999999999%レベル)の半導体結晶で生成した円柱状のインゴット(金属の塊)を0.5~1.0mm程度の厚さに薄くスライスしてできた円盤で、直径8inch(約20cm)もしくは12inch(約30cm)になっていることが多いです。
このウェハ上に、数ミリ~十数ミリ角程度の範囲で回路パターンを作り込みます。
ウェハ全体を埋めつくすようにビッシリとです。
この回路パターンを作り込んだ一角を1個1個のチップとして切り出したものをダイと呼びます。

このダイを配線用のリードを用意した支持体(基盤に当たる部分)にダイボンダという装置を使用して接着します。
後はワイヤボンダという装置を使用してダイとリードをワイヤで接続し、それを樹脂でできた入れ物・パッケージの中に入れることで半導体チップ、所謂ICが出来上がります。

つまり、ウェハはICの材料なのです。
1つのウェハからいくつものICを作れるわけなので、単純に考えてウェハの直径は大きければ大きいほど生産効率が上がります。
ですが、技術的な問題で直径12inch(約30cm)以上のウェハは普及していません。
未来ではもっと大きいウェハが普通になっているかもしれませんけどね。
ちなみに、ウェハを円盤状にするのにはしっかりと理由があります。
最初から直方体のインゴットを作った方が効率が良いのは自明の理ですが、そうしないのには理由があるのです。
結論から述べると、半導体結晶で直方体のインゴットを作れないのです。
詳しく説明しようとするとどんどん脱線していくので、なるべく簡潔にまとめてみました。
ウェハは、単結晶という結晶軸の方向が変わらない(原子配列の向きが全く同じ)結晶でなければいけません。
結晶軸の方向がバラバラな結晶を多結晶と呼ぶのですが、単結晶の方が材料の持つ特性を発揮します。
もちろん電気的な特性も単結晶の方が顕著に現れるので、ウェハの場合は単結晶でなくてはならないのです。
なのですが、融けたシリコンを四角い容器に入れて結晶を作ろうとすると、容器の縁から熱が逃げて好き勝手に結晶化してしまうので、単結晶は生成できません。
そこで、あらかじめ生成していた小さな単結晶を融けたシリコンに触れさせて少しずつ結晶を成長させて結晶軸を揃えていく方法(チョクラルスキー法という)でインゴットを生成していくのですが、うまく結晶を成長させていくためには均一に回転させる必要があります。
モン○ンで肉を焼くときに一定速度で回すのと道理は同じです。
焼き加減(結晶の成長度合い)を一定にしたいから回転させるのです。
そうすると、必然的に円柱状のインゴットが出来上がるわけです。
3.まとめ
ウェハとは、半導体材料の結晶で生成した円盤状の薄い板のことです。
ICの材料になります。
以上、「ウェハ」についてでした。