今回は「株主になることで得られる権利(議決権・余剰金分配請求権・残余財産分配請求権)と株主総会」についてです。
1.初めに
前回の記事で、株式とは何なのか、実際にどのように購入できるのかなどを大まかにまとめました。
そちらの記事では株式投資をこれから始めたい方向けに噛み砕いて説明していたので、ここからはもう少し踏み込んだ内容についてまとめていきます。
株式投資を始めるだけなら前回の記事だけで事足りますが、実際に投資を考えているなら理解しておくべき内容が色々あるのですよ。
何も考えずに株式投資するのはギャンブルと変わりませんからね。
ということで、今回は株主になることで得られる権利について詳しく解説していこうと思います。
2.株式と株主の関係
一部前回説明した内容の復習になりますが、まずは基本的な部分である株式と株主について解説しておきます。
株式とは企業(会社)が資金を調達するための手段です。
会社の運営にはお金がかかります。
なので、銀行に借りたり、私たちのような一般人から投資(資金提供)を募っています。
そのために用意されている制度が株式です。
一般の方から投資(資金提供)してもらう際、普通に考えて取引をしたという証明になるモノが必要ですよね?
そこで、会社側がオーナーとしての権利を“株式”という形で発行しているという仕組みになっています。
イメージとしては、ある会社に対してあなたが投資(資金提供)しようと取引を持ち掛けて会社側が合意したら、その証明として株式を渡してくるみたいな関係になっていると思ってください。
この株式を購入して保有している人のことを株主と呼びます。
3.株主になることで得られる権利
株式は厳密には会社側がオーナーとしての権利を譲渡しているものなので、株主は株式を保有することにより以下のような権利が得られます。
- 株主総会における議決権
- 余剰金分配請求権
- 残余財産分配請求権
株主総会における議決権
会社の経営に参加する権利です。
経営参加権とも呼ばれます。
株主はオーナーとしての権利を有するので、会社の経営に口を出せるようになります。
議決権を得るということは、株主総会に出席した際に投票できる権利を得るということです。
株主総会とは、株主が集まって会社の重要なことを決める場のことです。
取締役(社長や役員)を選んだり、決算を確認して承認したり、株主への還元割合(後述の配当金)を決めたり、合併・買収などの会社の方向性を大きく左右する決定をしたりする場です。
会社のオーナーたちが集まって、経営陣にGOサインを出したりダメ出ししたりする会議だと思ってください。
会社は社長が運営しているものですけど、実際の持ち主は株主なので、経営陣を監視したり会社の方向性を決めているのは株主なんですよ。
ただ、その影響力は全体に対して何%の株式を保有しているかという持ち株比率によります。
様々な人が株式を購入しているので、より投資(資金提供)をしている人の方がでかい顔ができるという単純な話です。
1万円しか投資していない人と、1億以上投資している人が同じ影響力なわけないでしょう?
持ち株比率と影響力のイメージは以下のようになります。
株主提案権を持てるので、株主総会で取り扱って欲しい議題を会社に提出できます。
また、経営や会計処理が正しいのかを監査している人がいるのですが、その監査役の解任を提案できます。
ちょっとした口出しができる感じですね。
会計帳簿の閲覧請求ができます。
また、取締役の責任追及訴訟(株主代表訴訟)を会社に求めることも可能です。
取締役が何らかの不正をした際には普通は会社が社長に対して損害賠償請求をすべきなのですが、経営陣が身内をかばって動かないというケースがあります。
そんな時に、株主が会社に社長を訴えるように働きかけることができます。
それでも動きがない場合は、株主が代わりに訴訟を起こせます。
仮にこの訴訟で勝った場合、その賠償金は会社に支払われるので、あくまで会社の代わりに動く権利となります。
なので、3%以上の株式を保有していれば、会社の経営の透明性を判断して切り込めるようになるというわけです。
臨時株主総会の招集を請求できます。
一般的な株主総会は定時株主総会と呼ばれ、1年に1回必ず定期的に実施するよう法律で決まっています。
臨時株主総会というのは、定時株主総会とは別に会社が重要な決定をしたい時に随時開催される株主総会のことです。
要するに、大きな決定をしたいからと株主総会を臨時で開くことができるのです。
この辺りになると会社を動かすことができるレベルになってきます。
特別決議(後述)を拒否できます。
定款変更(会社の基本ルール変更)・合併・株式併合など、会社の大きな方針を止められるブレーキ権を持つことができます。
普通決議を単独で通すことができます。
普通決議とは、取締役の選任・解任、株主への還元割合(後述の配当金)の決定、会計書類の承認、役員報酬の決定といった会社運営のための日常的な重要事項のことです。
普通決議の可決条件が出席株主の過半数の賛成を得ることなので、過半数の議決権を持っている人以外の株主がどちらに投票しようが多数決は覆らないというだけの話です。
ここまで来ると、会社の経営陣を完全にコントロールできる立場になります。
特別決議を単独で通せるようになります。
特別決議は、その名の通り普通決議よりも特別な、会社の方針を大きく変えるような内容になります。
定款変更・合併・株式併合など、会社の根本構造を変えられるレベルの支配権を持てます。
特別決議の可決条件が出席株主の2/3以上の賛成を得ることなので、それ以上保有している株主には逆らえないのです。
66.7%の持ち株比率の人がいるということは、33.4%以上の持ち株比率の人は存在し得ないので、特別決議を拒否できる人がいないんですよ。
このように、持ち株比率によってその影響力は大きく変わるのです。
余剰金分配請求権
会社が獲得した利益(余剰金)の分配を受ける権利です。
いわゆる配当金を得られる権利のことです。
会社の事業で利益を出すと、その利益(余剰金)をどのように使うかを決める必要があります。
新製品開発費に回したり、新規事業に挑戦したりです。
その使い道の一つとして、“株主へ分配する”という選択肢があるのです。
余剰金分配請求権で得られる権利は、具体的には3つあります。
1つ目は、配当金の分配決定に参加する権利です。
株主に対していくら配当金を分配するのかは、株主総会の普通決議の議題になります。
つまり、株主は議決権を通じて配当の決定に関与できます。
配当金を出せという直接的な命令権は無いので、そこは勘違いしないようにしてください。
2つ目は、配当金を受け取る権利です。
1つ目の権利によって株主総会の普通決議にて株主への配当金が決定するので、実際にそこで決定したルールに則った配当金を受け取ることができます。
3つ目は、分配が不当に行われないように監視する権利です。
経営陣が利益を内部に貯め込みすぎたり、特定の株主だけに有利な分配をしようとした場合、株主は反対したり法的手段を取ることができます。
まとめると、余剰金分配請求権は正当な金額の配当金を受け取るための権利だというイメージで大丈夫です。
残余財産分配請求権
会社が解散した場合に持ち株数に応じて残った財産の分配を受ける権利です。
余剰金分配請求権は会社が生きている間の利益を受け取る権利だったのに対し、残余財産分配請求権は会社が死んだ時に残った財産を受け取る権利だということです。
会社が解散すると、まずは会社の資産を売ったりして現金化します。
そのお金で真っ先に債権者に対しての借金や未払いをすべて清算するのですが、それでも財産が残ることがあります。
その残った財産が残余財産分配請求権を持っている株主に分配されるのです。
その性質上、もし会社が倒産した場合は債権者への支払いで財産が全く残っていないことは普通にあるので、その場合は分配金は0円になります。
あくまで、残った財産を受け取る権利なので、ない袖は振れないんですよ。
持ち株数に応じて分配金が決定するので、例えば1000万円の財産が残って自分の持ち株比率が10%だった場合、100万円を受け取る権利があります。
ただし、株主の利害が被らないように種類株式(例:優先株…普通株より先に配当を受け取れる)があった場合は、順番や割合が変わることもあります。
まあ、そんなポンポン使われる権利ではないですし、そもそも受け取れる資産が残っていないことが多いので、あまり深く考えなくても良いと思いますよ?
以上、「株主になることで得られる権利(議決権・余剰金分配請求権・残余財産分配請求権)と株主総会」についてでした。



