【基礎から学ぶ電気回路】 ひずみ波 ~基本波・高調波とは?~

電気電子
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電気回路に流れる電気信号は、直流と交流に二分されます。
直流は基本的に一定値として取り扱うので比較的理解しやすいのですが、交流になると正弦波状に変化するせいでちょっとわかりづらくなってきます。
なるべく初心者の方でもわかりやすいよう噛み砕いて説明をしていきますので、腰を据えて読んでみてください。

今回は、「ひずみ波」についての説明です。

1.ポイント

ひずみ波

正弦波以外の交流波形のこと。

ひずみ波の実効値

ひずみ波に含まれる全成分(直流成分・基本波・高調波)の実効値を2乗して、足し合わせて、平方根にした値となる。

ひずみ率

ひずみ波が基本波に対してどの程度ひずんでいるかを表す割合のこと。

ひずみ波の電力

同じ周波数の電圧と電流の間で発生し、各々の電力の和が全電力となる。
周波数が異なる電圧と電流の間に電力が発生することはない。

2.ひずみ波とは?

正弦波以外の交流波形をひずみ波と呼びます。
周期性はあるが正弦波ではないものがひずみ波という認識で、方形波、三角波、全波整流波形、半波整流波形などもひずみ波の一種です。
交流波形と言われて真っ先にイメージするのが正弦波だと思いますので、それ以外はひずみ波だと覚えましょう。

一般的なひずみ波は以下のような式で表せます。

第1項のV0直流成分で、第2項は基本波、第3項以下は高調波と呼びます
基本波とは、言い換えるとひずみ波を構成する正弦波交流の中で最も周波数の低い波のことになります。
第3項以下は基本波の整数倍の周波数を持っていて、基本波のn倍の周波数を持つ高調波を第n高調波と呼びます。
例えば、第3項のV2sin(2ωt2)は第2項の基本波であるV1sin(ωt1)に比べて周波数が2倍になっている為、第3項は第2高調波になります。

ちなみに、交流電源には基本波に奇数次高調波(第3、5、7高調波等)が含まれています。

ひずみ波の形状は、以下のようになります。(※ 基本波と第3高調波で構成された場合)

図1

このように、ひずみ波を構成する基本になっている(基本波)が存在し、基本波を周波数に調整した(高調波)が足し合わされているんです
場合によっては直流成分も追加されますけどね。
これらが合わさった結果、ひずむのです。

3.ひずみ波の実効値

ひずみ波の実効値は、ひずみ波に含まれる全成分(直流成分・基本波・高調波)の実効値を2乗して、足し合わせて、平方根にした値(2乗和の平方根)になります

※ V1、V3、V5が各々の実効値であった場合のひずみ波の実効値の例。
最大値だった場合は1/√2する必要あり。

4.ひずみ率とTHD

ひずみ波が基本波に対してどの程度ひずんでいるかを表す割合をひずみ率と呼びます。
ひずみ率は、基本波の実効値に対する高調波の実効値の比となります。

ひずみ率=高調波の実効値÷基本波の実効値

その中でも、基本波の実効値を基本波を除く全高調波の実効値で割った値のことTHDと呼びます。

THDとは、[Total Harmonic Distortion]の略称で、日本語では全高調波ひずみ率と呼ばれます。

THDはオーディオ機器にとって重要な特性です

例えば、音を取り込んでパワーアンプで増幅・調整して出力するオーディオ機器があったとします。
このオーディオ機器では、入ってきた音(音波)の大きさを変更したいわけで、波形自体は変わって欲しくはないですよね?
波形が変わる=音の聴こえ方が変わるわけですからね。
ということは、理想的には入力信号と出力信号の波形は全く同じ形状で、振幅のみ変化して欲しいということになります。

つまり、入力信号である基本波にノイズ(基本波にとっての高調波)が全く載らないことがオーディオ機器にとって大切なのです
そうなってくると、基本波の実効値を基本波を除く全高調波の実効値で割った値であるTHDが、オーディオ機器のスペックを評価するための重要な指標となるわけです。

5.ひずみ波の電力

ひずみ波の電力は、同じ周波数の電圧と電流の間で発生し、各々の電力の和が全電力となる
逆に言うと、周波数が異なる電圧と電流の間に電力が発生することはありません。

以上、「ひずみ波」についての説明でした。