今回は、「基本的な通信の仕組み(単方向通信/多方向通信/全二重通信/半二重通信)」についての説明です。
1.初めに
電話・LINE・メール・テレビ・トランシーバーなど、身の回りには様々な通信機器が存在します。
これらの通信の仕組みを簡単に分類しようとした時、単方向通信/双方向通信/全二重通信/半二重通信という表現が出てくることがあります。
単方向通信と双方向通信は解説するまでもなくどんな通信なのかわかるかもしれませんが、全二重通信と半二重通信は原理を知らないとわからないでしょう。
今回は、単方向通信/双方向通信/全二重通信/半二重通信がそれぞれどんな通信を指しているのかをまとめてみました。
2.単方向通信とは?
単方向通信[simplex communication]とは、送信/受信のどちらか一方向にしか通信できない仕組みのことです。
名称通りですね。
シンプレックス通信と呼ばれていることもあります。
身の回りの通信は大体送信/受信どちらにも対応しているので、単方向通信ではありません。
私はその時代から生きているわけではないので詳しく知りませんが、ポケベルやアナログテレビなどが単方向通信に当たるそうです。
これらの機器は受信専用となっていて、送信する機能を持ちません。
要は、LINEやメールを受け取ることしかできなくなったスマートフォンみたいなものだと思ってくれれば良いです。
どちらかというと携帯電話ですけど、世代によっては携帯電話さえ疑問符が浮かびそうだからこんな例えになりました。
通信技術が日常生活に普及し始めた頃は単方向通信しか実現できませんでした。
しかし、時を経て技術が進歩した今となっては、送信/受信を同時に行うのはデフォルト機能になっています。
その為、コスト削減の意図や送信機として使うと不都合になる理由でもない限り、基本的には単方向通信をしていることは無いのです。
3.双方向通信とは?
単方向通信の説明を見て予想はできているかと思いますが、双方向通信[duplex communication]は送信/受信の双方向の通信が可能な仕組みのことです。
デュプレックス通信と呼ばれていることもあります。
身の回りの通信機器はほぼほぼ双方向通信をしていると思ってくれて問題無いです。
LINE・メール・電話・トランシーバー…全部双方向通信です。
そして、この双方向通信の種類が全二重通信と半二重通信の何れかに分かれます。
簡単に何が違うのか先に述べておくと、送信/受信を同時に行えるか行えないかという違いしかありません。
3-1.全二重通信とは?
全二重通信[full duplex]とは、双方向通信の一種で、二つの間で同時にデータを送信(受信)できる通信方式のことです。
例えば、電話は全二重通信になっています。
自分が話している最中でも、相手の声は聞こえるでしょう?
声・音というデータの送受信が、「自分から相手」と「相手から自分」という双方向に同時に可能になっているのです。
これが全二重通信の考え方です。
実際に全二重通信で回路設計した場合、機器Aから機器Bにデータを受け渡す伝送ラインと、機器Bから機器Aにデータを受け渡す伝送ラインの2つの経路が常に確保してある状態になります。
UART通信というシリアル通信の一種がこの形になっていることが多いです。

TDという端子がデータの出口で、RDという端子がデータの入口を指しています。
だから、機器Aと機器Bの間では双方向に自由にデータを送受信できるんですね。
3-2.半二重通信とは?
半二重通信[half duplex]とは、双方向通信の一種で、二つの間で同時にデータを送信(受信)できない通信方式のことです。
例えば、トランシーバーは半二重通信になっています。
実際に使ったことがないからあまりイメージはわかないという方もいるとは思いますが、トランシーバーって自分が話している最中は相手の声が聞こえないんですよ。
だから映画やドラマのワンシーンでトランシーバーを使っている時は、会話の最後に『ドーゾ』と付けることで、相手に自分の話は終わったことを伝えたりしているんですね。
よくよく思い返すと、トランシーバーを使っているシーンでは同時に会話していないでしょう?
実際に半二重通信で回路を設計した場合、機器Aと機器Bの間にはデータを受け渡す伝送経路が1本しかない状態になります。
なので、機器Aを送信側(受信側)としている時は、機器Bは受信側(送信側)にしかなり得ないのです。
同時に送信したらデータが衝突しますし、同時に受信にしたらお見合いが始まりますからね。
なので、必要に応じて送信/受信の役割を切り替えることで半二重通信は行われているのです。
4.まとめ
まとめると、通信は単方向通信か双方向通信のどちらかに分類可能で、双方向通信の方式として全二重通信と半二重通信の2種類が存在するということです。
実際に自分で使用している通信機器はどの分類になっているのか想像してみると記憶に定着しやすいと思いますよ?
そういう意味では全二重通信と半二重通信の違いは想像できないけどね。
以上、「基本的な通信の仕組み(単方向通信/多方向通信/全二重通信/半二重通信)」についての説明でした。



