今回は「株式合併・株式分割の意味と実施される理由」についてです。
1.初めに
前回の記事にて持ち株比率が33.4%(1/3)以上の株主は会社合併や株式合併などの会社の大きな方針を止められるブレーキ権を持っていると解説しました。
ここで解説すると話が横に逸れてしまうのでスルーしていたのですが、“株式合併”って何なのかわかりますか?
株式を合併するので何となくの想像は付くかもしれないですが、ここではしっかりとした意味と実施される理由について深掘りしていこうと思います。
2.株式合併とは?
株式合併とは、複数の株式をまとめて1株にする会社の手続きのことです。
株数を減らして1株あたりの価値を操作するイメージで、株数が減る代わりに1株当たりの株価を上昇させる手続きだと思ってくれれば良いです。
イマイチよくわからないかもしれないので、具体例を挙げていきますね。
例えば、ある会社が10株を1株に合併(10:1の株式合併という)することになったとします。
この会社の株を保有していた人がいた場合、その株数と価値が変化します。
仮に100株を1株200円で保有していた人がいた場合、株式合併(10:1の比率)することにより、10株を1株2,000円で保有しているという株式保有状態に切り替わります。
持ち株数が減っちゃうんですね。
ただ、元の投資額は100株×200円=20,000円なのに対し、株式合併後は10株×2,000円=20,000円となる為、保有株式の価値自体は変わりません。
3.株式合併を実施する理由
株式合併がどんなものなのか説明しましたが、こう思いませんでしたか?
『保有株式の価値は変わらないなら、株式合併する意味はあるの?』と。
勿論ありますので、そこを補足説明していきます。
株式合併を実施する主な理由は、以下の2点が考えられます。
- 株価を引き上げる
- 株主数を減らす
株価を引き上げる
先程例を挙げたように、株式合併をすると株価自体は上昇します。
株価の付け方や上昇減少する理由は別の記事に詳しくまとめますので、とりあえずここでは株価が高い方が投資者目線で企業に価値があると見られている・期待していると思ってください。
要するに、株価が低い企業はネガティブなイメージを持たれかねないのです。
また、日本のメイン市場である東京証券取引所には「株価が一定水準を下回り続けると上場廃止になる」という基準があるので、上場し続けたいのなら最低限の株価を保つ必要があります。
その為、経営難の会社が株価を見た目だけでも上げようとする際によく使われる手法が株式合併なのです。
株主数を減らす
議決権は単元株(100株)を保有することで投資者が得られる権利です。
単元未満株(1~99株)しか保有していない場合、議決権は得られません。
ここで思い出して欲しいのは、株式合併した場合の持ち株数が変化するという点です。
先程の例では10:1の比率で株式合併したところ、100株保有している人の持ち株数は10株に変化しました。
つまり、株式合併によって強制的に単元未満株にされ、株主ではなくなって議決権を得られなくなる人が発生するんですね。
なので、株主が増え過ぎて調整したいと考えた際に株式合併を実施することがあります。
上記のような理由で株式合併をするわけですが、投資者目線でどう思いましたか?
あまり良いイメージは持たなかったと思うんですよね。
だって、上場に縋りつくために経営は苦しいけど見た目だけ取り繕う意味で株式合併したり、株式合併されることで単元株保有者が単元未満株に変えられて議決権を失う可能性があるわけですからね。
実際に株式合併に踏み切った理由が何にしろ、株式合併自体のイメージがそんなに良くないんですよ。
実際、株式合併後に株価が下がって実質的に株主価値も下がってしまうことはあります。
4.株式合併と株式分割
株式合併は複数の株式をまとめて1株にすることを指していました。
逆に、1株を複数の株式に分割することもあり、このことを株式分割と呼びます。
株式分割を実施する一番のメリットは、株価を低くすることで投資者が株式を買いやすい状態にすることです。
世の中には1株数十万円~数百万円する株式も存在するのですが、仮に1株10万円する銘柄で議決権を得るには、100株×10万円=1,000万円必要になります。
よし、買おう!…って思えますか?
一般的な投資家は手が出せないですよね。
そこで、株価を敢えて下げることで株式購入の窓口を広くして、株式の流動性を高めるために株式分割を実施することがあります。
つまり、成長している企業が株式分割することが多いのです。
それ以外、株式分割するメリットがほぼ無いですからね。
株価の低下は上場廃止のリスクがあるわけですので。
株式分割してもそのラインは下回らないという自信が無ければ、株式分割は手が出せないのです。
例えば、任天堂・オリエンタルランド・NTT・イオンなんかが過去に株式分割しています。
特にNTTは1:25の比率で大規模分割しているので、2026年時点で株価は200円以下に抑えられ、誰でも気軽に購入できるようになっています。
上記のような背景がある為、株式合併は経営が苦しくなっている企業が実施することが多く、株式分割は経営が上手くいっている企業が実施することが多いことになります。
あくまで“主に”ですけどね。
以上、「株式合併・株式分割の意味と実施される理由」についてでした。


