【基礎から学ぶ通信方式】 TCP/IP階層モデルとは? ~ネットワークを構成する4つの層とその役割~

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LANWi-FiBluetooth…私たちは日常的に様々な通信を当たり前のように利用しています。
とりあえず説明書に書かれている通りに設定をするだけで、簡単にインターネットに接続できたり、ワイヤレスイヤホンとスマートフォンを接続できたりと便利ですよね?
ただ、そういう通信方式があることはわかっていますが、その概要まではよくわかっていないのではないでしょうか?
ということで、様々な通信方式について調べてまとめてみたものが本記事となっています。
ちなみに、私の専攻分野は電気なので、素人が理解できるまで調べてまとめた内容となっており、初心者でも比較的わかりやすくまとめてあるとは思います。

今回は、「TCP/IP階層モデル」についての説明です。

1.TCP/IP階層モデルとは?

TCP/IP階層モデルとは、その名の通りTCP/IPの階層構造のモデル図のことです。

インターネットは、データの通信の決まり事であるTCPとインターネットを形成するための決まり事であるIPの両方、所謂TCP/IPによって定義されています。
このTCP/IPが実際にどのような手順を踏んで通信を行っているのかを階層分けしてモデル表記したわけです。

2.TCP/IP階層モデルとOSI参照モデルの違い

TCP/IP階層モデルと似たようなモデル表現にOSI参照モデルというものがあります。

OSIは、ISOITU-T(当時のCCITT)が共同で策定したネットワークの標準規格です。

TCP/IP階層モデルとOSI参照モデルの違いは、どこで策定されたかです。
DARPA(米国国防高等研究計画局)で策定されたのがTCP/IP階層モデルで、ISOとITU-Tによって策定されたのがOSI参照モデルです。

実際にモデルの層構造は異なりますが、表現の仕方が異なるだけで中身は同じです。

日本の場合、先にTCP/IP階層モデルが普及して、その後に世界的なOSI参照モデルが発表されています。
その為、日本ではTCP/IP階層モデルが浸透してOSI参照モデルはあまり普及していなかったりします。

OSI参照モデルの構成については別途まとめてありますので、興味があったら以下の記事をご覧ください。

【基礎から学ぶ通信方式】 OSI参照モデルとは? ~ネットワークを構成する7つの層とその役割~
LAN・Wi-Fi・Bluetooth…私たちは日常的に様々な通信を当たり前のように利用しています。ただ、そういう通信方式があることはわかっていますが、その概要まではよくわかっていないのではないでしょうか?ということで、様々な通信方式について調べてまとめてみたものが本記事となっています。今回はOSI参照モデルについてです。

3.TCP/IP階層モデルの4つの層

TCP/IP階層モデルは、以下の4層にて構成されています。

  • 第1層:ネットワークインターフェース層
  • 第2層:インターネット層
  • 第3層:トランスポート層
  • 第4層:アプリケーション層
図1

数字が小さいほどハードウェア寄り、大きいほどソフトウェア寄りの分類となり、通信が行われる過程がこの層の順番に当て嵌まります。

コンピュータAとコンピュータBで通信を行っていた場合、コンピュータAの第4層⇒…⇒コンピュータAの第1層⇒ケーブル⇒コンピュータBの第1層⇒…⇒コンピュータBの第4層という具合に通信が行われるということです。

4.第1層:ネットワークインターフェース層とは?

ネットワークインターフェース層は、物理的な接続による同一ネットワーク内で通信を行うための規則を決定している層です。

コンピュータA-ルータ-コンピュータBという接続があったとすると、コンピュータAとルータ、ルータとコンピュータBという直接繋がっているもの同士の通信に関する規則が決められています。
どんなケーブルを使うかなどですね。

ちなみに、OSI参照モデルにおける物理層とデータリンク層を混ぜたような役割をしているのがネットワークインターフェース層だったりします

5.第2層:インターネット層とは?

インターネット層は、物理的な複数のネットワークを相互に繋いで一つのネットワークを形成する層です。

ネットワークアドレスの割り当て、伝送経路の選択などを行います。

ちなみに、OSI参照モデルにおけるネットワーク層と同じような役割をしているのがインターネット層だったりします

6.第3層:トランスポート層とは?

トランスポート層は、データの送信元と受信先の間の通信の制御・通知を正しく行うための層です。

上位層と下位層の間でデータを橋渡しする際に、データ圧縮や誤り検出・訂正・再送制御などを行うことで、効率的なデータ伝送を実現させています。
データの通信の決まり事であるTCPやUDPが関連しているのもこの層です。
どちらのプロトコルにするかで通信の制御方式がガラッと変わりますからね。

ちなみに、OSI参照モデルにもトランスポート層は存在し、どちらも役割は同じようなものになっています
名称は全く同じですし意味するところも同じようなものですが、一応別物なので注意しましょう。

7.第4層:アプリケーション層とは?

アプリケーション層は、どのような形式や手順でデータのやり取りをするかを定義する層です。

HTTPHTTPSFTPなどのプロトコルの指定はこの層に当たります。
ファイルを送信する、メールを送信するなどの具体的なサービス内容を決定する層ということです。

OSI参照モデルにおけるセッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層を混ぜたような役割をしています
OSI参照モデルのアプリケーション層とは名称が被っているので、混同しないように注意しましょう。

8.大雑把なまとめ

TCP/IP階層モデルの各階層の役割をまとめると、以下のような感じになります。

第4層:アプリケーション層:アプリケーション間のやり取りのルールを決定する。
第3層:トランスポート層:データ通信を制御する。
第2層:インターネット層:複数のネットワークを取りまとめて通信する。インターネットを形成する。
第1層:ネットワークインターフェース層:同一のネットワーク内で通信する。機器を接続する。

以上、「TCP/IP階層モデル」についての説明でした。