【基礎から学ぶトランジスタ】 MOSFETの順方向伝達アドミタンス

電気電子
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私たちの身の周りにある電子製品には、様々な電子部品が使用されています。
そんな中でも、特に根幹的な部分に使用されている重要な部品として、トランジスタという部品が存在します。
何かしらのICが存在したのなら、トランジスタはほぼほぼ使用されています。
本記事では、そんなトランジスタの種類・構造・特性などについてまとめてみました。

今回は、「MOSFETの順方向伝達アドミタンス」についての説明です。

1.順方向伝達アドミタンスとは?

「FETの特性グラフ」の説明時に、ID-VGS特性グラフというものが出てきました。
ゲート電圧VGSを与えた時にどの程度ドレイン電流IDが流れるのかを表したグラフです。

参考として、エンハンスメント型MOSFETの特性グラフを以下に示します。

図1

二次関数的な変化をするわけですね。

このID-VGS特性グラフにて、ゲート電圧VGSの変化量ΔVGSに対するドレイン電流IDの変化量ΔIDの比のことを順方向伝達アドミタンスと呼びます。
量記号はYfs、単位は[S]です。
量記号に関しては、gmと表記されている場合もあります。

式で表すと以下のようになります。

|Yfs|=ΔID/ΔVGS

特性グラフを見てわかる通り、印加するゲート電圧VGSを大きくすると、それだけドレイン-ソース間に流せるドレイン電流IDは大きくなります。
言い方を変えると、ゲート電圧VGSによってドレイン電流IDを制御できるのです
だから、FETは増幅器としても使えるわけです。

その為、順方向伝達アドミタンスは、FETの増幅率hFEに関係するパラメータと言えます

ちなみに、順方向伝達アドミタンスは特性グラフから読み取ることが可能ですので、わざわざデータシートに記載されていないことがあります。
というのも、仮に記載してあったとしても、順方向伝達アドミタンスはある範囲内での部分部分での値となるため、使用条件と合致するとは限らないんですよ。
なので、実際に特性グラフをちょっと眺めて使用条件付近の値を参照した方が確実で早いんです。

2.例題

考え方を定着させるために、簡単な例題を2つ載せておきます。

例題①

図2のようにVGSとIDが変化した際の順方向伝達アドミタンスを求めてみましょう。

図2

例題②

図3のようにVGSが2.0[V]から2.01[V]に変化した際の順方向伝達アドミタンスが100[μS]だった時のドレイン電流を求めてみましょう。

図3

以上、「MOSFETの順方向伝達アドミタンス」についての説明でした。