今回は、「バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタ(FET)の違い」についての説明です。
1.ポイント
2.トランジスタの種類
トランジスタの種類についての説明です。
トランジスタは、大きく分けて2種類あります。
バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタです。
まずは、違いを簡単にまとめました。
※ FETの回路記号は種類によって微妙に見た目が異なります。
ユニポーラトランジスタは、G(ゲート)・S(ソース)・D(ドレイン)の3端子構成の半導体素子です。
バイポーラトランジスタにおけるB(ベース)がG(ゲート)、E(エミッタ)がS(ソース)、C(コレクタ)がD(ドレイン)に対応するとイメージしてください。
回路図でトランジスタを見たことがある方はどちらの図記号も見たことがあるのではないでしょうか?
どちらもトランジスタだという説明は聞いたことがあるかもしれませんが、具体的に何が違うのかまでは知らないという方は多いと思います。
3.バイポーラトランジスタとは?
まずはバイポーラトランジスタについてです。
一般的にいうところのトランジスタについては、以下の記事にまとめてあります。
この一般的なトランジスタがバイポーラトランジスタのことを指しています。
また、トランジスタの接合方式としてもpn接合が一般的である為、巷で「トランジスタ」と呼ばれるものは「バイポーラトランジスタ」を指していることが多いです。
バイポーラトランジスタはn型半導体とp型半導体をpn接合した3端子の半導体素子で、キャリアが電子と正孔の2種類となります。
「バイポーラ」は「2極の」という意味なので、名称から電子と正孔の両方の極性のキャリアを利用したトランジスタだということがわかります。
バイポーラトランジスタの後にユニポーラトランジスタが登場した為、2つのトランジスタを区別するために再命名された模様。
ベース-エミッタ間の矢印は電流の流れる向きを表しています。
ベース-エミッタ間について考えると、n型半導体とp型半導体のpn接合をされている状態なので、ベース-エミッタ間はダイオードと同じように考えることができます。
その為、最低限ベース-エミッタ間電圧を閾値以上に保つ必要があります。
この閾値は大体0.6~0.7V程度です。
つまり、閾値を保てない程微弱な信号は増幅できません。
バイポーラトランジスタは電流の変化で電圧を変化させます。(電流制御)
ただ、電流を実際に流すことによりベース-エミッタ間は0.7V程度、コレクタ-エミッタ間にはベース-エミッタ間以上の電位差が生じます。
つまり、動作時に消費する電力量が大きいというデメリットがあるので、大電流が流れるようなスイッチング動作をさせる場合はユニポーラトランジスタが主に使用されます。
その為、バイポーラトランジスタは増幅用途で使用する方が一般的です。
4.ユニポーラトランジスタとは?
次はユニポーラトランジスタについての説明です。
ユニポーラトランジスタはn型半導体とp型半導体を使用した3端子の半導体素子で、キャリアが電子または正孔の1種類となります。
バイポーラトランジスタとの大きな違いはここです。
「ユニポーラ」は「1極の」という意味なので、名称から電子か正孔どちらかの極性のキャリアを利用したトランジスタだということがわかります。
n型半導体とp型半導体のどちらか1種類の半導体を使用したトランジスタではなく、電流の流れる経路が1種類の半導体で構成されているのでキャリアが1極性になった半導体です。
ユニポーラトランジスタは電圧の変化で電流を変化させます。(電圧制御)
ユニポーラトランジスタのゲート端子は空乏層で覆われていてゲート端子に電圧を加えても電流はほとんど流れませんが、電圧を加えることにより発生した電界によってキャリアの動きを制御できます。
なので、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor 、略してFET)と呼ばれています。
電界効果トランジスタ(FET)には、接合型FETとMOS型FETの2種類があります。
接合型FETとMOS型FETでは、MOS型FETが主流です。
ちなみに、MOS型FETというよりMOSFETと呼ぶことの方が多いです。
MOSFETはゲート電流がほとんど流れないので消費電力が抑えられることに加え構造が平面的なので、バイポーラトランジスタに比べ小型化・集積化が容易という特徴があります。
また、高速スイッチング動作が可能です。
以上、「バイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタ(FET)の違い」についての説明でした。