【三相交流の基本】 三相交流の瞬時値表示とベクトル表示

電気電子

電気電子系は難しいイメージを持たれがちですが、基本から順番に抑えていけばそれほど難しくはありません。
どんな分野にも言えることですが、最初はよくわからないものですから。
本記事では、電気初心者の方でもわかりやすいように、順を追って説明していきます。
じっくり学んでいきましょう!

今回は、「三相交流の瞬時値表示とベクトル表示」についての説明です。

1.三相交流回路の構成と波形

3つの単相交流回路を組み合わせてできたものが三相交流回路です。

三相交流回路を構成する3つの単相交流起電力をea、eb、ecとすると、各瞬間起電力の波形は以下のように表せます。

図1

見てわかる通り、2π/3(120°)ずつ位相差のある単相交流3つにて構成されています

では、実際にどう回路を構成するのかというと、図2のような形になります。

図2

点Oに当たる位置をグランド(基準点)として、各端子から起電力を供給する仕組みです。

2.三相交流の瞬時値表示とベクトル表示

図1の三相交流回路を構成する起電力の瞬時値表示は以下のようになっています。

この瞬時値表示をベクトル表示に切り替えると以下のように表せます。

√2があったり無かったりするのは実効値のお話なので、そこから説明が必要な場合は三相交流の前に交流回路の記事からざっと目を通すことをおすすめします。

ベクトル表示からベクトル図を描くと以下のようになります。

図3

Eaを基準として120°と240°(-120°)位相が異なるのがEb及びEcなので、EbEcは横軸を基点として上下対象になっていることがわかりますね。
これらを座標表示すると、Eaは(E,0)、Ebは(-E/2,-√3E/2)、Ecは(-E/2,√3E/2)になります。
この3つの座標のX軸とY軸の値を足し合わせてみると(0,0)になります。

つまり、EaEbEcという3つのベクトルのベクトル和は必ず0になるようになっています。

よって、ベクトル表示する前の瞬時値の状態でも同様のことが言え、ea+eb+ec=0も成り立ちます

その為、「そもそも三相交流とは何なのか」でも述べましたが、瞬時値電流も総和が0になり、帰路を1つにまとめるとその電線には電流が流れなくなるのです

以上のような理由から、図2の点Oはグランドに当たるはずなのにグランドの記号が描かれていないという状態がよく見られるのです
※ 描かれている場合もありますが、大抵省略されています。

3.対称三相交流とは?

一般的な三相交流と言ったらここで説明したような三相交流を指しています。
有する特徴は以下の通りです。

  • 三相の起電力が等しい。
  • 三相の周波数が等しい。
  • 三相の位相差が120°ずつになっている。

この条件を満たしている三相交流のことを対称三相交流と言います。
なので、ただ単に三相交流だと言っていたら『多分対称三相交流のことなんだろうな』と思ってください。

ちなみに、対象三相交流の条件に負荷は関係してきません。
別物の負荷が繋がっていようが、上記の条件を満たしていれば対象三相交流です。

以上、「三相交流の瞬時値表示とベクトル表示」についての説明でした。


タイトルとURLをコピーしました