【基礎から学ぶ電気回路】 正弦波交流とは?負方向の電圧とはどういう意味なのか?

電気電子
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電気回路に流れる電気信号は、直流と交流に二分されます。
直流は基本的に一定値として取り扱うので比較的理解しやすいのですが、交流になると正弦波状に変化するせいでちょっとわかりづらくなってきます。
なるべく初心者の方でもわかりやすいよう噛み砕いて説明をしていきますので、腰を据えて読んでみてください。

今回は、「正弦波交流」についての説明です。

1.正弦波交流とは?

正弦波交流とは、電圧や電流が正弦波状に変化するもののことです。
ちなみに、交流は時間経過で周期的に大きさ及び正負の符号が変化する電流のことです。

交流電源を負荷に繋いだ単純な回路と、交流電源の波形を図1に示します。

図1

交流電源は、円の中に正弦波が描かれた図記号になります。
波形は、横軸を時間tと角度ωtの2パターンで表す場合があります。

この正弦波交流電圧vを式で表すと以下のようになります。

v=Vmsinωt

vは瞬時値です。単位は[V]。
正弦波交流は時間tの経過により常に変化する為、その時々の値(瞬時の値)を示しています。

Vmは最大値[maximum]です。単位は[V]。
正弦波交流のピーク値を示しています。

sinは正弦波です
サインカーブとも呼びます。

ωは角速度です。単位は[rad/sラジアン毎秒]。
1秒間にどの程度の速度で角度が変化するかを表しています

tは時間です。単位は[s]。

負方向の電圧の意味

交流波形が正弦波状に波打つと言われてもちょっとイメージしづらいと思いますので、補足説明をします。

図1に示した回路において、交流電源波形が正の時と負の時の電流の向きは、以下のようになります。

図2

交流電源波形が正の時と負の時とで、流れる電流の向きが反転していますね。
負の電圧の意味ってこれだけなんですよ。
要するに、時間帯によって電流のベクトルが切り替わる直流電源が交流電源というイメージなのです。
なので、負電圧とか言われたら、『正の方向とは逆向きのことを言っているだけだな』と理解すれば良いのです。

ある程度電気を学んでから長い人にとっては当たり前の考え方なのですが、電気を学び始めたばかりの人だと交流というものは未知の存在なので、「電流を流す方向が切り替わる」としっかりと言葉で説明してくれないとよく理解できないんですよね。

2.角速度の補足説明

角速度ωの補足説明をしますね。
ラジアンは角度を表す手法で、弧度とも呼びます。
2π[rad]は360°なので、角速度ω=2π[rad/s]の時には1秒間に360°角度が変化します。※πとは?⇒
その為、横軸ωtの正弦波交流は、角度が2π変化すると1周して元の位置に戻ってきます。

角速度ωは以下のように表すことができます。

ω=2πf

fは周波数です。単位は[Hzヘルツ]。
周波数は、1秒間に何回波が変化するかという回数を示しています

ωは単位の[rad/s]からもわかる通り1秒毎の角度の変化を表していました。
正弦波交流の1回の変化は2π[rad]に当たる為、角度は1秒間に2π[rad]×f[回]分変化するということになります。
この関係からω=2πfという式が導き出されています。

関係がわかりづらいと思う方は図でイメージしましょう。

図2のように1秒間に6π角度が変化する正弦波交流があるとします。

図3
  • 1秒間に6π角度が変化しているので、角速度ω=6π[rad/s]です。
  • 1秒間に変化している回数が3回なので、周波数f=3[Hz]です。
  • 1回の変化で角度は2π変化します。

1秒間に6π角度が変化している(ω)
=2πの角度の変化を1秒間に3回繰り返している(2πf)

なので、ω=2πfという関係が成り立っています。

ちなみに、周波数fの逆数は周期Tです

式で表すと、f=1/Tとなります。単位は[s]。
周波数は1秒間に何回変化するかを表していたので、逆数である周期は1回変化するのにどの程度時間を要するかを表しています

先程の1秒間に3回変化していた正弦波交流の図を見ながら考えるとしっくりくるかと思います。

比で考えると、「1秒間:3回変化=?秒間:1回変化」と表せます。
ここで言う「3回変化」は周波数f=3[Hz]であることを指している為、「3回変化」の部分は「周波数f」に置き換えることができます。
「1秒間:f=?秒間:1回変化」

また、1回変化するのにかかる時間は周期Tなので、「?秒間」の部分は「周期T」に置き換えることができます。
「1秒間:f=T:1回変化」

以上の関係から、T=1/fの関係を導き出せます。
また、f=3[Hz]を代入することで周期T=1/3[s]であることがわかります。

以上、「正弦波交流」についての説明でした。