【基礎から学ぶ電気回路】 正弦波交流の位相のズレ

電気電子
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電気回路に流れる電気信号は、直流と交流に二分されます。
直流は基本的に一定値として取り扱うので比較的理解しやすいのですが、交流になると正弦波状に変化するせいでちょっとわかりづらくなってきます。
なるべく初心者の方でもわかりやすいよう噛み砕いて説明をしていきますので、腰を据えて読んでみてください。

今回は、「正弦波交流の位相のズレ」についての説明です。

1.正弦波交流の位相のズレ

正弦波交流についての復習になりますが、正弦波交流電圧vは以下のように表せます。

v=Vmsinωt

以下のような波形の位置が横軸上でズレた3つの正弦波交流電圧v1・v2・v3があります。

図1

これらの正弦波交流電圧を式で表すと以下のようになります。

θシータ位相または位相角と呼び、角度を示しています。
単位は[radラジアン]です。※ラジアンとは?⇒

位相以外にv1・v2・v3の波形に差は無い為、v1・v2・v3は位相は異なるが形状は一致した正弦波交流電圧だと言えます。
厳密には、v1はv2より位相がθ進んでいて、v3はv2より位相がθ遅れていると言います。

各波形のサインカーブの始点が縦軸と横軸の交点から何[rad]ズレているかが位相差であるθに該当します。
個人的に、この進み遅れを波形から読み取る際に混乱することがあったので、見方についてまとめておこうと思います。

結論から言うと、以下のどちらかの方法で判断するとわかりやすいです。

①波形と縦軸の交点が横軸より上側にあれば進み(+θ)、下側にあれば遅れ(-θ)
②経過時間をイメージしてみる

①についての説明です
v=Vmsin(ωt+θ’)という位相θ’が不明な正弦波交流電圧があるとします。
縦軸と波形の交点はt=0[s]時点の瞬時値に該当します。
t=0[s]を代入すると、v=Vmsinθ’となり、t=0[s]時点の瞬時値は位相θ’に依存することがわかります
t=0[s]時点での瞬時値が正の値であることを式で表すと、v=Vmsinθ’>0となります。
この式から、0<θ’<πが導き出せます。
t=0[s]時点で位相θ’が0<θ’<πの範囲内にあるということは、位相が正の値になっている、つまり位相が進んでいると言えます
t=0[s]時点での瞬時値が負の値である場合も同様に考えると、位相θ’は-π<θ’<0の範囲内にあることがわかりますので、位相が負の値になっている、つまり位相が遅れていると言えます

②についての説明です
波形の横軸はtもしくはωtで、どちらも時間の経過が関わってきます
正弦波交流電圧v=Vmsinωtが時間経過で変化する様子は図2のようになります。

図2

時間が進み始めると、瞬時値vは正の値に変化します。
つまり、瞬時値vが正の値になるのは未来(時間が経過した後)の話だとわかります
なので、未来の結果と同じ位置に位相がズレている波形があった場合、その波形は位相が進んでいると言えます
言葉での説明が異様に難しい…。

ちなみに、イメージがまとまってない状態で私がよく陥っていたミスは、『パッと見で位相の進み・遅れを判断する』ことです。
図3のような2つの正弦波交流電圧があります。

図3

縦軸横軸の意味を考えずに2つの波形のみに注目すると、赤い波形が黒い波形よりθだけ右に位置するので、何か進んでいるように錯覚していました(笑)
まあ、この勘違いをしていたのは私くらいかもしれないので、あまり気にしないで下さい。

以上、「正弦波交流の位相のズレ」についての説明でした。