【基礎から学ぶコンデンサ】 電荷と静電気 ~静電気の発生原理~

電気電子
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“コンデンサ”という部品は、電気製品なら必須レベルで多用されています。
電気を蓄えたり放出したり、ノイズ成分を吸収したり、何かと便利だからです。
本記事では、そんなコンデンサという部品についての知識をわかりやすくまとめてみました。

今回は、「電荷と静電気」についての説明です。

1.電荷とは?

コンデンサについて学ぶ上で「電荷とは何なのか」を知っておく必要があるので、まずはそちらの説明から始めていきます。

私達の身の回りにある物質はすべて原子という粒子で構成されています。
原子は図1のような構造をしています。

図1

原子は、核が陽子(正/+の電気を帯びている)と中性子(電気を帯びていない)で構成されており、核の周りを電子(負/-の電気を帯びている)が回っています。
陽子と電子のように電気を帯びている粒子を電荷と呼び、電荷の量を電荷量または電気量と呼びます。
電荷の量記号はQもしくはq、単位は[Cクーロン]です。
通常、1個の電子が持つ電気量eは、e≒1.602×10-19[C]です(電気素量と呼びます)。

正と正、負と負の同種電荷間には反発力(斥力せきりょく)が発生し、正と負の異種電荷間には吸引力が発生します
電荷と電荷の間に作用する反発力(斥力)及び吸引力のことを静電力と呼びます。
反発力と斥力の関係としては磁石のN極とS極をイメージしてください。

通常、陽子(正の電荷)と電子(負の電荷)は数が等しいので、電荷の量のつり合いが取れています(この状態を電気的に中性を保っていると言います)。
ここでは、電気的に中性を保っているだけでどんな物質にも電荷が存在しているということを意識しておいて下さい。

2.静電気とは?

さて、電荷に関してですが、正電荷である陽子は固定されていて動くことができませんが、負電荷である電子は比較的自由に移動ができます
その為、原子同士が衝突するとより正電荷が多い原子側へ電子の移動が発生します

図2

すると、片方(図左側)は電子が不足することで正の電気を帯び、もう片方(図右側)は電子が過剰になることで負の電気を帯びます
このように正または負の電気を帯びた状態のことを帯電すると言い、帯電した物体を帯電体と呼びます。
そして、帯電した状態のことを静電気と言います。
衝突して帯電させてから原子同士が離れると、帯電した状態はそのまま保たれる、つまり静止し続けることから静電気と呼ばれています。

ただ、静電気の状態は電気的にバランスが悪い状態になっていて、何かきっかけがあれば元のバランスが良い状態(電気的に中性を保った状態)に戻ろうとします。
その為、正に帯電したモノと負に帯電したモノを近づけると電子の移動が発生し、電流が流れます
この現象を放電と呼びます。
「電気回路の基本イメージ」で触れましたが、電子の移動=電流のことです。

帯電体を導体に近づけていくと、帯電体に近い箇所には異種の電荷、帯電体と遠い箇所には同種の電荷が集まることで放電に繫がるわけですが、この作用のことを静電誘導と呼びます。

色々語りましたが、冬場にドアノブに触れた瞬間にバチッとくる静電気のメカニズムがこんな感じということです。
人間は正に帯電しやすい性質を持っている為、服の擦れで体が正に帯電した状態で金属に触れたので、電子が流れ込んできて感電しているんです
『静電気が嫌なら金属触る前に壁や地面を触れ』とか聞いたことあるかもしれませんが、あれは自分の帯電した状態を電気をあまり通さないものを触って平常に戻すことで感電しないようにしているということです。
このように、静電誘導の影響を受けないように対策することを静電遮蔽しゃへいと呼びます。

ここまで読んで気付いたかもしれませんが、世間一般では上記のように感電することを静電気と呼んでいますが、厳密には「静電気による放電現象により感電している」となります。
まあ、そんな細かいところまで指摘してくる捻くれ者はそうはいないでしょうけど。

ちなみに、冬場に静電気が発生しやすい理由は、湿度が低くて空気中に電子が逃げにくいからです。
なので、冬場の乾燥している日は注意しましょうね!

以上、「電荷と静電気」についての説明でした。