今回は、「データシートに登場する特性要素とパラメータの意味」についての説明です。
1.初めに
電子部品の概要を知るためには、メーカの用意しているデータシートに目を通す必要があります。
なのですが、その特性要素・パラメータは専門用語になっているはずなのに、データシート上にその項目が何を意味しているのかは書いてないことって多々あるんですよね。
というか、何故かほぼほぼ記載されていません。
なので、語感から何となく想像することになり、勘違いも生みやすいんですよね。
そこで、本記事には実際に私が『この特性は何を表しているの?』・『このパラメータは何??』と疑問に感じた要素を都度まとめていこうと思います。
特性要素は無数にあって全てをカバーするのは到底無理なので、少しずつ追加していこうと思います。
2.特性要素・パラメータの説明
オン抵抗RDS(ON)
MOSFETがオンした時のドレイン-ソース間抵抗のこと。
量記号からDrain SourceがONした時の抵抗だと読み取れる。
等価内部容量CPD
東芝のマルチプレクサのデータシートに載っていたパラメータ。
無負荷時の動作消費電流から計算したIC内部の等価容量のこと。
値が小さいほどICの動作消費電流が抑えられるので、特性が良いと言える。
伝播遅延時間tPLH・tPHL
信号を伝搬する際に生じる実際の遅れのこと。
あるICが入力信号を受け取って出力信号を発しているとします。
この時、理想としては入力信号の変化に即座に反応して出力信号も変化して欲しいものですが、実際は遅延が発生します。
信号処理をする時間があるので、多少の遅れが出るのは当たり前ですよね。
この入力信号の変化に対する出力信号の変化するまでの反応時間が伝搬遅延時間です。
記号がtPLHとtPHLの2つありますが、出力信号がLow→Highに変化する際の遅延時間をtPLH、High→Lowに変化する際の遅延時間をtPHLとしているだけです。
入力上昇時間tr・入力下降時間tf
東芝のマルチプレクサのデータシートに載っていたパラメータ。
入力上昇時間は、MOSFETの動作をOFF→ONすることで、ドレイン・ソース間電圧が設定値の10%~90%の間で変化するのに要する時間のこと。
入力下降時間は、MOSFETの動作をON→OFFすることで、ドレイン・ソース間電圧が設定値の10%~90%の間で変化するのに要する時間のこと。
要するに、入力信号がOFF→ONに上昇/ON→OFFに下降した際の出力部の変化に要する時間ということ。
立ち上がり/立ち下がり時間の遅い信号が印加された場合、スイッチングなどで発生するスパイク電流(突入電流)によって電源電圧VCCやGNDラインにリプル(脈動)が発生し、出力発振や誤動作をすることがある。
この現象を起こさないようにするために設けてある動作範囲のことを指している為、数値が大きいほど遅い入力信号に対応でき、特性が良いということになる。
以上、「データシートに登場する特性要素とパラメータの意味」についての説明でした。