今回は、「アナログとデジタルの違い」についての説明です。
1.ポイント
2.初めに
論理回路って知っていますか?
論理回路は電気系の大学に進んでいるなら履修科目にあったのではないかと思いますが、一般的にはあまり知られていないかもしれないです。
ただ、電気や情報システム系の仕事に進むと、ICの動作やシーケンス制御などで論理演算回路が組まれていたりするので理解を余儀なくされます。
論理回路と言ったら基礎的なのはAND回路やOR回路やNOT回路などが挙げられるのですが、それの説明より前にそもそもアナログとデジタルの違いについて理解している必要があります。
今回は、まずはそちらの説明をしていこうと思います。
3.アナログとデジタルの違い
アナログとデジタルの違いを端的に述べると、以下のようになります。
言葉で表すと疑問符が浮かぶかもしれないので、実物の時計でイメージしてみましょう。
秒針・分針・時針が動く昔ながらの時計がありますよね。
アレがアナログ時計です。
アナログ時計の場合、常に針は動き続けています。
つまり、0時0分0秒と0時0分1秒の間にも秒針の動きが止まることはなく、その時々の“時間”というデータを常に指し示しているわけです。
だから連続したデータ=アナログです。
それに対してデジタル時計は、液晶画面に00:00:00という具合に時間表示されているものを指します。
時・分・秒を00:00:00という桁数で表示しているデジタル時計の場合、1秒(00:00:01)と2秒(00:00:02)は表示してくれますが、0.5秒は表示できませんよね?
このように、デジタル時計では1秒の次は2秒、2秒の次は3秒というように“時間”というデータの表示がぶつ切りになっているわけです。
だから断続的なデータ=デジタルです。
これがアナログとデジタルの違いです。
4.AD/DA変換
基本的に自然現象のデータはアナログです。
仮に自然現象がデジタルだったとすると、温度が突然0℃から50℃に変化したり、車が突然0km/hから100km/hに加速する世界になります。
そんなこと起こり得るはずがないですよね。
その為、自然現象のデータをコンピュータに取り込む場合、最初はアナログデータの形になっています。
なのですが、アナログデータは値が流動的に変化するので、データとして管理するのに向いていません。
その時々で微小に値が変化しているので、細かすぎて再現性がないからです。
小数点以下まで表そうとしたら、際限なくなるでしょう?
それに対してデジタルデータは、“0”か“1”であらゆる数値を表そうとする2進数のデータ形式なので、数値がはっきりしていて再現性が高いです。
ついでに言うと、数値を“0(電圧無し)”と“1(電圧有り)”のどちらかでしか表現しないので、ノイズにも強いです。
電圧が一定である区間か、即座に“0”と“1”の間で変化する区間しか存在しないからです。
なので、一般的にはアナログデータをデジタルデータに変換して取り込むことが多いです。
このことをアナログデータ(Analog)からデジタル(Digital)データに変換するのでAD変換と呼びます。
逆に、デジタル(Digital)データからアナログデータ(Analog)に変換することをDA変換と呼びます。
AD変換は、アナログデータを時間単位で細かくぶつ切り(サンプリング)にして、その時々の値をデジタルデータとして取り込む仕組みになっています。
なので、ぶつ切りにする間隔(サンプリング速度)を狭くすることで、より正確な値としてデータを取り込むことが可能です。
サンプリングデータのデジタルデータとしての取り込み方については、以下のようなイメージになっています。
赤点線が元のアナログ値で青太線がデジタルに変換された値です。
デジタル値の場合、000と001の間の数値は存在しないので、こんな具合の表現方法になるんです。
この例だと、アナログデータにおける0.05~0.15という数値を、デジタルデータでは001と表現するようになっているわけです。
つまり、あるポイントで取り込んだアナログデータが0.12だろうが0.123456だろうが、デジタルデータとしては001として表現されるのです。
デジタルデータの方がスッキリした表現でしょう?
この時、デジタル信号は最大3桁で表現してあることになります。
この桁数の表現単位を分解能と言います。
001のように3桁で表現していたら分解能は3bit、0001のように4桁で表現していたら分解能は4bitとなります。
分解能は大きい方がより細かく数値を表現できるようになりますが、当然ながらその分データ量は多くなります。
また、図4の分解能が3bitになっていた場合、アナログ入力値としての0.75をデジタル変換値として111と表現するのが限界なので、アナログ入力値が0.75を超えた場合は値を正常にデジタル変換できなくなります。
分解能と割り当て方によって上限が存在するという点はしっかりと覚えておきましょう。
以上、「アナログとデジタルの違い」についての説明でした。