【基礎から学ぶコンデンサ】 コンデンサとは? ~電荷を貯蓄・放出できる部品~

電気電子
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“コンデンサ”という部品は、電気製品なら必須レベルで多用されています。
電気を蓄えたり放出したり、ノイズ成分を吸収したり、何かと便利だからです。
本記事では、そんなコンデンサという部品についての知識をわかりやすくまとめてみました。

電気の仕事をしていると様々な部品を用いる機会が出てきます。
コイル・コンデンサ・IC・コンバータ・パワーサプライなどなど…名前は聞いたことあるけどイマイチ何なのか理解していないものもあるのではないでしょうか?
この記事では、そんな部品について基本からわかりやすく解説していけたらと思っています。
機械部品に関する記事も混ざってたりしますが、深く考えないでください。

分類するのが面倒だっただけです。

今回は、「コンデンサ」についての説明です。

1.ポイント

コンデンサの特徴

① 電荷を蓄えたり、放出したりできる。

② 交流電流は流すが、直流電流は流さない。
※ 交流電流は厳密には流れているように見える

③ ノイズを取り除ける。

④ 回路内の電圧を一定に保つ。

2.コンデンサとは?キャパシタとは?

コンデンサは、電荷を蓄えたり、放出したりする電子部品です。
キャパシタとも呼びます。
[capacity(容量)]が語源ですね。

電荷とは、物体が帯びている静電気の量を指します。
コンデンサには電荷を蓄えられる容量があり、これを静電容量と呼びます。
静電容量の量記号はC、単位は[Fファラド]です。

コンデンサは、2枚の金属板が並んだ構造になっていて、金属板の間には誘電体(絶縁体)が挟まれています。
誘電体(絶縁体)とは、平たく言えば電気を通しにくい(もしくは通さない)物質です

コンデンサの性質はほぼ誘電体によるもので、誘電体には誘電率という特性が存在します。
誘電率は、媒質(空気などの物質が存在できる場所)の性質を表す定数で、誘電率に比例してコンデンサに蓄えることができる電荷の量は増加します。
その媒質中ならどの程度静電力が発生しやすいかを表す定数と考えることができます。

図記号はコンデンサを見立てた金属板が2枚並んだ形状を表しています。

図1

3.コンデンサの特徴

コンデンサの特徴は、以下の4点です。

① 電荷を蓄えたり、放出したりできる。

② 交流電流は流すが、直流電流は流さない。
※ 交流電流は厳密には流れているように見える

③ ノイズを取り除ける。

④ 回路内の電圧を一定に保つ。

ここではもう少し詳しく説明していきますね。

① 電荷を蓄えたり、放出したりできる。

コンデンサは図で簡単に表すと以下のようになります。

図2

これに直流電源を接続すると、金属板自体は電気を通す為、プラスとマイナスの電荷が金属板に蓄えられます
誘電体(絶縁体)は電気を通しにくい(もしくは通さない)ので、金属板に電荷が溜まりつつお互いに引き寄せ合う(吸引力)ものの、電気は通しません。
電荷を充分に蓄えた後に直流電源を取り除くと、電荷には吸引力が継続して働いている為、電荷が残留します

図3

ここまでが電荷を蓄えて、保持するまでのメカニズムです。
ちなみに、ここで言う正電荷は実は存在しないのですが、今その話をするとよくわからなくなり兼ねないので置いといてください。

電荷を蓄えた状態のコンデンサは、蓄えた分の電荷を消費するまで電源と同じような働きをします。

図4

図4のように電荷を蓄えた状態のコンデンサに電球(負荷)を繋げた場合、通り道ができるので赤矢印の方向に電子が移動します。
電子の移動=電流ですので、電流が流れて電球は点灯するわけです。
ただし、先程述べたように、蓄えた分の電荷が消費されると電球は消灯します。

まあ、バッテリーみたいに充放電できると思っておけばOKです。

② 交流電流は流すが、直流電流は流さない。
※ 交流電流は厳密には流れているように見える

①の説明でも触れましたが、コンデンサは間に誘電体(絶縁体)を挟んでいる為、コンデンサに直流電流は流れません
交流電流でも同様に流れませんが、電流が流れているのと同等の動きをします

交流成分は位相が周期的に変化しますよね?
つまり、交流電源をコンデンサに接続するということは、直流電源の接続方向を周期的に反対にしてループさせているような状態になります

図5

すると、金属板に蓄えられる電荷の符号も周期的に変化するので、コンデンサには充放電の電流が繰り返し流れます。
その為、コンデンサ自体には電流が流れないものの、回路全体で見るとあたかもコンデンサに電流が流れているように見えるわけです

以上の関係から、コンデンサは交流電流が流れるとみなしています

③ ノイズを取り除ける

コンデンサには直流電流は流れないが交流電流は流れるという性質と、コンデンサは周波数の高い交流成分ほど交流電流を通しやすい(容量性リアクタンスXC=1/2πfCの関係)という性質を利用してノイズを除去できます。
俗に言うフィルタというヤツですね。

図6

ノイズの入っている直流電流が入力されてきたとして、上図のようにコンデンサを通してGNDに接地したとします。
すると、青矢印の方向には直流電流は流れませんがノイズ成分である交流電流は流れるので、きれいな直流電流のみ出力することができるという寸法です。

このような用途のコンデンサのことは、パスコンもしくはデカップリングコンデンサと呼びます。
詳しくはまた別途まとめてあるので、気になる方は以下の記事も参考にしてください。

④ 回路内の電圧を一定に保つ。

コンデンサは電荷を蓄えたり、放出したりできる為、不安定な電源と並列に接続することで並列回路の電圧が高いときには充電し、電圧が低いときには放電して電圧を一定に保つといった使い方ができます。

整流回路でこの特徴を発揮してくれますが、詳しい説明はここでは割愛します。

4.コンデンサの種類

コンデンサの種類をいくつか紹介します。

大まかな分類は以下の通りです。

図7

ここではよく見かけるであろうセラミックコンデンサ電解コンデンサについて記述しますが、他にも色々種類があるという点は念頭に置いといてください。

セラミックコンデンサ
  • 安い
  • 小型
  • 熱に強い
  • 高周波でも使える

セラミック(陶磁器のこと、無機物を加熱処理し焼き固めた焼結体)を使用したコンデンサ。
セラコンと略して呼んだりする。

円板型(橙色や水色のものが多い)と積層型がある。
トップ画像の橙色の四角の素子が積層型のセラミックコンデンサです。

詳しくは以下の記事を参照。

電解コンデンサ
  • 静電容量が大きい
  • 体積が小さい
  • 極性があるので注意

アルミを使用したアルミ電解コンデンサが主流。
アルミの表面に化学反応(電気分解)で発生させた酸化被膜を生成し、酸化被膜を誘電体(絶縁体)として使用するコンデンサ。

周波数特性や温度特性があまり良くない。
液漏れによる誘電体(絶縁体)の損失が起こりやすいという欠点もある。

タンタル電解コンデンサというアルミ電解コンデンサほどではないが容量が大きく、小型なコンデンサもある。
タンタル電解コンデンサはアルミ電解コンデンサの欠点だった周波数特性や温度特性が優れている代わりに、コストが上がります。

詳しくは以下の記事を参照。

5.コンデンサの静電容量の見方

コンデンサの静電容量は、製品名や本体表面から読み取れることがあります。

3桁の数字で構成されていて、以下のように判断します。

電解コンデンサは直接何[pF]か書いてあったり、ものによって表記方法は異なるので、直接確認してみると良いと思います。

また、場合によっては静電容量の許容差まで記載されていることがあります。
許容差に関しては英記号(アルファベット)で以下のように表されます。

6.コンデンサとキャパシタの違い

コンデンサはキャパシタと呼ばれていることがあります。
電解コンデンサは電解キャパシタとは呼びませんが、電気二重層コンデンサは電気二重層キャパシタとも呼びます。

一体何が違うのかと言うと、厳密には違いは無いです。
本来は全く同じ意味で用いられている用語です。
なのですが、コンデンサと言う製品全体で考えた時に小容量なものをコンデンサ大容量のものをキャパシタと呼ぶような風潮もあります

その為、セラミックコンデンサや電解コンデンサは“コンデンサ”で統一されているのですが、電気二重層コンデンサのような大容量のものは“コンデンサ”と“キャパシタ”どちらの呼び方もされていることがあります
別にどちらの呼び方でも間違えてはいないので、あまり深く気にすることはないです。
小容量ならコンデンサ、大容量ならキャパシタと定義されているわけではないですからね。

以上、「コンデンサ」についての説明でした。