【電気部品・電子部品の解説】 スイッチとは? ~外力により信号状態を切り替える部品~

電気電子

電気の仕事をしていると様々な部品を用いる機会が出てきます。
コイル・コンデンサ・IC・コンバータ・パワーサプライなどなど…名前は聞いたことあるけどイマイチ何なのか理解していないものもあるのではないでしょうか?
この記事では、そんな部品について基本からわかりやすく解説していけたらと思っています。
機械部品に関する記事も混ざってたりしますが、深く考えないでください。

分類するのが面倒だっただけです。

今回は、「スイッチ」についての説明です。

1.スイッチとは?

スイッチとは、外力により信号状態を制御する部品のことです。

中でも、接点を切り替えてON/OFFを切り替えるタイプが最も単純なスイッチで、一般的に認知されているものでしょう。
電気をつけるために押すアレや、エアコンをつけるために押すリモコンのアレのことです。

例えば、図1のような電源-スイッチ-電球が繋がった単純な回路があったとします。

図1

この場合、通常時はスイッチ部分で回路が断絶しているので電球は光らないのですが、スイッチを物理的に押し込むことでスイッチ内で回路が繋がって電流が流れるようになるので、電球は光るようになります。
物理的に押し込む(外力)ことによって信号状態が導通/非導通と切り替わっているでしょう?

2.スイッチとリレーの違い

スイッチと似たような部品にリレーという部品が存在します。
どちらも接点を切り替えることで回路をON/OFFしたりする部品のことなのですが、この2つには決定的な違いがあります。
それは、接点の切替方法です。

スイッチは人の手などで物理的に接点を切り替えますが、リレーはコイルを励磁して電磁石の力によって接点を切り替えます。
要は、スイッチは機械的に接点を動かし、リレーは電気的に接点を動かすのです。
このことから、スイッチはメカニカルリレーとも呼ばれます。

リレーについては別途まとめてあるので、気になる場合は以下の記事をご覧ください。

3.可動接点と固定接点

スイッチの接点の切り替わりですが、動く接点と動かない接点があります。
前者は可動接点、後者を固定接点と呼びます。

可動接点はCOM端子固定接点はNO端子・NC端子と呼ばれ、図示すると以下のようになります。

図2

COM端子
Common。「一般・通常・同じ」と言った意味なので、固定接点のNO端子及びNC端子に共通する端子という意味合い。

NO端子
Normaly Open。「通常は開いている」。つまり、通常時はCOM端子と繋がっていない固定接点

NC端子
Normaly Close。「通常は閉まっている」。つまり、通常時はCOM端子と繋がっている固定接点

4.接点の種類

接点には、a接点・b接点・c接点という種類があります。

a接点

COM端子とNO端子で構成されている接点
つまり、スイッチOFF時は接点がOFF、スイッチON時に接点がONになる。

図3 ※リレーの説明に用いた図を流用。
b接点

COM端子とNC端子で構成されている接点
つまり、スイッチOFF時は接点がON、スイッチON時に接点がOFFになる。

図4 ※リレーの説明に用いた図を流用。
c接点

COM端子とNO端子とNC端子で構成されている接点
「3.可動接点と固定接点」の説明に出てきた図2の接点。
回路の切替などに用いることが可能。

ちなみに、接点の個数は極数と呼ぶため、2極と書かれていたら2接点あるのだと考えましょう。

5.スイッチ動作の種類

スイッチには、よくよく考えると動作によって2つのタイプが存在します。
押してから手を離しても押した状態が保持されるスイッチと、押してから手を離すと押した状態が解除されるスイッチです。
前者をオルタネイトスイッチ、後者をモーメンタリスイッチと呼びます。

オルタネイトスイッチ

機能説明にオルタネイト動作・オルタネイトモードなどと記述されていることがある。
オルタネートになっている場合もあります。

[alternate]には[交互に]という意味があるので、押すことで交互に状態が切り替わるスイッチだということです。

スイッチのボタンを押したらを押し込まれた形のまま静止し、もう一度ボタンを押すと押し込まれた状態が解除されるタイプです。
だから一度押すと状態を保持するんですね。

例えば、扇風機の風量調節用に弱・中・強のスイッチがありますよね?
あのスイッチって、押すとそこだけ凹んだままになりますよね?
アレがオルタネイトスイッチです。

モーメンタリスイッチ

機能説明にモーメンタリ動作・モーメンタリモードなどと記述されていることがある。

[momentary]は[瞬間的]という意味なので、押しているその瞬間のみ反応するスイッチだということです。

押している間だけ動作させたかったり、1回の動作を1プッシュで完結させる用途に用いられます。

例えば、ゲーム内でスイッチを押すと扉が開き、スイッチから手を離すと扉が閉まっていくという流れがよくありますよね?
アレがモーメンタリスイッチです。
他には、バスを降りるときに押すあのスイッチも該当します。
一度押して知らせたらそれで役目は果たしていますからね。

6.スイッチの種類

スイッチには様々な種類がありますので、ここでは一部を紹介します。

押しボタンスイッチ

名称通り、ボタンを押すことでON/OFFが切り替わるスイッチ。
非常停止スイッチなどが該当します。

非常停止スイッチの場合、押せば回路が強制的に開放されて機械が止まるように設計してあるので、本当に緊急事態が発生した時には迷いなくぶっ叩けばOKです。
その為、赤や黄色と黒の組み合わせといういわゆる危険色にして存在感を放つことで、機械の操作に慣れていない人でも『これを押せば止まる』と認識できるようになっています。
もしくは、スイッチ付近にEMERGENCY STOP(緊急停止)と書かれています。

タクトスイッチ

微小電流用のモーメンタリスイッチ。
タクタイルスイッチとも呼ばれます。

プッシュ時にクリック感(押したことを認識できる感覚)がある。
タクタイル[tactile]には[触覚]という意味があるので、意味はそのままですね。

米粒程度の超小型のタイプや防塵防滴作用(シール性)を高めたタイプなどが存在するので、色んな製品に使用されている。
身近なものだと、スマートフォンの電源スイッチ、プリンタの操作パネル、風呂場の操作パネルなどに使用されています。

ディップスイッチ

DIP部品のように扱うスイッチ。
ICと同じような形状をしていて、ICのようにプリント基板に実装して使用します。
小型で紛失の心配が無いスイッチです。

ディップスイッチの切替方式は、スライド式ピアノ式回転式(ロータリ式)に分類される。
どれも切り替え方がそのまま名称に現れていて覚えやすいですね。

図6 スライド式 出典:Amazon
図7 ピアノ式 出典:Amazon
図8 回転式 出典:Amazon

実物は大分小さいので、切り替え時はマイナスドライバーやピンセットを用意しましょう。

他のスイッチはON/OFFの状態がわかりづらいのですが、ディップスイッチは目視でON/OFF状態がわかるという点は大きなメリットだと思います。
使用モードを変更する際に用いられることが多いので、PC・PLD・温度調節器なんかに使われていることがあります。

トグルスイッチ

つまみを前後・左右に操作することで回路を切り替えるスイッチ。
トグル[toggle]とは、ある操作を繰り返すことで機能や状態を切り替える仕組みのことなので、名称通りのスイッチだということですね。

つまみを操作するというわかりやすさと接点変更の確実性がウリです。

ちなみに、トグルスイッチはオルタネイトタイプとモーメンタリタイプの両方が存在します。
試験機や検査装置などに使われていることがありますが、身の回りにはあまり存在しないのではないかと思います。

ロッカースイッチ

操作ボタンの両端を押すことでシーソーのような動きをするスイッチ。
片方に傾いた状態で内部回路が繋がり、もう片方に傾けると回路が途切れます。
シーソーみたいなのでシーソースイッチとも呼ばれます。

ロック[rock]には[揺れる]という意味があるので、ロッカースイッチという名称はそこから来ています。

製品の主電源のON/OFFをするために使用されていることが多いので、プリンタや電源タップなんかに付いていて、比較的目にすることが多いスイッチです。
というか、スイッチと言って大体の人が思い浮かべる形状をしているのがロッカースイッチです。

ロータリースイッチ

操作軸を回転させることで接点を切り替えるスイッチ。
要は、ダイヤルやボリュームのことです。
カラオケなどの音響施設において音量調整をするために回すアレのことです。

ロータリースイッチは、スイッチ1つに対して複数の接点を用意できるという点が大きな特徴です。
他のスイッチは大体ON/OFFの2接点ですが、60°置きに接点を切り替えれば6接点、30°置きに接点を切り替えれば12接点になりますからね。

7.ショーティングタイプとノンショーティングタイプの違い

スイッチの種類をいくつか紹介しましたが、他にもスイッチを切り替える瞬間の状態によって2つのタイプの分類が存在します
それが、ショーティングタイプノンショーティングタイプです。
特に、ロータリースイッチではどちらのタイプなのかは重要になってくるので、注意が必要だったりします。

ショーティングタイプ

ショーティングタイプ[shorting type]。
要は、ある接点から別の接点に切り替わる瞬間に接点同士がショートするタイプです。

ノンショーティングタイプ

ノンショーティングタイプ[non shorting type]。
要は、ある接点から別の接点に切り替わる瞬間に接点同士がショートしないタイプです。

ショートと言うと悪い意味に捉えられがちですが、スイッチの接点に関しては接点がショートした方が良い場合とショートしていない方が良い場合がありますので、いくつか例を挙げていきますね。

例1:抵抗を切り替える

ロータリースイッチを使用して、抵抗を10kΩ・20kΩ・30kΩと順番に変化させていきたかったとします。
その為に、図12のような回路を組みました。

図12

ロータリースイッチの操作軸部分を時計回りに回転させていくと接点が切り替わっていき、端子a-b間の抵抗値が10kΩ⇒20kΩ⇒30kΩと順番に変化していくわけです。

この例の場合、ショーティングタイプだと問題は無いのですが、ノンショーティングタイプだとある問題点が浮上します。

図12の状態だと、ショーティングタイプは左と上の両方の接点に繋がっていますので、左の経路と上の経路が並列に繋がることになります。
すると、ほぼ0Ω(回路)と10kΩが並列になっていることになるので、端子c-b間の合成抵抗は10kΩになります。
従って、端子a-b間の抵抗値は10kΩになります。
ここからギリギリ左の接点に触れない程度まで操作軸を回転させることで20kΩに変化するわけです。
なので、抵抗値がスムーズに変化できるのです。

それに対して、図12の状態のノンショーティングタイプを見ると、左の接点にも上の接点にも繋がっていない微妙な位置に操作軸があることがわかります。
つまり、端子a-b間が繋がっていない状態が出来てしまいます。

それが何を意味しているのかわかりますか?
回路が断線した状態、抵抗値が無限大∞になる区間ができてしまうんですよ
なので、端子a-b間の抵抗値を10kΩ⇒20kΩ⇒30kΩと変化させたいのに、10kΩ⇒∞⇒20kΩ⇒∞⇒30kΩという変化になってしまうのです。
これでは本来想定していた用途では使えないですよね。

例2:負荷を切り替える

今度は、ロータリースイッチで繋ぐ負荷を切り替える場合について考えます。

図13

端子hの先に電源があり、端子e・端子f・端子gの先にそれぞれ別の負荷を繋ぐようなイメージです。

この用途の場合、ショーティングタイプだと問題があり、ノンショーティングタイプを使用するのが適切になります。

ショーティングタイプは回路が断線した状態が存在しません。
その為、図13の状態だと端子fと端子gどちらとも繋がってしまうわけです。
負荷を切り替える想定の場合、電源はどれか1つの負荷に繋がるのであって、複数の負荷に繋がることまで考えていません
なので、過負荷になってしまう可能性があります。

その点、ノンショーティングタイプなら負荷切り替え時に確実に回路が切り離されるので、安全に切り替えができるわけです。

このように、ショーティングタイプ/ノンショーティングタイプでなければいけない場合があったりするので、使用用途からどちらが適しているか判断しましょうね。

ちなみに、ロータリースイッチを例に挙げているのは、ロータリースイッチだとショーティングタイプとノンショーティングタイプの選択が必要になる場面が多いからです

他のスイッチに関しては、両タイプが存在したり、片方のタイプしか存在しなかったり、そもそもどちらのタイプでも問題無いという場合が多いです。
大体2接点しかないからね。

以上、「スイッチ」についての説明でした。


タイトルとURLをコピーしました