今回は「株式の発行数の決まり方(発行可能株式総数と授権資本制度と定款の関係)」についてです。
1.初めに
株式会社は運営資金調達のために株式を投資家に売って、その株式を投資家は日々売買しています。
ここで考えてみて欲しいのですが、もし買い注文が一気に殺到したとします。
株式の発行数に上限はあるのか、上限があったとして株式が足りなくなったらどうするのか、疑問に思いませんか?
今回はそんな株式発行数の決まりごとについて解説していきます。
2.株式の発行数は決まっている
まず答えから言うと、株式の発行数は法律で定められた授権資本制度によって上限が決まっています。
なので、もし買い注文が増え過ぎて発行数の上限に達しそうになったら、特別な手続きをして上限を変更する必要があります。
経営者判断で「足りなくなったから株式の発行数を増やそう!」とか安易にできるものではないんですね。
3.授権資本制度とは?
授権資本制度とは、株式会社が定款(※)に発行可能な株式総数をあらかじめ規定しておく制度のことです。
この制度により、会社の経営者が勝手に株式発行を乱発できないようになっています。
株式は会社の所有権を売っていますよね?
もし仮に発行可能株式総数が決められていなかった場合、持ち株比率をコントロール可能になってしまいます。
例えば、気に入らない株主Aさんがいたとして、Aさんの持ち株比率は20%だったとします。
ここで、会社の経営者が勝手に新しい株を大量発行して株式の総数を倍に増やし、自分の息のかかった人間に売りさばいたとします。
すると、Aさんの持ち株比率は相対的に10%まで下がり、経営者にとって都合の良い人間の持ち株比率は上昇することになります。
持ち株比率は議決権に関わってくるので、持ち株比率が減ることでAさんの発言力や権限を削ぐことができてしまうのです。
こんなことが横行していたら不正し放題ですし、株主であることの価値が損なわれてしまいます。
そうなると、株価にも影響するかもしれないのです。
1株当たりの価値が減るので、株価が下落する可能性が高いですかね。
その為、会社を健全に運営するためには授権資本制度で発行可能株式総数を規定しておくことは極めて重要なのです。
※定款とは?
定款とは、会社の基本的なルールをまとめた公式文書のことです。
定款は、会社を作るときに必ず作成し、法務局に提出することが義務付けられています。
定款には法律で絶対に書かなければならないとされている必須項目があります。
その項目は、以下の通りです。
- 会社の目的(何をする会社なのか)
- 商号(会社名)
- 本社所在地
- 発行可能株式総数
- 設立時に発行する株数
- 公告方法(決算などをどう公表するか)
これらの必須項目以外は会社ごとに何が書いてあるのかは異なってきます。
定款の内容変更には、株主総会の特別決議が必要です。
その為、定款に書かれていることは絶対的な効力のあるルールとなるので、その会社にとって重要な内容は定款に載っていることになります。
定款は、上場企業の場合は公式のホームページに基本的に用意されているIR情報([Investor Relations]、会社が投資家向けに情報を公開している専用ページ)に載っているので、気になった方は試しに見てみるといいかもです。
4.会社設立時の発行株数について
定款に記載されている発行可能株式総数のことを授権資本と呼ぶのですが、会社を設立する際に発行可能株式総数のうち1/4以上を発行すれば良いとされています。
上限いっぱいまで発行しなければならないというわけではありません。
なので、会社設立時に授権資本の1/4の株式を発行して、その後に取締役会決議により発行可能株式総数の範囲内で新株を発行するといったことは可能です。
ただし、新株を特定の相手にのみ売ったりすると先述のように議決権の関係で不正が横行してしまうので、場合によっては特別決議が必要になったりするそうです。
5.発行可能株式総数を増やす方法
ここまで説明したように、発行可能株式総数は定款に載っているので、経営者が勝手に増やすことはできません。
ただ、発行可能株式総数を増やす方法自体はいくつか存在します。
単純な話、『定款に書かれている発行可能株式総数を超えてはいけないのなら、その定款の内容を変更すればいいよね』という話です。
ただ、定款は会社の絶対的なルールなので、ちょっと変えようと思って変えれるものではありません。
定款の発行可能株式総数を変更したいのなら、株主総会の特別決議が必要になります。
株主の同意を得た上なら発行可能株式総数を増やすことは可能なのです。
定款に「株式分割を行った場合、発行可能株式総数も同じ割合で増加する」といった条文が入っている場合、株式分割することで疑似的に発行可能株式総数を増やすことが可能です。
この一文があれば、取締役会決議だけで発行可能株式総数を増やせます。
一文が無い場合は、こちらも株主総会の特別決議が必要になります。
以上、「株式の発行数の決まり方(発行可能株式総数と授権資本制度と定款の関係)」についてでした。






