【基礎から学ぶトランジスタ】 バイポーラトランジスタにベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由と定数の選び方

電気電子
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私たちの身の周りにある電子製品には、様々な電子部品が使用されています。
そんな中でも、特に根幹的な部分に使用されている重要な部品として、トランジスタという部品が存在します。
何かしらのICが存在したのなら、トランジスタはほぼほぼ使用されています。
本記事では、そんなトランジスタの種類・構造・特性などについてまとめてみました。

今回は、「バイポーラトランジスタにベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由と定数の選び方」についての説明です。

1.初めに

バイポーラトランジスタ(※FETじゃない方の一般的なトランジスタ、以降はトランジスタと表記します)が使用されている回路図を眺めていると、ベース端子に抵抗が接続されていたり、ベース-エミッタ間に抵抗が接続されていることはありませんでしょうか?

図1のようなイメージです。

図1

ベース抵抗及びベース-エミッタ間抵抗については、部品によっては内蔵されている種類なんかもあります。

このように、抵抗を内蔵したトランジスタのことは、デジタルトランジスタ、略してデジトラと呼ばれています。

ベース端子に抵抗を繋いでいるのはまだなんとなくわかるかもしれませんが、ベース-エミッタ間に抵抗が繋がれている理由は初見ではわからないかと思います。
トランジスタの各端子がどんな役割・接続をするものなのかは教科書で習ったとしても、ベース-エミッタ間に抵抗を繋いでいる場合については多分教科書では習いませんからね。

そして、ベース-エミッタ間抵抗は絶対に繋がれているわけではないところが更に混乱に拍車をかけます。
繋がっていないと壊れる可能性もあるのですが、不要な場合は普通に繋がってないんです。

では、この抵抗はどのような対策として繋いであるものなのでしょうか?

ということで、今回はトランジスタにベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由と、適切な定数の考え方について解説していきます。

※ベース抵抗が繋いである理由については別途まとめていますので、本記事では触れません。

2.トランジスタにベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由

まずは、ベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由から説明していきます。

ベース-エミッタ間抵抗RBEは、大まかに以下の2つの理由で用いられます。

①ベース端子からのノイズによる誤動作防止
②コレクタ遮断電流I(漏れ電流)による誤動作防止

①ベース端子からのノイズによる誤動作防止

例えば、KTC3875SというKEC社製のトランジスタを、以下のように接続したとします。

図2

この状態でベース電圧VBを印加した場合、ベース電流IBとの関係は以下のようになります。

(VB-VBE)÷R001=IB

ベース抵抗R001の両端の電位差はベース電圧VBからベース-エミッタ間電圧VBEを差し引いた値なので、オームの法則を適用しただけです。

ベース-エミッタ間はpn接合ダイオードと同じ構造になっているので、ベース-エミッタ間電圧VBEは一般的なダイオード同様に大体0.6~0.7Vの一定値の電圧になります。
その為、ベース-エミッタ間電圧VBEとベース抵抗R001は固定値となり、ベース電圧VBとベース電流IBは比例関係にあることがわかります。
よって、ベース電圧VBを変化させることでベース電流IBを調整し、ベース電流IBと電流増幅度hFEの関係からコレクタ電流ICを制御可能になっています

ここで問題となってくるのは、ベース-エミッタ間電圧VBEです。

ベース-エミッタ間はダイオードと同じ構造なので、0.6~0.7V程度のベース電圧が掛からなければトランジスタはONになりません。
ただ、0.6~0.7Vとは一般的な値であって、状況によってはもう少し小さな値でもトランジスタが動作してしまうことがあります。
なので、ノイズのような意図していない微小な電圧が一瞬掛かった際に、瞬間的にトランジスタが誤動作してONになってしまう可能性があるのです。

そこで、ベース-エミッタ間抵抗RBEの出番です。

図2の回路にベース-エミッタ間抵抗R002を追加すると、以下のようになります。

図3

ここで注目すべきは、ベース-エミッタ間電圧VBEがベース-エミッタ間抵抗R002の両端電圧にもなっているという点です。

この回路における電流の関係は、IB=I1+I2になっています。
普通に分流されているだけですからね。

そして、トランジスタがONになる時の電流I2は、ベース-エミッタ間抵抗R002にトランジスタがONになる時のベース-エミッタ間電圧である0.6~0.7Vの電圧が掛かった値となります
IB=I1+I2の関係なので、IB>I2になります。

ということは、ベース-エミッタ間抵抗R002に0.6~0.7V程度の電圧を掛けれるだけの電流が流れなければ、トランジスタはONすることが無いのです。

その為、ちょっとしたノイズとして微小な電圧・電流がベース端子から入ってきたとしても、ベース-エミッタ間抵抗R002を経由してGNDに逃げていくようになり、トランジスタの誤動作防止に結びつくというわけです。
まあ、大きなノイズが入ってきたら保護できませんけどね。

②コレクタ遮断電流I(漏れ電流)による誤動作防止

トランジスタは、ベース端子に電圧を印加していない状態でも、コレクタ端子からベース端子に向けて微小な電流が流れます。
漏れ電流というヤツです。
この電流のことをコレクタ遮断電流ICBOと呼びます。

その為、ベース端子に何も電圧を印加していないとしても、ベース電流IBとしてコレクタ遮断電流ICBOが入ってきてしまい、トランジスタが誤動作する可能性があります。

この場合も、ベース-エミッタ間抵抗RBEを追加してあげれば誤動作防止に結びつきます

考え方は①のノイズを逃がした時と同じです。
コレクタ遮断電流ICBOというノイズがベース端子に掛かってくるので、それを逃がすためにベース-エミッタ間抵抗RBEを設けようというだけの話です。

3.ベース-エミッタ間抵抗の適切な定数設定について

ベース-エミッタ間抵抗が必要な理由を説明したので、次はベース-エミッタ間抵抗の定数の決め方について説明します。

コレクタ遮断電流ICBOは、大体0.1~1.0μA程度流れます。
ノイズに関しても同程度の電流が流れると仮定し、ここではコレクタ遮断電流ICBOが1.0μA流れている時の影響をベースに考えていきます。

ベース-エミッタ間抵抗RBEがあると、コレクタ遮断電流ICBOはベース-エミッタ間抵抗RBEを経由してGNDに流れていきます。

図4

この時、ベース-エミッタ間抵抗RBEの両端に掛かる電圧VRBEは、以下のようになります。

VRBE=RBE×ICBO

図4を見たままですね。

このベース-エミッタ間抵抗の両端電圧VRBEがトランジスタが動作する最低限のベース-エミッタ間電圧VBEMINよりも小さくなっていれば、コレクタ遮断電流ICBOが流れたとしてもトランジスタが動作するだけの電圧・電流は掛からないので、トランジスタは誤動作しないことになります。
つまり、VBEMIN>VRBEになっていれば問題無いわけです

なので、トランジスタが動作する最低限のベース-エミッタ間電圧VBEMINを決めてあげれば、ベース-エミッタ間抵抗RBEの値が定まります。

ここでは、トランジスタが動作する最低限のベース-エミッタ間電圧VBEMINを10mVだとします。

この場合のベース-エミッタ間抵抗RBEは以下のようになります。

よって、上記の条件ならベース-エミッタ間抵抗RBEは10kΩ程度にしておけば良いことがわかります。

このように、ベース-エミッタ間抵抗RBEは「①コレクタ遮断電流ICBOがどの程度流れるのか」、「トランジスタが動作する最低限のベース-エミッタ間電圧VBEMINをいくらとするのか」という条件付けにより、その値が変化します。
その為、ベース-エミッタ間抵抗RBEは、大体1kΩ~100kΩくらいになっていることが多いです
私がよく見かけるのは10kΩですかね。

以上、「バイポーラトランジスタにベース-エミッタ間抵抗が繋いである理由と定数の選び方」についての説明でした。