【基礎から学ぶメモリ】 ROMの種類 ~MROM・PROM・OTPROM・EPROM・EEPROMの違い~

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IT系の勉強をしていると、知っていて当たり前かのようにフラッシュメモリがどうのレジスタがどうのメディアがどうのという説明が出てきます。
何れも“メモリ”の一種なのですが、素人からするとどんなメモリなのか知らなかったり、メモリの一種だと名称から判断できないものもあったりします。
私も専攻は電気系ですので、例に漏れず何が何やらサッパリでした。
なので、メモリに関する基礎的な知識を調べて、自分なりにわかりやすくまとめてみました。

今回は、「ROMの種類」についての説明です。

1.初めに

最近は使われないかもしれませんが、インターネットの掲示板やスレッドなどで『ロムってろ』という発言を見たことがありませんか?
アレは、他の人の発言を閲覧するだけで自分からは発言しないように…要は『黙って見てろ』みたいな意味になります。

ここで言う“ロム”は、メモリの一種である“ROM”が語源になっています。

今回は、そんなROMの説明とその種類についてまとめていこうと思います。

ちなみに、「ロムる」は一般用語ではないので、意味が通じない人は普通にいます。
日常生活で使用するのは止めましょうね。

2.ROMとは?

ROMとは、英語で[Read Only Memory]と書きます。
その名の通り、読むことしかできないメモリです。

メモリとは、コンピュータのデータやプログラムを保存することができる記憶装置のことです。
つまり、ROMはデータを引っ張り出すことはできるけど、新たにデータを書き込む・変更することはできないんですね
読み取り専用というヤツです。
だから『ロムってろ』という発言が『書き込みはせずに見てろ』みたいなニュアンスで使われていたわけです。

ちなみに、データの読み書きが自由にできるメモリはRAMと呼びます。
RAMの方はメインメモリとも呼ばれたり、メインメモリは単にメモリと呼ばれたり、メモリの意味は本来メインメモリ以外の記憶媒体も指すものだったりと中々カオスです。

ファームウェアというハードウェアのメモリ領域に書き込まれているハードウェア制御用のソフトウェアがあります。
ファームウェアは、その機器を制御する用途以外には全く使えません。
ということは、ファームウェアは基本的に書き換える必要が無いソフトウェアなんです。
先程、データの書き込み・変更ができないメモリの話をしましたよね?
このファームウェアを書き込むメモリがROMなのです。
まあ、最近は普通にファームウェアの書き換えができるようになってるんですけどね。
この辺りの説明は次項のROMの種類の中で説明していきます。

ちなみに、ROMは不揮発性メモリ(電源を落としてもデータを保持するメモリ)です。
まあ、電源を消す度にハードウェア制御用のソフトウェアが消えたらたまったものじゃないですから、当然と言えば当然です。

3.ROMの種類

ROMには、MROM・PROM・OTPROM・EPROM・EEPROMという具合に、結構な種類があります。
一つ一つ説明していきますが、先にイメージ図を表記しておきますね。

ROMの分類

ROM

読み取り専用メモリとして開発。
技術が進歩したので名前に反して書き込みが可能になっている。
ROMの中にMROMとPROMという分類がある。

MROM(マスクROM)

[Mask Read Only Memory]の略称で、マスクROMとも呼ばれます。
[Mask]ROMという名称通り、ROMの分類の一つです。

初期に開発された本当の意味でのROM(読み取り専用メモリ)のことで、製造工程でデータを書き込んで以降は一切の書き込みが不可能になります。
構造上ガチで書き換えが不可能なのです。
その為、本来の意味のROMはMROMを指しているのです。

書き換えが一切できないようにすると構造が単純になり、大量生産時のコストが安くなります
なので、家庭用ゲーム機のゲームソフトなどにはよく使用されていたようです。
ただ、いざデータの変更が必要という事態に陥った場合、MROM用の半導体チップの回路パターン(フォトマスクという)から修正する必要がある為、生産スピード・費用共に大幅なロスになります。
MROMを使用する場合は、製品状態として売りに出しても問題ないと思える出来にしないと危ないということです。

ROMを分類すると、書き換えが不可能なMROMか書き換えが可能なPROMのどちらかになります。

PROM(プログラマブルROM)

[Programable Read Only Memory]の略称で、プログラマブルROMとも呼ばれます。
[Programable]ROMという名称通り、ROMの分類の一つです。

購入者が自分でデータを書き込めるような用途を想定して開発したROMです。
『もはや読み取り専用じゃないけど?』というツッコミは受け付けません。
ROMが進化した末にできたものなので、名前がROMのままなんですよ。

製造工程ではデータを何も書き込まずに空の状態で出荷を行い、その空のPROMに購入者が自分で用意したデータを書き込んで使用します
この書き込み用の専用機器のことをROMライター呼びます。

ROMを分類すると、書き換えが不可能なMROMか書き換えが可能なPROMのどちらかになります。
そして、PROMを分類すると、一度データを書き込んだら書き換えが不可能になるOTPROMか一定回数データの書き換えが可能なEPROMのどちらかになります。

OTPROM(ヒューズROM)

[One Time Programable Read Only Memory]の略称です。
[One Time]PROMという名称通り、PROMの分類の一つです。

専用の機器を使用してデータの書き込みが一度だけ可能なPROMのことです。

本人認証の時に、ワンタイムパスワードって見たことありませんか?
登録したメールアドレスや電話番号宛に一度きりのパスワードを送り、そのパスワードを入力することで本人確認を行うヤツです。
あの“ワンタイム”と指している内容は同じです。
“一度だけ”書き込めるROMなのです

OTPROMは、内部の電線を電気的に焼き切って書き込みを行います。
焼き印みたいなものなので、一度焼き付けたらもう元には戻りません。
だから一度しか書き込めないんです。
その書き込み方法からヒューズROMとも呼ばれます。

PROMを分類すると、一度データを書き込んだら書き換えは不可能なOTPROMか一定回数データの書き換えが可能なEPROMのどちらかになります。

EPROM(UV-EPROM)

[Erasable Programable Read Only Memory]の略称です。
[Erasable]PROMという名称通り、PROMの分類の一つです。

専用の機器を使用してデータの書き込みが一定回数可能なPROMのことです。
Read Onlyという概念は消し飛び、もはやROMとは言えなくなってきたROMです。

EPROMとRAM(データの読み書きが自由なメモリ)は似ています。
どちらもデータの書き込みが可能なメモリですからね。
ですが、EPROMは“消去可能”と言っている通り、データを書き換える場合は一度全データを消去する必要があります
それに対して、RAMは一部のデータだけ書き換えることが可能です。
EPROMとRAMの大きな違いはここですね。

EPROMのデータは、パッケージ上部のガラス部から見える半導体チップに強い紫外線を照射することで消去可能です。
この性質から、UV-EPROMとも呼ばれます。
EPROMのデータの消去には紫外線照射装置が必要なので、データを書き換えるためには一度装置から取り外す必要があります

PROMを分類すると、一度データを書き込んだら書き換えは不可能なOTPROMか一定回数データの書き換えが可能なEPROMのどちらかになります。

EEPROM

[Electrically Erasable Programable Read Only Memory]の略称です。
[Electrically]EPROMという名称通り、EPROMの派生です。

電気的に内容の書き換え・データの消去が可能になったEPROMです。
EPROMを改善してできたのがEEPROMということです。

EPROMのデータを消去するためには紫外線照射装置が必要でした。
なので、データを書き換えるためにはEPROMを一度装置から取り外す必要がありました。
そこで、読み書きを電気的に行えるようにすることで取り外す必要性を無くしたEEPROMが開発されました。
電気的な読み書きには専用の機器が不要になっているという点も進歩しています。

まとめると、ROM→PROM→EPROM→EEPROMという順番で進化をしていったわけです。

ちなみに、更にEEPROMを改良することでフラッシュメモリ(SDカード・USBメモリなど)が誕生しています。
EEPROMまではコンピュータの補助記憶装置(メインメモリを補助する側のメモリ)として使われていましたが、フラッシュメモリを使ったSSDなどはメインメモリとしても使われるようになっています。
そのためか、フラッシュメモリの分類はRAMでもROMでもない微妙な立ち位置になっています。

以上、「ROMの種類」についての説明でした。