【基礎から学ぶ光電素子】 光の強さを表す用語 ~光束・照度・光度・輝度の違いについて~

電気電子
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私たちの身の周りには、電気エネルギーと光エネルギーとの間で変換が可能な部品が存在します。
有名なものとしてはLED…発光ダイオードが挙げられます。
最近では電球型のLEDなんかも市販品として普及しているので、一般人でも手に取る機会は増えているかと思います。
そんなLEDですが、分類としては“光電素子”というものになります。
光電素子には様々な種類が存在しますので、その構造や動作などについてわかりやすくまとめていこうと思います。

今回は、「光の強さを表す用語」についての説明です。

1.初めに

次の記事から本格的に光電素子の種類や動作原理なんかについて解説していきますが、もう一つ先に理解しておきたい項目があります。
それは、光の強さを表す用語です。

光というと何となく暗ぼったいだとか妙に眩しいだとか、私たちの目では見え方が異なりますよね?
そんな私たちの目線に沿った光の強さの指標もあれば、光源自体が持つ光の強さを表している指標も存在するのです
しかも、そららの用語は全てが『“光の強さ”を表している用語っぽいね』と思える字面をしています。
同じような用語に感じるけど、その意味は全く異なるのです。

なので、光電素子のデータシートを眺めた際にこれらの用語が出てきた場合、意味を取り違えてしまう可能性があります。

そこで、今回はそんな光の強さを表す用語についてわかりやすく解説していこうと思ったわけです。
似たような意味だった場合はその都度どう違うのかを噛み砕いて説明しますので、そこは安心してください。

2.光の強さを表す用語の違い

光の強さを表す用語は、以下の4種類が存在します。

  • 光束
  • 照度
  • 光度
  • 輝度

それぞれ解説していきますね。

光束

単位時間当たりの光の量のこと。
単位は[lm](ルーメン)です。

私たちの家では照明にLEDや蛍光灯が使われていますが、照明をつけると部屋全体が照らされますよね?
この光源自体が発する全体的な光の強さのことを光束と呼ぶのです
要するに、光源全体の明るさがどの程度なのかを表す用語です。

俗的な例えをすると、体力・攻撃力・防御力・素早さなどのパラメータがあり、それらを加味した総合力が算出されたとします。
この総合力が光束です。

ある方向への光の強さ・光の拡散範囲など様々な要素がありますが、総合的に『この光源はこの程度明るいよ!』と示しているのが光束なのです
スカ○ターで読み取れる戦闘力みたいなものです。
戦闘力は低くても気の扱いに優れているク○リンは、気○斬で○ッパをビビらせたり○リーザの尻尾(?)を切り落としたりしていたでしょう?
何か突出した能力があったとしても、平均した能力がそこまでなら光束は低くなるのです。

図1

照度

光源に照らされている単位面積当たりの明るさのことです。
単位は[lx](ルクス)です。

言い方を変えると、単位面積当たりに照射される光束のことです。

光束は方向や照射位置を気にしない総合的な光の強さを表していましたが、照度はある場所を照らした際の明るさを指しているのです

例えば、同じ照明を天井から1mの位置と3mの位置に吊るしたとします。
この時、各照明の真下の1m2の床をより照らすのは3mの位置に吊るした光源ですよね?
そちらの方が床に近いのだから、より床を照らしてくれるに決まっていますから。

こんな時に、「3mの位置に吊るした照明の方が照度が高い」と言えるのです。

図2

光度

ある方向へ照射される光の強さのこと。
単位は[cd](カンデラ)です。

難しい言い方をすると、立体角密度のこと・光束を光源を中心とした立体角で微分した値です。
その為、「光束÷単位立体角=光度」という関係式が成り立ちます。
要は、の密だと思えば良いわけです。

照明器具は部屋全体360度を照らす用途で使用しますが、懐中電灯や車のヘッドライトは前方のみ照らす用途に使用しますよね?
この懐中電灯や車のヘッドライトの明るさを表す際に使用される指標が光度です
前方というある一方向のみを照らしているでしょう?
LEDにおいても光度が良く使われます。

図3

ちなみに、光度と照度が似たような意味に感じるかもしれませんが、全くの別物です。

光度はある方向に限った光束のことなので、『光源がこの方向に対してはこの程度の光を発するよ!』と表していることになります。
それに対して照度は、『あそこに光源があるけど、この位置ならこの程度の明るさに感じるよ!!という程度を表していることになります。

光度は光源自体の明るさなのでそれを観測する側のことは考えていませんが、照度は観測する側の視点の話なのです。

輝度

ある方向から光源を見た際の単位面積当たりの明るさのこと。
単位は[cd/m2]です。

簡単に言うと、人が光源を目視した際の眩しさのことです。

単位からわかる通り、単位面積当たりの光度が輝度に当たります。
パソコンやスマートフォンの画面を見た際の眩しさを表す程度が輝度だとイメージしてください。
『この画面がもし1m2の面積だったとしたら、この程度の光度を持っていますよ」という程度を表しているのが輝度なのです。

輝度が高い方が画面がくっきり見えるので高輝度を推しポイントとしているディスプレイがあったりするのですが、輝度が高いと結局は光が強いということなので、それだけ目が疲れやすくなります。
もしも仕事中にパソコンを弄っていて頭が頻繁に痛くなる場合、この輝度が無駄に高くなっている可能性があるので、調整すると良いかもしれません。
まあ、周りの蛍光灯の照明と輝度が違い過ぎるとそれはそれで目に悪いとは思いますが…。

図4

単位面積当たりの光の明るさとだけ言うとこれまた照度と誤解しやすいのですが、照度は光源を始点とした時の対象物の照らされた単位面積における明るさを表していて、輝度は対象物(人)を始点として光源が単位面積当たりにどの程度明るく見えるのかを表しています。

同じ単位面積における光の明るさを指していますが、視点が異なるので全く別の単語となりますので注意しましょう。

以上、「光の強さを表す用語」についての説明でした。