【基礎から学ぶ光電素子】 フォトカプラとは? ~接地電位の異なる絶縁された回路間を光で繋ぐ素子~

電気電子
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私たちの身の周りには、電気エネルギーと光エネルギーとの間で変換が可能な部品が存在します。
有名なものとしてはLED…発光ダイオードが挙げられます。
最近では電球型のLEDなんかも市販品として普及しているので、一般人でも手に取る機会は増えているかと思います。
そんなLEDですが、分類としては“光電素子”というものになります。
光電素子には様々な種類が存在しますので、その構造や動作などについてわかりやすくまとめていこうと思います。

電気の仕事をしていると様々な部品を用いる機会が出てきます。
コイル・コンデンサ・IC・コンバータ・パワーサプライなどなど…名前は聞いたことあるけどイマイチ何なのか理解していないものもあるのではないでしょうか?
この記事では、そんな部品について基本からわかりやすく解説していけたらと思っています。
機械部品に関する記事も混ざってたりしますが、深く考えないでください。

分類するのが面倒だっただけです。

今回は、「フォトカプラ」についての説明です。

1.フォトカプラとは?

フォトカプラという製品を知っていますか?
私は社会に出て電気の仕事をやり始めてから知ったような気がします。
大学で勉強してない…気がする。

フォトカプラは英語で[photocoupler]と書きます。
光をカップリング(結合・連結)するものという意味合いになりますね。
実際、フォトカプラは接地電位の異なる絶縁された回路間を光を利用することで疑似的に繋ぐことができる素子となっています。
光を繋ぐというより光で繋ぐわけです。

具体的に言うと、電気的に繋がっていない絶縁された2回路間で信号だけを伝えることが可能になります。
リレーみたいな機能を持っている素子がフォトカプラだと思っておけばいいです。

リレーはコイルに電流を流して電磁誘導によってコイルと絶縁された接点のON/OFFを切り替えているのですが、フォトカプラの場合は発光素子に電流を流してその光を受光素子が受け取ることにより接点のON/OFFを切り替えているというイメージになります
※イメージの話であって、フォトカプラの受光素子側が図2のような構造になっているわけではありません。

図1 リレーの動き(赤枠部分がリレー)
図2 フォトカプラの動き(赤枠部がフォトカプラ)

呼び方は普通にフォトカプラと呼ぶほかに、カプラフォトアイソレータなど結構種類があります。
アイソレータとは、信号絶縁器(isolationで“絶縁”の意)のことなので、どちらにしろ意味は普通に通ります。

単純に絶縁された回路間で信号を伝えるために使うほか、光を通したり遮断したりすることによりスイッチング動作に利用することも可能です。

2.フォトカプラの回路記号

回路記号は以下の通りです。

図3

矢印が光の向きになっていて、光を照射するLEDと光を受け取るフォトトランジスタで構成されていることが多いです。
詳しくは次の項で説明します。

フォトカプラの実物も参考として載せました。
樹脂から出ている足が回路記号の足4本と合致します。

3.フォトカプラの構造と原理

フォトカプラは発光素子と受光素子で構成されていて、素子間に絶縁物(※ 光は透過する)を介しています

発光素子にはLED(発光ダイオード)が使用されます
※[Light Emitting Diode]、直訳で光を放っているダイオード。

対して、受光素子にはフォトトランジスタなどが使用されています
受光素子によって利点・欠点があるわけですが、応答性は悪いものの感度の高さ(正確な動作に直結)からフォトトランジスタが使われることが多いようです。
普通のトランジスタはベースに電流が流れるとスイッチング動作をしますが、フォトトランジスタは光を照射することで動作します。

図3の回路記号と実物を見てもわかると思いますが、フォトカプラは樹脂で覆われているだけで中身は結構単純なんです。

フォトカプラの動作としては、まず発光素子に電気信号が入力されることで電気信号が光に変換されます。
その変換された光を受光素子が受け取ると、今度は光が電気信号に変換されて出力されます。
このように電気→光→電気というエネルギー変換を行うことで、入力回路に電気信号が入ったことを絶縁されている出力回路も認識できるわけです。

4.フォトカプラの特徴

フォトカプラの特徴について記述していきます。
ここまでの説明で簡単に述べた部分もありますが、再度確認の意味を込めて見てみましょう。

①絶縁された回路間で信号の送受信が可能。
接地電位の異なる絶縁された回路間で信号を伝えることができたり、絶縁されているのでノイズの影響を受けづらいというメリットがあります。
また、絶縁されているので意図しない電流が発光素子側から受光素子側へ流れ込むことが無く、安全面でも優れています。

②比較的安い。
発光素子と受光素子から成るというシンプルな構造をしているので、そこそこ安く済みます。

③比較的寿命が長い。
光を送受信するので物理的接触がありません。
なので、接触による摩耗が無く、寿命は長めです。
光電素子だから当たり前と言えば当たり前ですけどね。

④発光素子の発光効率が変動しやすい。
発光素子としてよく使われるLEDは、経年劣化や温度変化によって発光効率が変動しやすいです。
長時間の稼働や高温時は発光出力の低下が懸念されているので注意が必要です。

5.フォトカプラ使用時の注意点

発光素子に電流が流れたら光を発して、その光を受け取った受光素子が電流を流すという単純な動きをするのがフォトカプラなわけですが、単純と言っても最低限注意しておくべきことはあります。
それは、受光素子に流れる電流です。

受光素子は基本的にフォトトランジスタを使用しているのでその体で話しますが、トランジスタはベース電流を流せば流すほどコレクタ電流が増幅される特性を持っています
この特性はフォトトランジスタにも同じことが言えます。
つまり、強い光を照射するほど受光素子(フォトトランジスタ)に流れる電流は大きくなります。
なので、受光素子側に流したい電流値になるように発光素子側の電圧値を調整する必要があります。

また、発光素子・受光素子共に流せる電流の最大値についても考慮する必要があります。

逆に言うと、大体電流に注意すると覚えておけば何とかなります。

以上、「フォトカプラ」についての説明でした。