【基礎から学ぶトランジスタ】 MOSFETの特性グラフから実際の回路のIDとVDSを導く方法

電気電子
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私たちの身の周りにある電子製品には、様々な電子部品が使用されています。
そんな中でも、特に根幹的な部分に使用されている重要な部品として、トランジスタという部品が存在します。
何かしらのICが存在したのなら、トランジスタはほぼほぼ使用されています。
本記事では、そんなトランジスタの種類・構造・特性などについてまとめてみました。

今回は、「MOSFETの特性グラフから実際の回路のIDとVDSを導く方法」についての説明です。

1.初めに

「FETの特性グラフ」の説明時に、ID-VDS特性グラフというものが出てきました。
ゲート電圧VGSごとのドレイン-ソース間電圧VDSとドレイン電流IDの変化を表したグラフです。

参考として、エンハンスメント型MOSFETの特性グラフを以下に示します。

図1

このグラフの意味するところはわかると思うのですが、実際にどのように使用するのかと言われると疑問がわきませんか?

ということで、今回はこのグラフを実際の回路にてどのように活用していくのかを例を用いて説明していきます。

2.MOSFETの特性グラフから実際の回路のIDとVDSを導く方法

以下のような特性を持つMOSFETがあったとします。

図2

このMOSFETを図3のように繋いだ場合、ドレイン電流ID及びドレイン-ソース間電圧VDSがどうなるかを特性グラフから読み取ってみます。

図3

まず、IDとVDSの関係を式で表します。

VDSは、供給電圧VDDから抵抗Rでの電圧降下を差し引いた値となるので、VDS=VDD-RIDという式が成り立ちます。
ここに各値を代入していきます。

この式を特性グラフ内に描き込みます。

VDSが5[V]の時はIDが0[A]、VDSが4[V]の時はIDが100[μA]…という具合にプロットしていきます。

図4

こうして描いた直線のことを負荷直線と呼びます。

この負荷直線と、該当するVGSが描くグラフの交点が、実際のID及びVDSになります。
今回はVGSを4[V]としているため、IDは約190[μA]、VDSは約3.1[V]だと読み取れます。

このように、実際の回路のIDとVDSを求めたい場合は、負荷直線を描いて特性グラフに描き込みましょう。

以上、「MOSFETの特性グラフから実際の回路のIDとVDSを導く方法」についての説明でした。