【基礎から学ぶ電気回路】 Δ-Y変換の練習問題 ~相と線間の考え方の違い~

電気電子
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

交流には単相交流と三相交流が存在します。
この内、単相交流は一般家庭のコンセントに供給されていますが、三相交流は一般家庭で見かけることはありません。
三相交流は電気系の専門性が高くなるのです。
本記事では、そんな三相交流を理解できるようになることを目的としています。

今回は、「Δ-Y変換の練習問題」についての説明です。

1.ポイント

Δ-Y変換時の注意点

線間電圧と相電圧、線電流と相電流をしっかり区別すること。

2.Δ-Y変換の使用例①

三相交流回路の結線方法は2種類あります。
スター結線デルタ結線です。
それらの結線方法を変換する方法として「Δ-Y変換とY-Δ変換」があります。

Δ-Y変換とY-Δ変換ではΔ-Y変換の方が使用例は多いので、今回はΔ-Y変換を使用する例題を解いていこうと思います。
良さげな問題があったらY-Δ変換の例題も追加しようと思います。

図1のようにΔ結線になっている平衡三相回路があります。

図1

この端子a、端子b、端子cに線間電圧が200[V]になるように対称三相交流電源を接続した時の回路内の全消費電力を求めてみましょう。

全消費電力を求めたいので、単純に単相当たりの消費電力を求めて3倍にすれば良いです
なのですが、Δ結線回路の場合、単相ごとに考えるのが難しいです。
電流が色んな方向に流れてますからね。

図2 Δ-Δ結線回路の電流の流れ

なので、まずは平衡三相回路をY結線回路に変換します
Δ結線回路が平衡負荷(※ 同じインピーダンス)になっている場合、Δ結線回路を構成するインピーダンスの1つを3で割った値がY結線回路を構成するインピーダンスの1つになります

図3 Δ-Y変換の公式

その為、変換すると以下のようになります。

図4

今わかっているのは線間電圧200[V]です。
Y結線回路の線間電圧は相電圧の√3倍になっているので、相電圧は200/√3[V]です。
Y結線回路は中性線が省略されているだけなので、相電圧を図示しようとすると図5のようになります。

図5

こうすると、端子Oa間には200/√3[V]の相電圧がかかっていて、そこに20[Ω]の抵抗が接続されている単純な回路となることがわかりますね。
なので、相電流は(200/√3)/20=10√3[A]になります。
端子Ob間、端子Oc間に関しても考え方は同様です。

単相当たりの消費電力は相電圧×相電流なので、(200/√3)×10√3=2[kW]です。
以上より、回路内の全消費電力は3相×単相の消費電力(2[kW])=6[kW]となります。

線間電圧と相電圧、線電流と相電流についてしっかりと理解していないと絶対混乱するよね、こんなの。
とにかく例題を解いて慣れるのが一番です。

3.Δ-Y変換の使用例②

今、静電容量CのコンデンサがΔ結線になっているとします。
これをY結線に変換した際の静電容量C’はどう変化するか考えてみます。

三相平衡負荷になっているので、Δ結線回路を構成するインピーダンスの1つを3で割った値がY結線回路を構成するインピーダンスの1つになる点は変わりません。
だからC’=C/3となります…と思った方がいたら、それは間違いです。
あくまで1/3になるのはインピーダンスの値であって、静電容量ではありません

静電容量CをインピーダンスZで表示しようとすると、コンデンサのリアクタンスのみで構成されることになります。
なので、Z=1/ωCです。
これが1/3の値になるということは、Z’=1/3ωC=1/ωC’になるということです。
この関係から、C’=3Cになることがわかります。

インピーダンス成分が抵抗だけの場合は抵抗値を1/3倍にするので、その勢いでコンデンサの静電容量も1/3倍しないように気を付けましょうね。

以上、「Δ-Y変換の練習問題」についての説明でした。