今回は「株式投資をする際に確認する指標②(配当利回り・配当性向・自己資本比率の解説)」についてです。
目次
1.初めに
いざ株式投資を始めてみようと思ったとして、どこの株式を売買するのかは自分で考えて決定する必要があります。
取引をするための指標として企業の情報が各証券口座のページで閲覧できるようになっているのですが、初見だと見たことのない用語・略語がこれでもかと載っていて、一体何が書かれているのか困惑することでしょう。
今回は、そんな株式投資をする際に確認することになる指標の内、配当利回り・配当性向・自己資本比率について解説してきます。
前回の記事では銘柄の分析のための三大指標の解説をしたので、今回は株式を購入する見返りや企業の安定性に関する指標についてです。
2.配当利回りとは?
過去の記事で説明していますが、株主は会社が稼いだ利益(余剰金)の分配を受ける権利を持っています。
いわゆる配当金というヤツです。
配当利回りというのは、会社が1年間に支払う配当金が現在の株価に対してどれくらいの割合なのかを示す指標のことです。
要するに、1株当たりの株価(投資額)に対する配当金の割合を示しています。
株主が受け取る現金収益率をパーセントで表しているので、数値が大きいほどリターンが大きいということになります。
計算式は、以下のようになります。

例えば、株価2,000円の銘柄の年間配当金が1株当たり60円となっていた場合、60÷2000×100=3%が配当利回りとなります。
つまり、この株式を保有していると、投資金額の3%が1年で還元されるわけです。
100株保有していたなら20万円投資しているので、20万円×0.03=3,000円の配当金が貰えます。
実際はここから税金が差し引かれますが、どの程度の配当金を見込めるのかがわかるわけです。
配当利回りには、実績配当利回りと予想配当利回りの2種類があります。
実績配当利回りは、会社の過去の配当金の実績値を表しています。
実際に過去1年間の配当金を用いて計算するので、リアルな値となります。
予想配当利回りは、会社予想やアナリスト予想の配当金で計算した配当金の予想を表しています。
実際に貰えるであろう配当金とは差異が生じるので、あくまで参考値です。
ちなみに、議決権なんかは単元株を持っていないと得られない権利でしたが、配当金に関しては単元未満株の保有でも受け取ることができます。
3.配当性向とは?
配当性向とは、会社の純利益に対して株主への配当金をどの程度還元したのかを表す割合のことです。
計算式は、以下のようになります。

例えば、当期純利益が10億円の会社があったとして、配当金総額が2億だったとします。
この場合、配当性向は2億÷10億×100=20%となります。
単純に、純利益の20%を配当金として株主に分配したわけです。
その為、配当性向からは、会社の株主還元姿勢と財政状況の健全性が見えてきます。
大まかな傾向は以下の通りです。
利益のほとんどを会社の成長(人材投資・設備投資・研究開発など)に回している状態。
グロース市場の新興企業や、ベンチャー企業に多い。
配当性向が低いので、当然ながら配当利回りは低くなりやすい。
ただし、会社に投資して財務的な余裕はあるはずなので、多少業績が悪化したとしてもそれ以上に減配されるリスクは低い。
新興企業なら利益を再投資して企業価値を高めていると受け取れるが、成長期を終えた成熟企業なら株主を軽視していると受け取られることもある。
利益と還元のバランスが良い。
日本の会社は配当金にも力を入れているところが多いので、この範囲内になっている会社が多いです。
利益のほとんどを配当金に回している状態。
株主への還元を強化している状態だが、利益のほとんどを配当金に回しているということは利益が減った場合は同じだけの配当金を維持できるとは限らず、減配のリスクが高まった状態とも言える。
会社の成長に多く投資する必要がなくなった、成長段階を終えて安定期に入った成熟企業がこの位置にいることが多い。
4.自己資本比率とは?自己資本とは?他人資本とは?
自己資本比率とは、会社全体の総資産(総資本)に対する自己資本の割合のことです。
総資産とは、現金・設備・製品在庫・土地など、会社が持つすべての資産のことです。
自己資本とは、会社に返済義務の無い資金のことです。
株主が投資しているお金は返済義務が無いので自己資本ですし、会社がこれまで稼いで蓄えてきたお金(利益剰余金)も自己資本です。
まとめると、自己資本比率とは、会社が持っている総資産のうち、返済義務の無いお金が占める割合を指しています。
では、総資産のうち自己資本ではない資産は何だと思いますか?
答えは、借金のような返済義務のあるお金です。
このお金のことは他人資本と言います。
総資産=純資産(自己資本)+負債(他人資本)という関係になっているわけです。
つまり、自己資本比率が高いということは、借金に頼らずに経営できているということになります。
その為、会社の倒産リスクや財務健全性を評価する上で欠かせない指標となっています。
計算式は、以下のようになります。

自己資本比率が高いと借金が少ないということですので、以下のようなメリットがあります。
- 不況でも耐えやすい。
- 金利上昇の影響を受けにくい。
- 利益が減ったとしても配当は維持されやすい。
- 設備投資や研究開発が継続しやすい。
なので、倒産リスクが低く、財務・経営の安定性が高いことになります。
反面、自己資本比率が高過ぎると成長投資に消極的で保守的な経営をしているとも捉えられます。
その為、ROE(自己資本利益率)とセットで確認すると良いかと思います。
利益をある程度出しつつ自己資本比率も高いなら、そのバランスでうまくやり繰りできているということになりますからね。
自己資本比率は大体30%程度を維持できていれば標準的ですが、業種によっては自己資本比率が著しく低くなる点には注意が必要です。
自己資本には、借金は含まれません。
では、銀行のような金融業について考えてみてください。
銀行にお金を預金すると、銀行は預金者に対して利息を払います。
銀行のビジネスって、契約者の預金を又貸しした時の利子が主な収入源なんですよね。
つまり、銀行にとっての預金って負債なんですよ。
なので、金融業の自己資本比率は異常に低い値になっています。
この点は注意が必要です。
ここまで自己資本比率は基本的に高い方が良いと述べましたが、もう一点補足しておきます。
成長途上の会社の場合はどうしても資金が足りないので、借金してでも成長投資していることがあります。
この場合は借金があるので自己資本比率は低めになってしまうので、低いから悪いというわけではありません。
ただし、成長投資に失敗してそのまま倒産・上場廃止なんて可能性も否めませんが…。
ちなみに、私は株式購入の判断としては、自己資本比率を一番重視しています。
私は何より安定志向だからです。
グロース市場の株式はほぼ保有していません。
保有している銘柄の大半の自己資本比率は、一部の業界を除いて50~70%くらいになっています。
その分リターンはちょっと少なめになりますけどね。
5.配当利回りが高いことは必ずしも良いこととは限らない
配当利回りが高いほど株主への還元率が高いことを表しているわけですが、配当利回りが高いのは必ずしも良いこととは限りません。
もちろん、配当金が多く貰えるのは良いことではあるのですが、裏でまずいことになっている可能性があります。
配当利回りが高くなる理由はいくつか考えられますが、ここでは3つ紹介します。
1つは、会社が株主還元を強化したからです。
業績が良くなったので株主への配当金の還元率をアップした場合、配当利回りが上がることがあります。
ただ、業績が良くなっていないのに配当利回りを上げてくる場合もありますので、配当性向を同時に確認して財務健全性を確認するのが良いです。
日本企業は減配をなるべく避ける文化があるので、無理してでも配当金を維持・増配することはあるんですよ。
配当利回りが上がる2つ目の理由は、株価が下がったからです。
こちらがまずい方の理由です。
例えば、去年の配当金額と同じだけ今年も配当しようとしている会社があったとします。
去年の実績は、株価1,000円で1株当たり50円還元、配当利回り5%だったとします。
それに対して、今年は業績が悪化して株価が800円まで下がっていたとします。
すると、配当利回りは50÷800×100=6.25%になります。

配当利回りだけ見ると、還元率が高くなってるんですよ。
でも、実際は業績が悪化して配当利回りが増えているように見えるだけで、配当金自体は1株50円から変わっていないのです。
このように、業績不振の影響で株価が暴落しているから配当利回り高くなっているように見えている会社も混ざっている点には注意しましょう。
こういう会社は倒産・上場廃止のリスクがありますからね。
こちらに関しても、配当性向を同時にチェックしておくと参考になります。
業績不振になっていたら純利益も下がっているので、配当利回りだけでなく配当性向も上がりますからね。
これらと純利益を見比べれば『あっ…』となることでしょう。
配当利回りが上がる3つ目の理由は、配当性向が高すぎるです。
配当性向が高ければそれだけ株主に還元できるので、配当利回りも高くなりやすいです。
ただ、会社の純利益が下がった時にその配当利回りを維持できるとは限らないんですよね。
その為、配当利回り・配当性向共に高くなっていた場合、業績が悪化すると減配されるリスクが高いんですよ。
減配するならまだ良いのですが、もし意地でも配当利回りを維持してくると資金が回らなくなって倒産なんてこともあり得ますからね。
このように、配当利回りが高いからと食い付くのはリスクがあると覚えておきましょう。
他の指標と照らし合わせるのが大事なのです。
6.配当利回りが高いことと連続増配はイコールにならない
ついでにもう一点、配当利回りの高さと連続増配はイコールではないという点についても解説していきます。
例えば、洗濯用洗剤などのブランドで花王ってありますよね?
あの会社は、2024年時点で35期連続増配を達成していて、日本企業の中でもトップクラスの増配記録を誇っています。
35年間ずっと配当金の総額を上げ続けているんですよ。
花王は累進配当(減配しない方針)に近い考えを持っているので、純利益が落ちる年があったとしても配当を増加させてきました。
日用品メーカなので景気に左右されにくく、自己資本比率の高い健全な財務体質があったからこその賜物です。
まあ、近年は配当性向が高めになってきているのが懸念点ですが…。
さて、35年もの間増配を続けてきたと聞いてこう思いませんでしたか?
『配当利回りが高そう』と。
では、花王の配当利回りはいくつなのかと言うと、2026年4月時点で2.54%です。
そんな高くないでしょう?
何故配当利回りが高くないのかと言うと、企業価値が高まって株価も上昇しているためです。
花王の過去30年の株価の推移は、以下のようになっています。

昔と比べると株価が爆上がりしてるんですよね。
その為、配当利回りを求める式の分子(1株当たりの年間配当金)と分母(株価)がどちらも大きくなって、配当利回りはそんな高くない水準になっているというわけです。
こういうこともあるので、色んな情報を組み合わせて考えるのが大事なのです。
以上、「株式投資をする際に確認する指標②(配当利回り・配当性向・自己資本比率の解説)」についてでした。






