【基礎から学ぶ規格と法律】 国際単位系(SI)とは? ~世界共通の基本単位7項目~

ルール
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

世の中には様々なルールがあります。
規則・規定・規格・法律…呼び方は多々ありますね。
そんなルールの中には聞いたことはあるけど内容まではちゃんと理解していないものがあるのではないでしょうか?
ただ、そこで調べてみたとしても、規格や法律の原文やその引用ばかりが出てきて、言い回しが難しくてイマイチわからないことが多いです。
本記事ではそんなモヤモヤを解決できるよう、噛み砕いてわかりやすく記述していけたらと思います。

今回は、国際単位系(SI)について記述していきます。

1.規格と法律の違い

本題に入る前に規格と法律について補足説明します。

まずは規格からです。

単純に“規格”と検索すると、“製品・製品寸法・材料・工程などに対して定義した基準”というニュアンスの説明が出てきます。
イマイチわかりづらい説明ですよね。
なので、何かを作る際のベースとなるものを規格と捉えてください

例えば、ある会社がお饅頭を作って売ろうとしているとします。
その際、量産をするためにA工場とB工場で製作をすることにしました。
売ろうとしているお饅頭には当然種類がありますので、その種類ごとに同じ原材料・サイズ・量でないといけません。
大きさや形がバラバラだと生産コストと売値のバランスが崩れてしまいますからね。
なので、『この材料を使って、この金型で、この分量で、このような工程で製作してください』という指示が必要です
この指示が規格というイメージです
こうして規格を定めておけば、A工場とB工場のように製作場所が変わったとしても出来上がる製品は全く同じものになります。

ちなみに、長さを表すための「m:メートル」という単位や重さを表すための「kg:キログラム」という単位なんかも規格です。
ああして基準を定めているから”大体これぐらい”という想像を私達はできるのです。

次は法律についてです。

規格の説明をしたので何となく規格と法律では何が違うのか想像ができるのではないでしょうか?
規格は標準・基準を表すものでした
規格は遵守した方が何かと良いですが、必ずしも規格に則る必要はありません。
あくまで任意です。

その点、法律は守らないと罰則があります。
ここが大きな違いです。

そんな規格と法律…つまり決まり事について調べてまとめたのが本記事となります。
内容はそこそこ知れる程度のレベルに抑えています。
専門的過ぎると情報過多で意味わからなくなるので。

2.国際単位系とは?

国際単位系とは平たく言えば世界共通で使える単位のことです。
フランス語で[Le Systeme International d’Unites]となる為、略称はSIとなっています。
ちなみに、英語では[International System of Units]となります。

国際単位系は1875年にフランスのパリで締結されたメートル法が大元になっています。

メートル法は、グローバル化に従って各国の単位系を統一する必要がでてきたために締結されたもので、当初は長さ・面積・体積・質量の単位のみが規定されていました。
ですが、時代が進むにつれて技術が発展し、他の単位系(物理量)の統一も必要になってきました。
そこで、単位系を再統一するために国際単位系が締結されたという流れです。
ただ、世界共通とはいうもののアメリカではヤード・ポンド法が主流のままだったりしますので、本当の意味で世界共通かというとそうでもないです。

3.国際単位系の基本単位7項目

2021年時点での国際単位系は、長さ・質量・時間・電流・温度・光度・物質量の7項目で構成されています。
それぞれの定義と単位は順番に説明していきます。

2019年5月20日時点で質量・電流・温度・物質量の定義が改訂されているので、それらに関しては新旧両方を記述しています。
ただ、残りの長さ・時間・光度に関しては定義は変わらないものの表現の仕方が変更されているので、結局全部新旧両方を載せることになっています

これらに関しては調べれば出てくるので、深い内容まで覚える必要があるかは微妙なところです。
というか、私は普通に覚えられませんのでこうしてまとめているわけです

定義の原文ままだと分かりづら過ぎるので自分なりに考察した内容をまとめてあります。
あくまでも自分なりに考察した結果なので、合っている保証はないのであまりあてにしないでね☆

長さ

新定義

メートル[m]は長さのSI単位であり、真空中の光の速さcを単位m s-1で表したときに、その数値を299,792,458と定めることによって定義される。ここで、秒は ΔvCsによって定義される。

旧定義

1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる長さ。

まとめ

光速を299,792,458[m/s]と決めたので1[m]は1/299,792,458[s]の間に光が進む距離とした。
長さを定義するのに速さと時間の概念が関係してくるので、時間を定義するΔvCsが唐突に定義の説明文に現れます。
今後の定義の説明でも同じように出現してくるので、その一文はあまり気にしなくていいです。

質量

新定義

キログラム[kg]は質量のSI単位であり、プランク定数hを単位J s(kg m2 s-1に等しい)で表したときに、その数値を6.62607015×10-34と定めることによって定義される。ここで、メートル及び秒は、それぞれc及びΔvCsを用いて定義される。

旧定義

キログラムは質量の単位であって、単位の大きさは国際キログラム原器の質量に等しい。

まとめ

プランク定数とは光の持つエネルギーの最小単位のことです。
このプランク定数を使って原子1個あたりの質量を決めて、1[kg]を定義しているようです。

時間

新定義

秒[s]は時間のSI単位であり、セシウム周波数ΔvCs、即ち、セシウム133原子の摂動(副次的な効果による微小なズレのこと)を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数(低周波領域と高周波領域の境目の周波数のこと)を単位Hz(s-1に等しい)で表したときに、その数値を9,192,631,770と定めることによって定義される。

旧定義

秒はセシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9,192,631,770倍の継続時間である。

まとめ

セシウム原子が遷移(エネルギーの吸収/放出により起こる状態変化)するのにかかる時間から1秒を定義している。たぶん。(←完全に専門外)

電流

新定義

アンペア[A]は電流のSI単位であり、電気素量eを単位C(A sに等しい)で表したときに、その数値を1.602176634×10-19と定めることによって定義される。ここで、秒はΔvCsによって定義される。

旧定義

アンペアは、真空中に1メートルの間隔で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する無限に長い二本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ1メートルにつき2×10-7Nの力を及ぼし合う一定の電流である。

まとめ

電気素量eは1個の電子が持つ電気量です。
電子の流れ=電流(方向は逆)で1[C]=1[A s]なので、それらの関係から電流を定義している。

温度

新定義

ケルビン[K]は熱力学温度のSI単位であり、ボルツマン定数kを単位J/K(kg m2 s-2 K-1に等しい)で表したときに、その数値を1.380649×10-23と定めることによって定義される。ここで、キログラム、メートル、秒はそれぞれh、c、ΔvCsを用いて定義される。

旧定義

熱力学温度の単位、ケルビンは水の三重点の熱力学温度の1/273.16である。

まとめ

ボルツマン定数は分子1つあたりの気体定数で、気体定数をアボガドロ定数(物質を構成する原子・分子・イオンなどの個数を示す定数)で割った値です。
気体定数は理想気体の状態方程式に関係してきます。
圧力と体積と温度の関係に気体定数が関わる感じです。
新定義はその気体定数を決定するようなものなので、他の定義との兼ね合いがあるものの温度を定義できているのだと考えられます。

光度

新定義

カンデラ[cd]は所定の方向における光度のSI単位であり、周波数540×1012Hzの単色放射の視感効果度Kcdを単位 lm/W(cd sr W-1あるいはcd sr m-2 kg-1 s3に等しい)で表したときに、その数値を683と定めることによって定義される。ここで、キログラム、メートル、秒はそれぞれ、h、c、ΔvCsによって定義される。

旧定義

カンデラは、周波数540×1012[Hz]の単色放射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎ステラジアンである光源の、その方向における光度である。

まとめ

光度とは、単位立体角(二次元における角の考え方を三次元の立体的な世界に当て嵌めたものの最小単位・円錐をイメージ)当たりにどれだけ光が集まっているか(光束と言う)を表したものです。
lmはルーメンという光束の単位で、srはステラジアンという立体角の単位。
光も波(電磁波)の一種なのでもちろん周波数があります。
なので、540×1012Hzの周波数の光の明るさの感じ方を定義してあるというイメージで良いかと思います。

物質量

新定義

モル[mol]は物質量のSI単位であり、1モルには厳密に6.02214076×1023の要素粒子が含まれる。この数は、アボガドロ定数 NAを単位[mol-1]で表した時の数値であり、アボガドロ数と呼ばれる。系の物質量(記号はn)は、特定された要素粒子の数の尺度である。要素粒子は原子、分子、イオン、電子、その他の粒子、あるいは粒子の集合体のいずれかであってもよい。

旧定義

モルは0.012キログラムの炭素12の中に存在する原子の数に等しい数の要素粒子を含む系の物質量であり、単位の記号はmolである。

まとめ

物質量とは物質を構成する粒子の個数をアボガドロ数で割ったものです。
なので、アボガドロ数を定義すれば自ずと物質量も定まります。
結局のところ、1molは6.02214076×1023個ということ。
例えば、12gの炭素(厳密には炭素12と言う)の個数は1molと表します。
炭素12gには6.02214076×1023個の粒子が含まれているんです。

新定義はある定義に他の定義が関係してくるような取り決めになっていますね。
互いに互いを定義し合う関係を構築して、セルフで校正しているようなイメージになるのかな?
SIの単位系は“/”を使わずに“s-1”のような記載方法で統一しているようなので、見慣れないと結構混乱します。
例) “m/s(メートル毎秒)”を“m s-1”と表す。

ちなみに、特に覚えておく必要はないですが、「メートル法」→「六元系国際単位系」→「国際単位系(七元系国際単位系)」という順番に世界共通の単位系はグレードアップ(?)してきました
※ 「六元系国際単位系」時点では物質量が含まれていません。
今後も増えて八元系国際単位系にならなければ良いのですが…。

以上、国際単位系(SI)についてでした。