【基礎から学ぶダイオード】 ツェナーダイオードを向かい合わせて構成するリミッタ回路の考え方

電気電子
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ダイオードは電流を決められた方向にのみ流すことができる部品です。
なのですが、回路図を眺めていると電流の流れに対して逆方向に接続していることもあります。
ダイオードの基本部分しか知らない場合、この辺りで結構な疑問符が浮かぶと思うんですよね。
ということで、ダイオードの動作原理や種類などを1からわかりやすくまとめてみたのが本記事となります。

今回は、「ツェナーダイオードを向かい合わせて構成するリミッタ回路の考え方」についての説明です。

1.ダイオードと直流電源の組み合わせ以外のリミッタ回路

過去にリミッタ回路についてまとめました。

この記事の説明にて、ダイオードと直流電源を組み合わせることで、印加電圧が規定の範囲内に収まるように基準電圧の上限と下限のリミットを決める回路であるリミッタ回路を組めるという説明をしました。
ですが、実はダイオードと直流電源を組み合わせる以外にも、別の方法でリミッタ回路を構成することができます。
それが、ツェナーダイオードを使用したリミッタ回路です。

2.ツェナーダイオードを向かい合わせて構成するリミッタ回路の考え方

ツェナーダイオードを使用したリミッタ回路は、図1のような構成になります。

図1

最大振幅5[V]の交流電源VACに、ツェナーダイオードが2つ向かい合わせに並列接続されています
初見だと『なんだこれ!?』となること請け合いですね。
でも、普通に会社の製品の回路図にこんな構成があったりするんですよ…。

ツェナーダイオードZD1及びZD2は理想ダイオード且つ降伏電圧が3[V]だった時、どんな出力波形VOを得られるかを考えてみます。

ツェナーダイオードの特性のおさらいですが、アノードからカソードの順方向の時は通常のダイオードと同じ働きをします。
順方向電圧を消費して順方向電流を流すだけです。
ここでは理想ダイオードとしているので、順方向電圧は0[V]だと考えます

では、逆方向の時はどうなるのかというと、負方向に電圧を上げていくと、ある点から急激に電流が流れるようになります
この時の電圧が降伏電圧です。

ツェナーダイオードは、この降伏電圧を低くすることで、一定の電圧を作り出せるようにしたダイオードです。
要するに、降伏電圧が3[V]なら、逆方向に3[V]以上の電圧を印加した時に電流が流れるようになり、そこで3[V]を保つことができるのです。

実際にどうなるのかを見てみましょう。

交流電源が+3[V]以上の区間

電源電圧が+5[V]になっていたとします。

この時、端子Aには5[V]が掛かります。
すると、ZD1には順方向電圧が掛かることになるので、ZD1はONになり、順方向電流が流れるようになります。
理想ダイオードなので順方向電圧が0[V]であり、ただ導通しただけの状態が出来上がるわけです。

対してZD2は、逆方向に降伏電圧3[V]を超える5[V]の電圧が掛かることになります。
その為、ZD2もONになり逆方向電流が流れ、電圧を3[V]で保つようになります

よって、この区間の出力電圧は+3[V]で一定になります

図2

交流電源が0[V]~+3[V]の区間

電源電圧が+1[V]になっていたとします。

この時、端子Aには1[V]が掛かります。
すると、ZD1には順方向電圧がかかることになるので、ZD1はONになり、順方向電流が流れるようになります。
理想ダイオードなので順方向電圧が0[V]であり、ただ導通しただけの状態が出来上がるわけです。
ここまでは先程と同じですね。

対してZD2は、逆方向に降伏電圧3[V]を下回る1[V]の電圧が掛かることになります。
その為、ZD2はOFFになり、逆方向電流は流れません。
よって、ZD2で回路が開放されます

なので、この区間の出力電圧は電源電圧がそのまま出力されることになります

図3

交流電源が-3[V]~0[V]の区間

電源電圧が-1[V]になっていたとします。

この時、端子Bには1[V]が掛かります。
すると、ZD2には順方向電圧がかかることになるので、ZD2はONになり、順方向電流が流れるようになります。
理想ダイオードなので順方向電圧が0[V]であり、ただ導通しただけの状態が出来上がるわけです。

対してZD1は、逆方向に降伏電圧3[V]を下回る1[V]の電圧が掛かることになります。
その為、ZD1はOFFになり、逆方向電流は流れません。
よって、ZD1で回路が開放されます

なので、この区間の出力電圧は電源電圧がそのまま出力されることになります

図4

交流電源が-3[V]以下の区間

電源電圧が-5[V]になっていたとします。

この時、端子Bには5[V]が掛かります。
すると、ZD2には順方向電圧が掛かることになるので、ZD2はONになり、順方向電流が流れるようになります。
理想ダイオードなので順方向電圧が0[V]であり、ただ導通しただけの状態が出来上がるわけです。

対してZD1は、逆方向に降伏電圧3[V]を超える5[V]の電圧が掛かることになります。
その為、ZD1もONになり逆方向電流が流れ、電圧を3[V]で保つようになります。

よって、この区間の出力電圧は-3[V]で一定になります

図5

ということで、この回路がリミッタ回路として機能していることがわかります。

このように、ツェナーダイオードを使用するだけで、簡単にリミッタ回路を構成することができます。
両方向のツェナーダイオードがあれば1つで賄えることを考えると、回路が非常に単純化するのです。

「ダイオードは順方向に電流が流れるもの」という基本的な特性のみを意識していると、ツェナーダイオードの逆方向にも電流は流れるという事実を忘れがちなので最初は理解に苦しむんですよね。

以上、「ツェナーダイオードを向かい合わせて構成するリミッタ回路の考え方」についての説明でした。