【基礎から学ぶダイオード】 ツェナーダイオードとは? ~低電圧取得やサージ吸収用のダイオード~

電気電子
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ダイオードは電流を決められた方向にのみ流すことができる部品です。
なのですが、回路図を眺めていると電流の流れに対して逆方向に接続していることもあります。
ダイオードの基本部分しか知らない場合、この辺りで結構な疑問符が浮かぶと思うんですよね。
ということで、ダイオードの動作原理や種類などを1からわかりやすくまとめてみたのが本記事となります。

今回は、「ツェナーダイオード」についての説明です。

1.ツェナーダイオードとは?

ダイオードとは、電流を一定方向にのみ流すことが可能な半導体素子のことです。
陽極をアノード、陰極をカソードと呼び、アノードからカソードの方向に電流が流れます。

では、カソードからアノードの逆方向に電流は流れないのかというと、そういうわけでもありません。
微量ではありますが、逆方向にも電流は流れます。
漏れ電流(絶縁体内部のような本来流れない箇所に流れてしまう電流のこと)というヤツです。

そして、負方向に電圧を上げていくと、ある点から急激に電流が流れるようになります。
この時の電圧を(逆方向)降伏電圧と呼び、この現象のことをツェナー降伏もしくはアバランシェ降伏(雪崩降伏)と呼びます。
※ ツェナー降伏とアバランシェ降伏は発生メカニズムが異なります。詳しくは別途まとめます。

この降伏電圧を大幅に低くすることで一定の電圧を作り出せるようにしたダイオードのことをツェナーダイオードと呼びます。
一定の電圧を作り出せるという特性から、定電圧ダイオードとも呼ばれます。

この特性を利用することでサージ(瞬間的に定常状態を超えて発生する現象、ノイズやスイッチ開閉時の電圧が該当)を吸収する用途でも使用されます。

一般的なダイオードのことしか知らない場合、突然逆方向に繋がれたツェナーダイオードが現れると混乱するんですよね。
なんでお前反対向きになっているんだ、と。

降伏電圧を境に急激に電流が流れるという関係は、言い換えると“ある点を境にいくら電流を流しても降伏電圧はほぼ変化しない”ことを表しています
つまり、ツェナーダイオードごとに作り出せる電圧値は決まっているんです。
なので、3.3Vを作りたいなら3.3Vを作り出せるツェナーダイオード…という具合に、使用電圧によって別の種類のツェナーダイオードが必要になるという点には注意が必要です。
印加電圧を上げようが作られる電圧は同じなんです。

ちなみに、ツェナーダイオードのデータシートにはツェナー電圧という項目があり、流した電流に対して何Vの電圧を作り出せるかが記されています。
つまり、ツェナー電圧は降伏電圧の一部です。

回路記号はツェナー(zener)の頭文字の“Z”が付いた見た目をしています。

図1

量記号はZDだったりZだったりします。

2.一般的なダイオードとツェナーダイオードは何が違うのか?

一般的なダイオードは逆方向接続での使用を想定していないので、アバランシェ降伏が起こるとダイオードが破壊される可能性があります

それに対してツェナーダイオードは逆方向接続で使用するもので、アバランシェ降伏を利用した部品になっています。
当然、アバランシェ降伏が起きても部品は壊れない構造になっています

ここが大きな違いです。

ツェナーダイオードの構成は、一般的なダイオードと似ています。
n型半導体とp型半導体を接合する点は同じなのですが、これらの半導体は純粋なシリコン結晶ではなく、不純物を添加したものを使用します
そうすることで逆方向に電圧を印加した際に大きな電流を流せるように設計してあります。
用途に応じて微妙に差を設けているんだと思ってくれればOKです。

3.定電圧を得る方法

言葉の説明だけではわかりづらいので、実際にどんな風に回路を組むのかを見ていきましょう。

例えば、データシート上でツェナー電流IZ=5[mA]の時にツェナー電圧VZ=5[V]となっていたとします。
この場合、下図の印加電圧V[V]と抵抗R[Ω]の値をツェナーダイオードに流れる電流(ツェナー電流)が5[mA]になるように設定することで、出力電圧(ツェナー電圧)V’=5[V]になります。

図2

ちなみに、逆方向特性(電流が変化しても電圧はほぼ一定)を考慮すると、印加電圧V及びツェナー電流IZが多少ブレたところで出力電圧V’は5[V]から変化することはありません。
当然ですが降圧用途でしか使用できないため、V>V’である必要があります。
降圧はできますが、昇圧はできないんです。

4.サージを吸収する方法

上記の「定電圧を得る方法」の説明でも述べていますが、印加電圧V及びツェナー電流IZが多少ブレたところで出力電圧V’は変化しません。
その為、電源付近や差動ラインなどにツェナーダイオードを配置するだけでサージを吸収してくれます。
サージを吸収するのでサージアブソーバの一種に分類されます。

イメージとしては、以下のようになります。

図3

5.ツェナーダイオードとTVSダイオード

ツェナーダイオードには定電圧を作り出す・サージを吸収する用途があると述べました。
この内、サージ吸収用のツェナーダイオードのことをTVSダイオードと表記している場合があります。

ツェナーダイオードもTVSダイオードも普通に調べると「サージを吸収する」と出てきます。
その為、初見では何が違うのか戸惑うのですが、結論は単純です。
ツェナーダイオードの一種がTVSダイオードなのです。

詳しくは以下の記事にまとめてあります。

6.ツェナーダイオードの特性

最後にツェナーダイオードの特性についていくつか触れておきます。

①温度特性

部品によって温度が上がると抵抗値が上がるだの下がるだの様々な温度特性がありますが、ツェナーダイオードにもツェナーダイオード独自の温度特性があります。
では、どんな温度特性を持っているのかと言うと、以下の通りです。

  • ツェナー電圧が高いほど、周囲温度の上昇に伴いツェナー電圧も上昇する。
  • ツェナー電圧が低いほど、周囲温度の上昇に伴いツェナー電圧が低下する。

この境目は一般的には5V程度とされています。
要するに、5V程度の定電圧を作り出すツェナーダイオードが最も周囲温度の影響を受けづらいのです。

②ノイズの影響

ツェナーダイオードを使用してサージを吸収できるわけですが、ツェナーダイオード自体もノイズの原因になり得ます。
具体的には、ツェナー電圧が大きいほどノイズが大きく、流れる電流量が大きいほどノイズが小さくなります。

ということは、ツェナー電圧が3Vのツェナーダイオードを直列に2つ繋いだ場合とツェナー電圧が6Vのツェナーダイオードを1つ繋いだ場合とでは、前者の方がノイズの発生を抑えることができます
もしツェナーダイオードを直列接続していたら、ノイズに配慮する必要があるラインの可能性があると覚えておきましょう。
なるべく同じ部品を使いたいだけかもしれませんけどね。

ちなみに、ツェナーダイオードのノイズ対策としては、並列にコンデンサを接続するという手法もよく用いられます。

以上、「ツェナーダイオード」についての説明でした。