【電気電子の雑学】 半導体とは何なのか?真性半導体とn型半導体とp型半導体の違いについて解説!

電気電子
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本ブログには電気電子系の知識を備忘録的にまとめてあります。
自分なりにカテゴリ分けをして何かしら共通点のあるWebページは連番になるようにまとめているのですが、どこにも分類されないものも当然存在します。
本記事は、未分類ですが内容としては知っておきたいと思ったことについてわかりやすくまとめたものとなっています。

今回は、「真性半導体とn型半導体とp型半導体の違い」についての説明です。

1.半導体とは?

半導体とは、導体(電気を通しやすい物質)と絶縁体(電気を通さない物質)の中間の性質を持つ物質のことです
トランジスタやダイオードと言ったIC(集積回路)などに使用されていて、これらの半導体製品自体を一般的に半導体と呼ぶこともあります。

抵抗率が大体10-6~107[Ωm]程度の物質で、温度変化に伴って抵抗率も変化します。
低温時は電気を通しづらく、高温時は電気を通しやすくなるといった具合です。
導体を熱すると抵抗率は上昇しますが、半導体を熱すると抵抗率が低下するんです
※ 半導体の抵抗率は資料によって範囲がバラバラになっているので、大体この程度というアバウトな認識でいましょう。

導体と絶縁体との違いについては以下の記事を参考にしてください。

半導体の分類には、単一の元素からなる元素半導体と2種類以上の元素からなる化合物半導体があります。
元素半導体としてはシリコン(ケイ素)やゲルマニウムといった4価(14族)の元素、化合物半導体としてはガリウムヒ素を使用した半導体などがあります。
主流はシリコンです。

ちなみに、原子は物質を構成する基本的な粒子であり、元素は物質を構成する基本的な成分を表しています。
例えば、金属が鉄(Fe)やアルミ(Al)でできているといったように、金属に含まれる成分について言及する場合はFe元素やAl元素で構成されると考える、といったところです。

高い純度に精製された半導体のことを真性半導体と呼びます。
真性半導体は電流が流れにくいので、電流が流れやすくなるように他の元素を少し混ぜた半導体のことを不純物半導体もしくは外因性半導体と呼びます。

不純物半導体の中にはn型半導体p型半導体という括りがあります。
違いは、ドーピング(微量添加)したドーパント(不純物)の種類です。

n型半導体は真性半導体に5価の元素(価電子が5つある元素)をドーピングし、p型半導体は真性半導体に3価の元素(価電子が3つある元素)をドーピングします。
そうすることで、電子または正孔に余剰ができて、電子の移動が活発になり、電流が流れやすくなるという寸法です。
この辺りは後々詳しく解説していきます。

2.真性半導体とは?

高い純度に精製された半導体のことを真性半導体と呼ぶと述べました。
厳密には、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)といった4価の元素のみで精製されている純粋な半導体結晶が真性半導体です
4価の元素とは、価電子(最外殻電子)が4個ある元素のことです。
何族の元素かによって最外殻電子が違うというのは中学か高校の化学で習ったかと思います。

図1

18族のように、最外殻電子が8個全て埋まっている電子配置が原子にとって最も安定した状態となります。
ヘリウム(He)の場合は2個ですけどね。
原子間で電子を共有する化学結合のことを共有結合と呼びます。
真性半導体の場合、4価の元素同士で共有結合している為、価電子が全て結合に使用されます

真性半導体の平面モデルは以下のようになります。

図2

※価電子は、後述の共有結合に使える余剰の電子なので、18族に関しては価電子は0個になります。厳密には、「最外殻電子が8個」が正しいです。

ここではシリコン元素を例にしています。
平面モデルでは外側の価電子が余っているように見えますが、立体で考えると余すことなく結合しています。
流石に立体でモデルを描くのは時間的にもキツいのでご勘弁を…。

真性半導体を構成している元素は全て最外殻電子が8個埋まった状態になるので、この結合状態は非常に安定しています。
結合が安定しているということは電子の移動がないので、電流が流れなくなります
ただ、結合が安定しているとはいえ外部から一定量以上のエネルギーを供給すれば結合が解かれて自由電子が半導体結晶内を移動するようになります。
電子放出の要領ですね。

この時、電子の抜け穴が発生します。
負電荷である電子が抜けた穴なので、電子の抜け穴は正電荷を持った荷電粒子と見なすことができます
※ 「みなす」であって、荷電粒子ではありません。
この抜け穴のことを正孔せいこうまたはホールと呼びます。

電子と正孔は、半導体内で自由に移動可能なので、半導体内で電荷の運び手となるという意味でキャリアと呼ばれます。
真性半導体の場合、電子と正孔の数は等しいです

真性半導体はi型半導体と呼ばれていることがあります。
i型半導体のiは[intrinsic(本質的な・内在的な)]の“i”です

3.n型半導体とは?

真性半導体は電流が流れにくいという話をしました。
理由は、キャリアである電子と正孔の数が等しいのでほとんど電荷の移動が無いからです。
なので、不純物を敢えて入れることにより電気伝導性に優れた半導体を作ることが可能です

今、4価のシリコン(Si)元素結晶中に5価のリン(P)元素を混ぜたとします。
リン(P)元素は5価なので、価電子が5個あります。
キャリアの数が均等だった4価のシリコン(Si)元素結晶中に、それより価電子の多いリン(P)元素が混入した為、正孔より電子の割合の方が多くなります。
つまり、電子が多数キャリア、正孔が少数キャリアになります。

このように電子が多数キャリアである半導体をn型半導体と呼びます。
n型半導体のnは[negative(負)]の“n”です。
なので、電子(負の電気を帯びた粒子)が多いことを名前で表しています。
また、リン(P)元素のように半導体結晶中に電子を与える不純物をドナーと呼びます。

ちなみに、5価のリン(P)元素と余剰分の1個の電子の結合は弱い為、結合の解かれた電子は自由電子となって結晶内を動き回るようになります。

4.p型半導体とは?

今、4価のシリコン(Si)元素結晶中に3価のホウ素(B)元素を混ぜたとします。
ホウ素(B)元素は3価なので、価電子が3個あります。
キャリアの数が均等だった4価のシリコン(Si)元素結晶中に、それより価電子の少ないホウ素(B)元素が混入した為、電子より正孔の割合の方が多くなります。
つまり、正孔が多数キャリア、電子が少数キャリアになります。

このように正孔が多数キャリアである半導体をp型半導体と呼びます。
p形半導体のpは[positive(正)]の“p”です。
また、ホウ素(B)元素のように半導体結晶中に正孔を与える不純物をアクセプターと呼びます。

ちなみに、シリコン(Si)元素結晶中に3価のホウ素(B)元素を混入すると、Si-Si結合にある電子はわずかなエネルギーで電子の不足しているホウ素(B)元素とB-Si結合を組みます。
これを繰り返すことにより、正孔があたかも結晶内を動き回っているように見えます
何が言いたいかというと、正孔は電子のように動き回っているように見えているだけで、実際に移動する粒子ではないということです
それでも正孔が移動しているとみなせることに変わりはないのであまり気にする必要はないですが、基礎知識としてしっかり抑えておきましょう。

以上、「真性半導体とn型半導体とp型半導体の違い」についての説明でした。