【CR5000/CR8000の手引き】 回路図上で離れた箇所同士を繋ぎたい場合のネットの表現方法

CAD
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CR5000/CR8000用のメモ・ヘルプです。
使用バージョンによってやり方が異なる可能性があるので注意です。
この記事は、私が過去に困った際の解決方法をまとめています。
同様の条件で途方にくれている人がいましたら役に立つかもしれません。

今回は、回路図上で離れた箇所同士を繋ぎたい場合のネットの表現方法について記述していきます。
※CR8000を使用していた際のメモです。

1.初めに

回路図にて、部品シンボル同士の端子を繋いだりしている線のことをネットと呼びます。

このネットですが、同ページの遠く離れた箇所と繋いだり、シート(ページ)を跨いだりすることがあるかと思います。
回路が複雑化すると、部品の多さや回路のレイアウトの問題で、コンパクトにネットを繋ぐのが困難になりますからね。

そんな時の対処法や設定方法について、今回はまとめてみました。
この辺りの知識は、回路図を眺めてれば自ずと理解できるようになるのですが、いざ調べようとするとあまり情報が出て来ないんですよね。

2.離れた箇所同士を繋ぎたい場合のネットの表現方法

以下のように、同じシート(ページ)でも遠く離れた箇所同士でネットを繋ぎたいという場合について考えます。

図1

場合によっては直接繋いでしまえば良いのですが、間に他の部品を配置したり、他の回路の経路が存在することも考えると、直接ネット接続するのはあまり好ましくないということは結構あります。
そんな時は、以下のようなマークを使用します。

図2

ラベルやらコネクタやら呼び名はなんか多々ありますが、どれが正しいのかはよくわかっていません。
個人的にはラベルと呼んでいることが多いので、以降はラベル呼びで統一します。

ラベルを使用してネットの繋がりを表現するのが、電気回路図の基本になっています。

試しに、図1の回路をラベルを利用して表現してみると、以下のようになります。

図3

まず、一番基本的な条件として、「同じラベル同士はネットで繋がっている」ことを表します。
ラベルをダブルクリックした際にパネルメニューウィンドウが開かれるのですが、この中に「部品NO」という項目が存在し、これがネット名に該当します。
このネット名が共通するラベルが同回路図データ内に存在した場合、そのラベル同士は繋がっていることになるのです。
図3では画面左上のラベルと画面右下のラベルの「部品NO」を両方共「XXX」と入力してありますので、ラベル間で繋がりができているわけです。

図4

この繋がりは、同回路図データ内であれば確立されるので、シートが異なっていたとしても適用されます。
要するに、1ページ目に存在するラベルと2ページ目に存在するラベルを繋ぐこともできるのです
ラベルを使用すると、直接ネットで接続する方法に比べて、表現力が上がりますし見た目もコンパクトになるので、メリットが多いんですよね。

また、ラベルを用いることで得られる大きなメリットは他にもあります。
それは、信号の流れる向きがわかるようになる点です。

図1は、+24V電源をR001を経由してR002に繋いでいる回路です。
このような単純な回路なら、少し電気の知識があれば電流がどの向きに流れているのかはわかりますが、実際に設計していくことになる回路はもっと複雑なものとなります。

ICが存在し、同回路図データ内の他のICと通信していることもあれば、別に設計している回路と通信していることもあります。
ICの機能が複数の中から1つ選択する方式で、その機能ごとに受信/送信の役割が変わったりもします。
そうなってくると、ある回路の信号の向きがどうなっているのか、回路をパッと見ただけでは判断できなくなっているということはよくあるんですよ。

ですが、ラベルを使用するとこの問題は解決します。
図2に示したラベルの形状は3種類あったでしょう?
これらの形状を使い分けることで、信号の向きを把握できるようになっています。

見分け方は簡単で、太くなっている方向から細くなっている方向に向けて信号が伝わります。
つまり、図2は上から順に「両方向に信号が伝わる」・「右から左に向けて信号が伝わる」・「左から右に信号が伝わる」ことを表しているのです。

図2 再確認用

「両方向に信号が伝わる」というのは、通信をしていて、タイミングによっては受信にも送信にも使われている経路だということです。
なので、シリアル通信のデータ伝送ラインなんかは、この細長い六角形のラベルを使用していることになります。
このラベルの表現ルールを意識した状態で改めて図3を眺めると、R001からXXXを経由してR002に繋がっていることが一目でわかるでしょう?

ラベルを使用するメリットはわかったかと思いますが、シートを跨いだりしたら、ラベル同士でどことどこが繋がっているのか見つけにくそうな気がしませんか?
回路図CADには、この問題を解決する機能もしっかりと搭載されています。

図3のラベルを見てみると、ラベル名以外にも変な文字列が書かれているでしょう?
これは、そのラベルの接続先を表しています。
ちょっと見づらいかもしれませんが、図3左上のラベルは「008:4B」、図3右下のラベルは「008:1A」と書かれています。

:(コロン)の前に付いている「008」は、ラベルの存在するシートNoを表しています。
「008」なので8シート目にラベルが存在するということになります。

:(コロン)の後に付いている英数字は、座標を表しています。

突然ですが、Excelは「行を数字」・「列をアルファベット」で表現していますよね。
なので、A1セルやB2セルという具合に、セル(マス目)の座標を英語と数字の組み合わせで表現できるようになっています。
回路図CADに関しても、Excelと同じような表現方法で座標を表しているのです。

ただし、Excelは「行を数字」・「列をアルファベット」で表現していましたが、回路図CADは「行をアルファベット」・「列を数字」で表している場合もあります。寧ろそれが一般的?

どこまでがA行だったり1列だったりするのかは、画面端にある数字とアルファベットに則っています。

図5

3.ラベルの入力方法

ここまでは基本的なルール説明でした。
ここからはCR8000でラベル表示をしていく方法の説明になります。

画面上部のリボンの中に図6のようなラベルのマーク(マウスカーソルを合わせると名称は“コネクタ”になっている)がありますので、マーク右のボタンを押してプルダウン表示させます。

図6

ここに図2で示した3種類のラベルが表示されるので、配置したいタイプのラベルをダブルクリックして選択します。
ただのクリックではダメです。

後は、配置したい箇所にカーソルを合わせてクリックすれば、ラベルを配置することができます。
連続で配置したい場合はそのまま別の箇所をクリックすれば良いですが、配置を終えたくなったらEscキーを押して状態を解除しましょう。

4.ラベル同士を繋ぐ方法(クロスリファレンスの生成)

ラベルはパネルメニューウィンドウの「部品NO(ネット名)」を揃えることで、ネット名が共通するラベル同士を繋ぐことができると説明しました。
ただ、それは前準備であって、実際はある手順を踏まなければラベル同士の関連付けまではできません。
それがクロスリファレンスの自動生成です。

クロスリファレンスを自動生成するとパネルメニューウィンドウの「コネクタロケーション」が入力されます。
この「コネクタロケーション」の値が、座標を示す「008:1A」や「008:4B」になります。
なので、クロスリファレンスを自動生成しなくても「コネクタロケーション」を合わせればラベル同士で繋がるのかもしれませんが、クロスリファレンスの自動生成は全く手間ではありませんので、有無を言わさずにクロスリファレンスの自動生成をした方が早いし確実です

まず、繋げたいラベルの「部品NO」を揃えます。
この状態で「ツール」の「クロスリファレンス」から「回路図に表示」を選択します。
すると、回路を更新したので結果を保存するかどうかというメッセージが表示されますので、「はい」か「いいえ」の好きな方を選びましょう。
基本的には「いいえ」で問題無いです。
後で自分で保存すれば良いので。

図7

これで「部品NO」が同一のラベルのクロスリファレンスが自動で生成され、関連付けが完了します。

また、「部品NO」の重複が無いかを確認する上でも、クロスリファレンスの自動生成は有用です。
もしも「部品NO」を全く関係無い箇所のラベルと重複させてしまっていた場合、クロスリファレンスを自動生成することで「コネクタロケーション」が想定していないところにも繋がっていることを教えてくれますからね。

ちなみに、「部品NO」を揃えるラベルは2つより多くても問題ありません。
3つとかでも普通にクロスリファレンスの生成は実施されます。

ただ、増えれば増えるほど接続先の座標が増えていきますので、クロスリファレンスの見映えが悪くなっていきます。
3つの時点で結構わかりづらくなります。
なんでもかんでもラベルを統一するのはやめておきましょう。

図8

5.クロスリファレンスの自動生成に失敗する理由

クロスリファレンスの自動生成は一瞬で完了しますが、ある状態だと生成に失敗します。
それは、ラベルがどこにも繋がっていない場合です。

試しに、図8においてR003と座標[008:4A]のラベルXXXをネット接続していない状態にしてクロスリファレンスを自動生成すると、「シートコネクタになにも接続されていません」というエラーメッセージが表示され、認識されなくなります。

図9

そういうルールなのだと覚えましょう。

おそらく、何も接続していないとネットリストを出力するための情報が空白になる為、このようになるのだとは思います。

以上、回路図上で離れた箇所同士を繋ぎたい場合のネットの表現方法についてでした。