今回は、「ソース接地回路の入力信号波形に対する出力信号波形の求め方」についての説明です。
1.初めに
FETには、トランジスタ同様に信号を増幅する機能と回路をON/OFFするスイッチング機能があります。
スイッチング機能は置いといて、まずはFETを用いて信号を増幅する回路を例に挙げ、実際に信号がどのように増幅されるかを見ていこうと思います。
増幅機能とは言っても、接地方式によって特徴が変化します。
この辺りはトランジスタにエミッタ接地回路・コレクタ接地回路・ベース接地回路が存在するのと同じです。
FETにもソース接地回路・ドレイン接地回路・ゲート接地回路が存在します。
今回はソース接地回路について解説していきます。
ちなみに、使用するFETは、よく使われているエンハンスメント型のMOSFETとしています。
2.ソース接地の特徴
ソース接地回路は、ソース共通回路とも呼ばれます。
基本的な特徴は以下の通りです。
トランジスタのエミッタ接地回路と同じような特徴になっています。
※入力インピーダンスだけはFET自体の特性なので高くなっています。
また、FETは電圧制御でゲート端子に電流は流れないので、電流増幅率の記述は無くなっています。
3.ソース接地回路を利用した増幅回路
図1のようなソース接地回路があり、交流信号VINが入力されています。

この回路は、ゲート電圧VGS=3[V]の時にドレイン電流ID=100[μA]になったとします。
また、順方向伝達アドミタンス|Yfs|=100[μS]とします。
この時の出力波形VOUTを図示してみましょう。
まず、出力電圧VOUTを式で表すと、VOUT=VDD-RID=5-20000IDになります。
ここで現状不明なのは変数であるドレイン電流IDです。
入力信号が交流波形になっているので、IDは変化するのです。
なので、IDを式で表す必要があります。
|Yfs|をうまく利用して考えていきましょう。
VGS=3[V]、ID=100[μA]を基準とした時の|Yfs|の関係は以下のようになります。

ソース接地回路の場合はVIN=VGSになっていますので、それを途中で反映しています。
この式をVOUTの式に代入します。

後は、各点をプロットしていくことで出力波形は導き出せますし、入力信号波形を瞬時値表示して求めることも可能です。
せっかくなので後者で求めてみますね。
VINを瞬時値表示にすると、振幅1[V]、周期T[s]なので、以下のようになります。

この式を先程のVOUTの式に代入します。

これが得られる出力波形です。

振幅が2倍になって位相が反転しましたね。
以上、「ソース接地回路の入力信号波形に対する出力信号波形の求め方」についての説明でした。



