今回は、「DanteHCとDanteSCとIP Coreの関係」についての説明です。
目次
1.初めに
会社でFPGA設計担当者主催でDanteについての勉強会が開かれたのですが、何か知ってて当然かのようにIP Core、DanteHC、DanteSCって用語が出てきたんですよね。
勿論私は何のことかわからなかったですが、質問できる空気ではありませんでした。
勉強会という名を冠する情報共有会です。
素人のことは考慮していない、よくあるヤツだったんです。
仕方ないので自分で一から調べることになったので、今回こうしてまとめることになりました。
ちょうどDanteについて調べていましたしね。
ということで、今回はIP Coreとは何なのかを説明し、そのIP CoreとDanteHCとDanteSCがどう関係してくるのか、DanteHCとDanteSCは何が違うのかなどについて触れていきます。
私も無の状態から調べて勉強したので、超初心者でもおそらく理解できるようになっていると思いますよ。
ちなみに、この勉強会は第2回が開催されることはなく自然消滅しました(笑)
なんか忙しいからと後回しにしていたらそのまま存在が忘れられたようです。
2.IP Coreとは?
まずはIP Coreとは何なのかを説明していきます。
DanteHCとDanteSCの説明にIP Coreの理解が先に必要でしたのでね…。
IP Coreは、[Intellectual Property Core]の略称です。
直訳すると、[知的財産コア]です。
[Core]は[中心・中核・根幹]みたいな意味があるので、知的財産の中心を担うナニカだとわかりますね。
具体的には、IP CoreはICやFPGAなどの設計に組み込むことができる再利用可能な機能ブロックのことを指しています。
データ・ソフトウェア的なモジュールです。
要するに、特定の機能を持った設計済みのソフトウェアみたいなものだと考えてください。
ICやFPGAに組み込むだけで画像処理ができるようになるだとか、オーディオ伝送に対応するようになるだとか、機能を拡張することができるのです。
一から画像処理・オーディオ伝送対応させるための設計をしようと思ったら、そのための膨大な工数・コストがかかるでしょう?
だから、予めそれらの特定の機能を持ったIP Coreを組み込むことで、設計を短縮する効果があるわけです。
3.IP CoreとDanteの関係
IP Coreは企業がライセンス販売していることがあります。
その場合、他社からライセンスを購入さえすれば別の会社の製品にIP Coreを組み込むことができます。
Danteもこの形態を取っていて、Audinate社とライセンス契約を結ぶことでAudinate社からDanteモジュールというDanteの根幹を担う部品が供給されるようになります。
もしくは、Danteモジュールという単体で機能する部品を提供するのではなく、Danteの機能をICやFPGAに組み込むためのソフトウェアを提供してくれます。
前者の場合は、製品にDanteモジュールを組み付けることでDanteに対応するようになります。
後者の場合は、自社で用意しているICやFPGAにDante IP Coreを組み込むことで、Danteに対応するようになるというわけです。
こうして、Danteに対応させた製品が様々な企業から世に送り出されているわけです。
なので、機能ブロックとして提供されたDanteはIP Coreの一部と言えます。
4.DanteHCとDanteSCとは何なのか?
ここまで説明して、やっとDanteHCとDanteSCの説明に移れます。
結論から言うと、DanteHCとDanteSCとは、Audinate社がDanteオーディオネットワークを形成するために提供しているIP Coreの一種です。
正式名称は、それぞれDanteHC IP Core/DanteSC IP Coreなのです。
つまり、どちらもIP Coreを指していて、Danteオーディオネットワークを形成する点は共通しているけど、その性能が異なるのです。
具体的には、チャンネル数が異なります。
なので、適した使用用途も変わってきます。
DanteHC IP Coreとは?
DanteHCは、英語で[Dante High Channel Count]と書きます。
チャンネル数が“High”なんですよ。
つまり、DanteHCは多チャンネル数のDante通信向けのIP Coreになります。
最大512×512chに対応しているので、大規模なライブ音響システムやレコーディングスタジオなど、広い施設に使用されます。
こじんまりとした部屋で512×512chとか宝の持ち腐れですからね。
また、チャンネル数が多いということはそれだけ容量を食うので、DanteHCを組み込むICやFPGAは高性能のものが求められます。
まとめると、高機能で拡張性が高い代わりに高価なDante IP CoreがDanteHCだというイメージになります。
DanteSC IP Coreとは?
DanteSCは、英語で[Dante Small Channel Count]と書きます。
DanteHCの説明で予想が付いていたかもしれませんが、こちらはチャンネル数が“Small”なんですよ。
つまり、DanteSCは少チャンネル数のDante通信向けのIP Coreになります。
最大16×16chに対応しているので、会議室などの小規模なAV施設に使用されます。
チャンネル数が少ないので組み込み時に容量をあまり食わず、省電力でコストを抑えるのに向いています。
まとめると、機能を制限することで省電力・ローコストに焦点を当てた安価なDante IP CoreがDanteSCだというイメージになります。
DanteHCとDanteSCの違い
DanteHCとDanteSCの違いを簡潔にまとめると、以下のようになります。

図1のように、DanteHCは大規模用途向けのDante IP Coreで、DanteSCは小規模向けのDante IP Coreだというだけなんですね。
HCとSCが何の略なのかを覚えてしまえば、どちらがどちらなのか迷うことは無くなります。
ちなみに、DanteHCは最大512×512chですが、コスト削減のためにチャンネル数を制限していることも可能です。
敢えて64×64chなどに制限して設計している場合もあるのです。
なので、DanteHC搭載だと言っても、512×512chに対応しているとは限らない点には注意しましょう。
5.IP Coreはソフトなのか?ハードなのか?
調べてる段階で個人的に困惑したことがあります。
それは、IP Coreはソフトなのかハードなのかという点です。
ここまでの説明からすると、ICやFPGAに組み込むと言っているのだから、機能ブロック・ソフトウェアを指しているという理解になるかと思います。
なのですが、試しにYamahaの主要Danteモジュールのラインナップを見てみると、以下のようになっています。

DanteHCっていうモジュールがあるんですよね。
DanteHCは正式にはDanteHC IP Coreのことを指しています。
なので、『IP Coreのことじゃなかったの!?』と困惑していたわけです。
結論を言うと、IP Coreは本来の意味通り機能ブロック・ソフトウェアのことを指していますが、IP Coreを組み込んだ製品モジュールもIP Coreの名を冠していることがあるだけです。
要するに、DanteHCを組み込んだYamahaの主要なモジュール・成果物のことをDanteHCモジュール、略してDanteHCと呼んでいるだけなんですね。
その為、IP Coreの名前を見かけた場合は、その文章からソフト的なものを指していたりハード的なものを指していたりとバラバラだったりします。
どちらにしろそのIP Coreが組み込まれている点は変わりないという部分だけ覚えておくと良いかと思います。
以上、「DanteHCとDanteSCとIP Coreの関係」についての説明でした。



