【基礎から学ぶ設計思想】 ラインレギュレーションとは? ~入力電圧の変動に対する出力電圧の変動の割合~

電気電子
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回路設計を行う上で考慮すべき事柄は、使用環境・製品寿命・性能のバラつき・熱の影響・ノイズの影響など多岐に渡ります。
突き詰めていくと際限が無いので、本記事では設計時に意識しておくべきだと感じた内容についてわかりやすくまとめています。
考え方自体は回路設計以外にも通じるものがあるので、知っていて損をする内容ではないかと思いますよ?

今回は、「ラインレギュレーション」についての説明です。

1.ラインレギュレーションとは?

当たり前ですが、電気機器・電子機器はコンセントからAC100Vを引っ張ってくるなり電池を嵌め込むなりして電源を供給しなければ動きません。
コンセントに繋いでいないドライヤーや洗濯機が動くわけないですよね?

機器に必要となる最適な電源を割り振っているわけですが、この供給している電源電圧は不動ではありません
わかりやすいのは消耗品である電池ですね。
使い切ったら電源として役に立たなくなる、つまり電圧が低下して0[V]になっているわけですから。
AC電源に関しても、使用する時間帯などにより微妙に電圧が変動します。

電源は基本的に一定電圧ではないわけですが、そうするとその電源を使用している回路の負荷側の出力はどうなるでしょうか?
電源電圧の変動によって影響が出ないとは言い切れませんよね?
もしかしたら定格に収まらなくなってしまうかもしれませんからね。

そこで、入力電圧の変動に対する出力電圧の変動の割合を算出することが重要になってきます
この変動の割合のことをラインレギュレーションと呼びます。

入力電圧変動・入力安定度・入出力電圧特性など、呼び名は色々あるようです。
どの呼び名でも大体の意味は察せますけどね。

2.実際の考え方

実際にどんな感じに計算するのか例を見ていきましょう。

図1のような電源に抵抗を2つ直列に繋いだ回路があるとします。
この電源電圧3[V]は±5%の範囲で変動するとします。
この時の出力電圧VOUTは何%変化するのか求めてみます。

図1

まず、電源電圧の振れ幅(入力電圧の変動ΔVIN)を求めると以下のようになります。

ΔVIN=3×(±0.05)=±0.15[V]

次に出力電圧VOUTの振れ幅(出力電圧の変動ΔVOUT)を求めます。
1kΩ抵抗と2kΩ抵抗で分圧された値が出力電圧となります。

ΔVOUT=2[kΩ]÷(1[kΩ]+[2kΩ])×ΔVIN=2÷3×(±0.15)=±0.1[V]

電源電圧が3[V]の時の出力電圧VOUTも分圧して求めると、2÷3×3=2[V]だとわかります。
つまり、出力電圧VOUTは2±0.1[V]の範囲で変化します
これをパーセンテージで表すと、以下のようになります。

ΔVOUT÷VOUT×100=(±0.1)÷2×100=±5[%]

よって、出力電圧VOUTは5%の範囲で変化することがわかります。

やっていることはただの数学なわけです。

以上、「ラインレギュレーション」についての説明でした。