今回は、「Danteの物理トポロジーとリダンダント接続の効果」についての説明です。
目次
1.初めに
前回の記事にて、Danteとは何なのかという基本的な部分を詳しくまとめました。
そこの説明の中で「DanteはPrimaryとSecondaryの2つのポートになっている場合がある」と述べているのですが、何故そうなっているのかは特に触れませんでした。
基本部分だけで結構な文量になったので、脱線できなかったのです。
ということで、今回はこの2つのポートが設けられている理由や、実際の繋ぎ方について深堀りしていこうと思います。
2.PrimaryとSecondaryの2ポートがある理由
Dante搭載機器のDanteポートを見てみると、1つのみ設けられている場合と、2つ設けられている場合の2パターンが存在します。
DanteはLANケーブルを用いて双方向通信しますので、最低限通信したいだけならLANポート1つだけで事足ります。
では何故2つ設けられていることがあるのかというと、その機能の幅を広げるためです。
どのような機能が追加されるのかというと、以下の2つになります。
- 二重化接続が可能になる。
- 物理的な接続を数珠繋ぎにすることができる。
ただ、これらの機能はどちらか片方しか使用できません。
予めどちらかの機能だけ使えるように設定しておき、その設定に合わせた接続のみ有効になるということです。
その為、Danteについてしっかり理解していないと、どこに何を繋げば良いのか意味不明になるんですよね。
私も最初は言われるがままに接続していたので、機器AのPrimaryと機器BのSecondaryを繋いでいることがあったり、機器AのPrimaryと機器BのPrimaryを繋いでいることがあったりと、意味がわからなくなっていました。
まあ、教えてくれた上司も間違えてたんだけどね。(同じ穴の狢感)
3.Danteの物理トポロジー
Danteの物理トポロジーは、スター型とデイジーチェーン型の2パターンになります。
物理トポロジーというのは、簡単に言えば「実物の配線方法」です。
じゃあ最初からそう言えよと思うかもしれませんが、この業界においてはトポロジーという呼び名が頻出する為、覚えておくに越した頃はないのでわざとトポロジーと記述しています。
トポロジーについては別途まとめてあるので、ここでは簡単な説明をしていきます。
詳細な説明は以下の記事を参照してください。

スター型トポロジーの配線
Danteネットワークの基本的な物理接続構造は、スター型トポロジーです。
親機に当たるような機器を中心にノード(立方体の角部分のような骨組みの節合点のこと)を接続する方式です。
その形状が星形に見えるので、スター型という名称になっています。

Danteにおいては、ネットワークスイッチを中心のノードとして、他のDante機器をLANケーブルを使ってそのネットワークスイッチにまとめて接続する手法となります。
その為、どのDante機器も一度ネットワークスイッチを介することになるので、ネットワークスイッチ経由で全てのDante機器が接続された状態を作ることになります。
その結果、ネットワークスイッチを介しているDante機器同士なら、どの組み合わせでも自由に伝送できるようになっています。
もし仮にネットワークスイッチのLANポートが足りなくなったとしても、別のネットワークスイッチを追加してネットワークスイッチ同士を繋ぐことで拡張することが可能です。
このように、接続が単純且つ非常に高い拡張性を持った物理トポロジーなので、一般的な接続方法としてはスター型トポロジーになっていることが多いのです。
スター型トポロジーの場合、Dante機器のPrimaryだけをネットワークスイッチに繋いでおけばとりあえず繋がるので、初心者でも誤接続をしづらいのが良いところです。
Secondaryの繋ぎ方についてはリダンダント接続の説明と併せて後程説明します。
デイジーチェーン型トポロジーの配線
Danteネットワークのもう一つの物理接続構造は、デイジーチェーン型トポロジーです。
機器を数珠つなぎに直列接続する方式のことです。
その為、必然的にDante機器には入口と出口に当たる2つのLANポートが必要になります。
つまり、デイジーチェーン型トポロジーの場合、PrimaryとSecondaryの両ポートが必須になるのです。
繋ぎ方自体は簡単で、各Dante機器の入口がPrimary、出口がSecondaryになると考えるだけです。
その為、機器Aと機器Bと機器Cを順番にデイジーチェーン接続したいとしたら、機器AのSecondaryと機器BのPrimary、機器BのSecondaryと機器CのPrimaryという具合に接続をすれば良いということになります。

ちなみに、デイジーチェーン接続は、スター型トポロジーと組み合わせて使用することができなくはないです。
ただ、配線がごちゃごちゃになりますし、後述のリダンダント機能は使えないという点を考慮する必要があります。
例えば、以下のような繋ぎ方になります。
わかりづらくなっているでしょう?

大規模なDanteネットワークを形成する場合、素直にスター型トポロジーを組んでおいた方が何かと楽になるかと思われます。
4.リダンダント接続とフェイルオーバー
Danteの利点は、LANケーブル1本で繋ぐだけで接続可能という点です。
機器を繋ぐケーブルが3本あるよりも1本だけの方が配線が楽になるに決まっていますからね。
ただ、1本のケーブルで繋がっているということは、その1本のケーブルが断線したり抜けていたりするとネットワークの経路が遮断されてしまう可能性があります。
特にデイジーチェーン型トポロジーを組んでいた場合、途中でネットワークが途切れたら後段が全滅してしまいますから注意が必要です。
そんな訳で、接続ケーブルが1本で済むという状態は作業性・拡張性の面では大きなメリットなのですが、通信の安定性という面ではデメリットになっているのです。
そうなると、接続に異常が発生した時用に、予備の配線も使えるようになっていると便利だと思いませんか?
Danteには、そんな機能も搭載されています。
それが、最初にちょっと出てきた二重化接続です。
DanteにはPrimaryとSecondaryの2つのポートがありました。
デイジーチェーン型では両ポートを使用していましたが、スター型ではPrimaryポートしか使いませんでしたよね?
なので、スター型の場合はPrimaryとSecondaryの2ポートを並走させて二重に接続することができます。
こうすることで、もしPrimaryポートに何らかの問題が発生したとしても、Secondaryポートが生きているのでそちらで通信を継続できるようになっています。
もしSecondaryポートを使わないでいるのなら、通信の安定性を重視してDanteを二重化通信しておくことが推奨されています。

このように予備のネットワーク配線を並走させる接続のことを、リダンダント接続(リダンダンシーで余分・マージンがあるという意味)と呼びます。
また、メイン機能に障害が発生した際に自動的に予備機能に切り替わることをフェイルオーバーと呼びます。
Danteの配線の話をするとこの辺りの用語は知ってて当然という体で出てきますので、覚えておきましょう。
ちなみに、このリダンダント機能ですが、Dante機器ならすべてに搭載されているというわけではありません。
大体のDante機器に標準搭載されていますが、小型のDante機器なんかはSecondaryポートを置くスペースが無いことは珍しくないんですよね。
リダンダント接続したい場合、手持ちのDante機器がリダンダント接続に対応しているかどうかを確認するようにしましょう。
5.Dante機器のモード選択
ここまでの説明で、Secondaryポートの使い方が2パターンあることはわかってくれたかと思います。
デイジーチェーン用途である機器のSecondaryポートと別の機器のPrimaryポートを繋ぐか、リダンダント用途である機器のSecondaryポートと別の機器のSecondaryポートを繋ぐかです。
ですが、この2つの繋ぎ方って、同時には成り立たないですよね?
なので、Dante機器がこの両方の用途で使用できるタイプの場合、どこかしらにデイジーチェーンモードとリダンダントモードを切り替えできるようになっています。
その為、使用目的に合わせてモード設定することを忘れないようにしましょう。
この辺りを考慮せずに適当に繋ぐと、正常に通信は行えなくなります。
ちなみに、デイジーチェーンモードに関しては、Yamahaの機器なんかではSwitchedモードと記載されています。
同様にメーカごとに名称が異なる可能性はありますが、どちらかがデイジーチェーンモード/リダンダントモードであることに違いは無いので、どちらのモードなのかは何となくわかるかと思われます。
以上、「Danteの物理トポロジーとリダンダント接続の効果」についての説明でした。



