【社会のルールや政策】 輸出時に必要になる該非判定書と非該当証明書の違いについて

ルール
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社会には様々なルールがあります。
社会の秩序を保つためなのでそれは構わないのですが、政策名などはすぐに略語にされたりと、一見何を表しているのかわからないものが多々あります。
そんな略語に限って説明は割愛されるんですよね…。
本記事は、そんな用語の意味をまとめたものとなっています。

今回は、輸出時に必要になる該非判定書と非該当証明書の違いについて記述していきます。

1.初めに

ある日、私は上司に突然“該非判定書”を取り寄せるようにメールで指示されました。
この上司も別の人に依頼されて「輸出時に必要になる」以上の知識が無かったらしく、この時は“該非判定書”とは何なのかわからないままに代理店に作成依頼を出す羽目になりました。
金曜日に依頼されて期日は来週の月曜日というよくある無茶ぶりをされたので、調べる時間が無かったんですよ…。

ということで、後日“該非判定書”とは何なのかを調べてまとめようとした結果が本記事となるわけです。

ただ、その過程で一緒に“非該当証明書”やら“リスト規制”やら“16項該当物質”やら、別の用語の意味も一緒に理解しておいた方が理解が深まりそうだったので、“該非判定書”以外にもいくつかの用語をまとめて解説していこうと思います。

2.該非判定書とは?リスト規制とは?

該非判定書とは、通関を円滑に行うことを目的として輸出を規制するリストに該当するか否かを明らかにした書類のことです。
何かを輸出しようとした際に必要になる書類というわけです。

身の周りには、便利ではあるけど使い方を誤ると危険極まりないものというのはありふれています。

例えば、包丁やハサミは普段使いするかと思いますが、刃物なので普通に凶器にもなりますよね。
車は移動手段ですが、ブレーキとアクセルを踏み間違えて人や家に突っ込む事故なんか頻繁に発生しています。

では、この考えに輸出を組み込んでみたらどうなるでしょうか?
国内生産したものが、海外で兵器の開発・製造・加工なんかに使われる可能性があるのです
それでテロ行為やレジスタンスの設立なんてされたらたまったものじゃないですよね。

そこで、日本政府は武器や大量破壊兵器などに使用される可能性が高いものや技術をリストに挙げ、簡単に輸出できないように輸出規制しています
この仕組みのことをリスト規制と呼びます。

このリストに含まれる品目は用途に関わらず規制対象となり、必ず輸出時に経済産業大臣の許可が必要になります。
なので、このリストに該当する貨物なのか、それとも非該当の貨物なのかを明らかにする必要があります。
そこで登場するのが該非判定書です
つまり、該非判定書とはリスト規制に対して該非判定した書類というわけです。
この該非判定書を税関に提出して、輸出手続きを行います。

3.リスト規制の項目

該非判定書は、貨物がリスト規制の項目に該当するか否かを判定した書類だと述べました。
そのリスト規制の規制項目は、輸出貿易管理令別表第一、外国為替管理令別表に基づいたものとなっています。
詳しくは経済産業省のホームページに記載されています。

該非判定/貨物・技術のマトリクス表について (METI/経済産業省)
経済産業省のホームページです。経済産業省の組織、大臣会見、報道発表、政策、審議会・研究会、所管法令、予算・税制、統計、申請手続きなどに関する情報を掲載しています。

ここでは、簡単にどんな項目があるのかを載せておきますね。
リストは、以下の15品目になっています。

1の項:武器…鉄砲、銃砲段など
2の項:原子力…核燃料物質、原子炉、重水素など
3の項:化学兵器…毒性物質の原料、ポンプ(※科学製剤の製造装置になり得るもの)など
3の2項:生物兵器…細菌製剤の原料など
4の項:ミサイル…ロケット、無人航空機など
5の項:先端材料…フッ素化合物製品、有機繊維、炭素繊維など
6の項:材料加工…ロボット、測定器など
7の項:エレクトロニクス…集積回路、半導体基板、エンコーダなど
8の項:電子計算機
9の項:通信…伝送通信装置、暗号装置など
10の項:センサ等…水中探査装置、反射鏡など
11の項:航法装置…水中ソナー航法装置など
12の項:海洋関連…船舶、水中カメラなど
13の項:推進装置…ガスタービンエンジン、人工衛星など
14の項:その他…ディーゼルエンジン、催涙材など
15の項:機微品目…電波の吸収材、ラムジェットエンジンなど

15品目と言っているのに“3の項”と“3の2項”があったり、“その他”という項目があったり、一部複数の項目に該当するものもあったりします。
まあ、リスト規制に含まれるなら規制対象なので、そこさえわかれば良いんですよ。

ちなみに、調べると規制されているリストは輸出貿易管理令別表第一、外国為替管理令別表に基づいていると出てくるのですが、輸出貿易管理令別表第一については詳細は出てくるのに、外国為替管理令別表については何か触れられていないことが多いんですよね。
もしかしたら輸出貿易管理令別表第一=外国為替管理令別表なのかもしれません。

4.該非判定書と非該当証明書の違い

該非判定書と似た名称の書類として、非該当証明書があります。

該非判定書の説明をしたから想像は付くかもしれませんが、非該当証明書はリスト規制に該当しないことを証明する書類のことです

該非判定書を必要とするケースは、ほぼほぼ貨物がリスト規制に非該当であることを証明したい場合です。
その為、該非判定書と非該当証明書がイコールであるかのように説明されていることが偶にあります。
ただ、よくよく考えると意味が異なります。

該非判定書は、ある基準に該当しているか否かを判定した書類です。
「該当する」or「該当しない」の判定を求めていますので、判定書の形式も該当/非該当/はい/いいえを選択するような簡易的なものになります。

それに対して非該当証明書は、ある基準に対してそもそも非該当・対象外であることを証明した書類になります。
該当しない・対象外だという“証明”を求めているわけです。
その為、該非判定書のようなチェック項目式では無く、非該当証明書は全社通達のような堅苦しい証明書形式になります。
経済産業省のホームページに非該当証明書参考様式がありますので、確認してみると良いかと思います。

申請書類 (METI/経済産業省)
経済産業省のホームページです。経済産業省の組織、大臣会見、報道発表、政策、審議会・研究会、所管法令、予算・税制、統計、申請手続きなどに関する情報を掲載しています。

5.該非判定書と非該当証明書は誰が提出するのか?

該非判定書/非該当証明書を発行するのは、輸出者側になります。
その輸出者が貨物の製造者では無い場合、製造業者や代理店に該非判定書/非該当証明書の発行を依頼することになります。

では、どのように依頼すれば良いのかと言うと、冒頭で無知識状態の私がやったように、普通に作成依頼をするだけで良いです。
要約すると、『今度○○社製の××という部品を輸出するので、該非判定書をください』とメールを出しました。
製造業者や代理店は該非判定書/非該当証明書の発行は慣れたものなので、『該非判定書をください』と言えば普通に用意してくれるのです。

ちなみに、その時に用意していただいた文書の名称はパラメータシートになっていたので、本当にこれで合っているのかと私は不安になっていました。
ですが、該非判定書にフォーマットは特に無いらしく、パラメータシートや項目別対比表というものを利用して該非判定書として提出してくることが多いようです。
リスト規制の該非判定がわかるなら、形式は気にしないんですね。

6.16項該当貨物とキャッチオール規制

輸出貿易管理令別表第一に基づいて輸出規制されているわけですが、ここに含まれないものでも武器や大量破壊兵器に使用される可能性は否めません。
そこで、輸出貿易管理令別表第一ではカバーしきれない範囲を補完する規制が存在します。
この規制のことをキャッチオール規制と呼びます。
補完的輸出規制と呼ばれていることもあります。

輸出貿易管理令別表第一のリスト規制項目は15項目でしたが、ここに16項目としてキャッチオール規制がくっつく形になります。
なので、16項該当貨物という表現が出てきたら、それはキャッチオール規制のことを指していることになります。

キャッチオール規制の対象物は、どう考えても兵器転用は不可能である食料・木材・紙製品等を除く全ての輸出貨物となります
とは言え、16項該当貨物だとしても、必ず経済産業省に輸出許可申請が必要になるというわけではありません。
食料・木材・紙製品等を除く全ての輸出貨物に毎回毎回輸出許可申請をしていたら、物流が停滞してしまいます。
なので、用途やエンドユーザの観点から武器や大量破壊兵器に利用される懸念がある場合に限り、経済産業大臣の許可が必要になります。

7.キャッチオール規制対象外のホワイト国

キャッチオール規制は、輸出管理を徹底している国相手なら対象外となっています

日本政府によって認められた輸出管理徹底国は、ホワイト国と呼ばれています。
具体的には、以下の3点に該当する国をホワイト国に分類しています。

  • 大量破壊兵器等に関する条約に加盟している。
  • 輸出管理レジームに参加している。
  • 輸出した品が第三国に流出し大量破壊兵器に転用される恐れがない

このホワイト国という通称は2019年時点で廃止されており、2026年時点ではグループAが正式名称になります。
まあ、呼び慣れているからかホワイト国のままになっていることはよくありますけどね。
グループAと言われてもホワイト国のことだって結びつきにくいんですよ…。
ホワイト国なら、ブラック企業・ホワイト企業という一般的に普及している言葉があるので、意味も連想しやすいですからね。

ホワイト国は、2024年3月時点では以下の27ヶ国が該当します。
ただ、ホワイト国に含まれる国は年々変わる可能性があります。
輸出管理徹底国がホワイト国なら、輸出管理を徹底しなくなったらホワイト国じゃないわけですからね。
実際、2019年に韓国は一度ホワイト国から除外され、2023年に復帰しています。

  • アルゼンチン
  • オーストラリア
  • オーストリア
  • ベルギー
  • ブルガリア
  • カナダ
  • チェコ
  • デンマーク
  • フィンランド
  • フランス
  • ドイツ
  • ギリシャ
  • ハンガリー
  • アイルランド
  • イタリア
  • 韓国
  • ルクセンブルク
  • オランダ
  • ニュージーランド
  • ノルウェー
  • ポーランド
  • ポルトガル
  • スペイン
  • スウェーデン
  • スイス
  • イギリス
  • アメリカ合衆国

以上、輸出時に必要になる該非判定書と非該当証明書の違いについてでした。