今回は、「ヒヤリハットの概念とKYT」について記述していきます。
1.ヒヤリハットとは?
会社に所属しているとどこかしらでヒヤリハットという言葉は耳にするかと思います。
ヒヤリハットとは、結果的には何ともなかったものの、場合によっては重大な災害や事故に直結することもあり得た一歩手前の出来事のことを指しています。
事故に合いそうになってヒヤリとしたり、事前にミスに気付いてハッとした経験は何かしらあるのではないでしょうか?
だからヒヤリハットと呼びます。
会社で出てくる用語って仰々しい名称のものが多いのですが、なんか妙に可愛らしいネーミングをしているんですよね。
わかりやすくて私は良いと思いますけど。
ヒヤリハットの事例としては、以下のようなものがあります。
- 横断歩道が青になったから信号を渡ろうとしたら、信号無視をした車が目の前を通過した。
- メールを特定の人に返信しようとしたら、間違えて全員に返信しそうになった。
- マニュアル通りに保護メガネをかけていなかったため、目に切削加工物のクズが入りそうになった。
- 工事現場の足場が悪かったので、足を踏み外しそうになった。
- わき見運転をして人身事故を引き起こしそうになった。
まあ、よく話題に挙げられるような事例ですね。
ヒヤリハットの重要性を裏付ける経験則として、アメリカの損害保険会社に勤めていたハインリッヒさんが提唱した「ハインリッヒの法則」というものがあります。
ハインリッヒの法則は「1:29:300の法則」とも呼ばれます。
5000件以上の事故・労働災害の調査を経て分析した経験則で、「1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故が存在し、さらにその背後には300件の異常が存在する。」というものです。
要するに、ちょっとした異常の積み重ねが軽微な事故に繋がり、その数が増えれば増えるほど重大な事故に繋がるリスクが増えるということです。
1人がわき見運転しても事故は起きないかもしれないですが、300人わき見運転したら何人かは事故を起こしそうでしょう?
その割合を経験則で割り出したものがハインリッヒの法則(1:29:300の法則)だということです。
ここで言うところの300件の異常がヒヤリハットです。
その為、『事故が起きなかったから良かった』で終わらすのではなく、その経験を次に活かしてヒヤリハットの件数自体を減らしていくことが、事故を未然に防ぐためには大切だということがわかりますね。
2.KYTとは?
ヒヤリハットを減らすことが事故の防止に繋がるという話でした。
このヒヤリハットという考えは安全衛生の観点で普通に会社でも大切にしていることなので、大体どの会社でも教育・訓練を定期的に行っているはずです。
この活動はKYTと呼ばれています。
KYTとは、危険予知訓練のことです。
[Kiken Yochi Training]でKYTです。
ヒヤリハットに引き続きなんか気の抜ける名称なんですよね。
…なんで危険予知まではローマ字なのに訓練だけ英語なんでしょう?
KYTは、端的に言えば職場や作業場にどんな危険が潜んでいるかを探すグループワークのことです。
イラストや写真が用意されていて、『車の陰から自転車が飛び出してきそう』とか『通路に荷物がはみ出ているので躓く可能性がある』とか『立ち上がった際に頭をぶつけるかもしれない』など、よくよく考えると身の回りに存在する危険箇所(ヒヤリハット)について意見を出し合います。
最終的にどうすれば良いかという具体的な解決策まで話し合い、指差呼称をして〆るのが一般的です。
要は、『日頃からヒヤリハットを意識して、労災を起こさないように心掛けてね』という呼びかけをしている活動がKYT活動なのです。
以上、「ヒヤリハットの概念とKYT」についてでした。


