【基礎から学ぶ音響技術】 オーディオアナライザとは? ~音質評価・解析・性能測定機能を一纏めにした装置~

音響
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

音楽スタジオなどをイメージすると、なんか小さな画面やボタンがいっぱい付いた機器が置いてある気がしませんか?
あれらの機器で音楽を作ったり諸々の調整をしているわけですが、どんな機器があるのか/何をしているのかが気になりませんか?
本記事は、そんな好奇心を満たすためにまとめたものとなっています。

今回は、「オーディオアナライザ」についての説明です

1.初めに

オーディオ製品を開発したのなら、その性能を確認・検証する必要があります。
オーディオ機器と言うくらいですので、音質を評価したりするわけです。
そうなると、基準として入力する音が必要になるわけですが、この基準の音の精度・品質に問題があった場合、検証結果には何の信憑性も無くなってしまいます。

例えば、パワーアンプへ綺麗な信号を入力しているつもりで歪んだ信号を入力していたとします。
すると、当然ながらパワーアンプは歪みごと増幅してしまう為、パワーアンプの出力信号は大きく歪んだように見えてしまいます。
こうなると、パワーアンプの性能が悪くて増幅後の波形が歪んでしまったのだと誤認してしまうでしょう?

このように、自分が想定している音を正確に出力できる機器がないと、音質の検証結果がまともに出て来ないのは自明の理です。

今回は、そんな心配をなくしてくれるオーディオアナライザという機器について解説していこうと思います。

2.オーディオアナライザとは?

オーディオアナライザとは、英語で[audio analyzer]と書きます。
[analyzer]は入力された信号を分析・解析する装置やソフトウェアの総称です。
[analyze]がそもそも分析という意味ですからね。

なので、オーディオアナライザは、オーディオ機器・音響機器に対して、アナログ音声デジタル音声の音質評価・解析・性能測定をする機能を集約した装置のことを指しています。
オーディオアナライザを使用することで、オーディオ機器・音響機器のパフォーマンスを定量的に評価し、音質の改善や問題の特定ができるのです。

具体的には、イヤホン・ヘッドホン・スピーカー・電子楽器などの音声品質の確認・向上・検査に用いられていると思ってくれれば良いです。

3.オーディオアナライザの主要な測定項目

オーディオアナライザで測定できる内容で代表的なものは、以下のようなものがあります。

  • レベル
  • 周波数応答
  • 波形の歪み
  • S/N比
  • クロストーク

それぞれ簡単に補足説明しますね。

レベル

オーディオ機器では、音を電気信号であるオーディオ信号に変換して取り扱います。
このオーディオ信号のピーク値やRMSといった強さ・大きさを数値で表したものがレベルです

主に取り扱われるのは電圧レベル音圧レベルです。

電圧レベルはオーディオ信号の交流成分の電圧を測定したり直流成分の電圧を測定するので、単位はdBVdBuになります。
音圧レベルは音の強さを測定するので、単位はdBSPLとなります。

スピーカーの音圧測定とかで利用されます。

周波数応答

オーディオ信号は“”なので、周波数が存在します。
このオーディオ信号なのですが、周波数帯によって応答性が微妙に異なったりします。
俗にいう周波数特性というヤツです。

具体的には、入力されたオーディオ信号の周波数ごとの出力レベルや位相の変化を観測します

これにより、どの周波数帯がどのように強調や減衰といった変化をしているのかがわかります。
音質や音の再現性を評価する際に重要になる項目というわけです。

波形の歪み

綺麗な音と雑音が混ざった汚い音ってありますよね。
汚い音というのは、雑音・ノイズが混じったものです。
そのノイズによって本来のオーディオ信号波形が歪んでしまっていることがあるので、不要な成分であるノイズを特定するために波形の歪みを観測することが可能です。

S/N比

S/N比とは、主信号成分[Signal]と雑音[Noise]の比率のことです
正式名称は信号対雑音比で、S/NとかSN比と表記されていることもあります。

S/Nは、必要な信号に対して不要な雑音がどの程度のレベルで存在するのかを表しています。

音響分野の場合、全体の音[Signal]に対して周囲雑音[Noise]がどの程度あるかを表していて、この値が大きいとノイズの影響を受けづらいクリアな音なのだとわかります。
オーディオアナライザでは、このS/N比を測定可能です。

SN比はデシベル表示[dB]で、10log10(Signal/Noise)で求めます。
Noise/Signalではないので間違えないように注意しましょう。

クロストーク

クロストークとは、複数の電気通信信号が混在してしまい、正確な情報を受信できなくなる現象のことです。
音響分野では、オーディオ機器において隣接するチャンネルや信号線に不要な信号が漏れ込む現象を指しています。

例えば、ステレオ音声の場合、左チャンネルの音が右チャンネルに混ざるなどの影響が出ます。
このクロストークもオーディオアナライザで測定可能です。

詳しくは別途以下にまとめてあります。

【基礎から学ぶ設計思想】 クロストークとは?漏話とは? ~隣接する線路間におけるノイズの伝播と使用周波数帯の影響~
回路設計を行う上で考慮すべき事柄は、使用環境・製品寿命・性能のバラつき・熱の影響・ノイズの影響など多岐に渡ります。突き詰めていくと際限が無いので、本記事では設計時に意識しておくべきだと感じた内容についてわかりやすくまとめています。考え方自体は回路設計以外にも通じるものがあるので、知っていて損をする内容ではないかと思いますよ?今回はクロストーク・漏話についてです。

4.オーディオアナライザのトップメーカについて

日本車でトヨタ・ホンダなどのメーカが人気なように、オーディオアナライザにもトップシェアを誇るメーカが存在します。
それは、Audio Precision/オーディオプレシジョンです。

私の所属している会社も、Audio PrecisionのAPx515とかが採用されています。
私は企業の回し者ではないのでおすすめの装置の紹介とかはしませんが、オーディオアナライザには有名なメーカがあるという点は覚えておくと良いかもしれません。

以上、「オーディオアナライザ」についての説明でした。