【基礎から学ぶ音響技術】 MIDIとは? ~演奏情報を効率よく伝達するための国際規格~

音響
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音楽スタジオなどをイメージすると、なんか小さな画面やボタンがいっぱい付いた機器が置いてある気がしませんか?
あれらの機器で音楽を作ったり諸々の調整をしているわけですが、どんな機器があるのか/何をしているのかが気になりませんか?
本記事は、そんな好奇心を満たすためにまとめたものとなっています。

今回は、「MIDI」についての説明です

1.初めに

IoT、モノのインターネットって知っていますか?
例えば、防犯カメラで映している録画データは、遠く離れた場所でもリアルタイムで確認できますよね?
これは、録画データを防犯カメラというモノからインターネット経由で別のコンピュータに送っているからです。
これがモノのインターネットです。

この手法ですが、音楽の業界でも使われています。
演奏した情報をデータに変換して、伝達できるのです。

今回は、そんな決まり事であるMIDIについて解説していきます。

2.MIDIとは?

MIDIとは、[Musical Instruments Digital Interface]の略称です。
読み方はミディです。

MIDIとは、簡単に言えば、演奏情報を効率よく伝達するための国際規格(決まり事)のことです。
いわゆる通信プロトコルの一種です。

日本の電子楽器メーカが海外のメーカと共に協議・検討して生まれた世界共通の規格です。
音の高さ・大きさ・長さ(例:鍵盤のどこを・どのくらいの力で・どれくらいの長さで弾いたか)を数値化・記号化することで、情報を取り扱いやすくしています。
MIDIに則ることで、『“ド”を3秒押したら次は“レ”を1秒押して』みたいにどのように演奏すれば良いのか手順がまとめられるとイメージしてください。
※ 実際はもっと詳細です。

MIDIに対応しているシンセサイザー(※)を演奏すると、MIDI OUT端子から演奏情報が出力されます。
このデータを使うと以下のようなことが可能です。

  • コンピュータに接続してシンセサイザーの入力データを保存することで、演奏を後から再現したり編集することができる。
  • 別のシンセサイザーに繋ぐことで同期させて、片方のシンセサイザーを演奏するともう片方のシンセサイザーも同じように音が鳴るようにできる。

他にも、MIDIはカラオケの採点に利用されてたりもします。
DAMの精密採点とかJOYSOUNDの分析採点を入れると、音程を示しているバーが表示されます。
あの音程バーがMIDIデータであり、マイクから入力された音声をMIDIデータで表して比較した結果が画面に表示されていくという仕組みです

このように、MIDIとは音楽の根底にある決まり事なのです。

※シンセサイザーとは?

シンセサイザーとは、英語で[synthesize]と書きます。
意味は[合成する・統合する]です。

シンセサイザーとは、電気的な手法によって音を合成する楽器のことです。

普通の弦楽器は弦を弾いて音を出しますので、音を物理的に出しています。
シンセサイザーの場合、この音の出し方自体が電気に依存するようになります。
このように、物理的に音を出す楽器のことを電気楽器電気的に音を出す楽器を電子楽器と呼びます。
つまり、シンセサイザーと言ったら電子楽器なわけですね。

音とは振動のことです。
楽器に関わらずモノを叩いたら音が鳴るのは、叩いたときの振動が空気を伝わって耳が感知しているからです。
電子楽器は、電気的にこの振動を発生させているわけです。
振動させるのに何を使用しているのかはわかりませんけどね。

ちなみに、水晶振動子のような一定の周波数(振動)を生み出すデバイスは普通に存在します。

3.オーディオファイルとMIDIファイル

通常、演奏データはオーディオファイルMIDIファイルのどちらかで表されます。

オーディオファイルは、mp3などの実際に演奏したものを録音したアナログデータ(連続したデータ)です。
その為、後から編集するのは難しいです。

複数人で材料を持ち寄ってカレーを作った後に『もっとじゃがいもを減らして』とか『水を50ml減らして』とか言われても困るでしょう?
誰が何を持ってきてどんな処理したのかなんてメモしてないですから。
それと同じで、材料(ボーカル・キーボード・ギター・ドラムなどの各演奏データ)を既に混ぜ混ぜして一つの料理(音楽)にしてしまったら、調整が難しいのです。

それに対してMIDIファイルは、演奏のデータが事細かにデジタルデータとして記録されている為、後から部分的にテンポや音程を調整・編集することが容易です

先程のようにカレーで例えると、『じゃがいもは何個使用して、この大きさに誰が切った』とか『水は800ml使った』とか詳細なデータが取ってあり、すぐに再現できるようなレシピが出来上がっていると言ったところでしょうか?
なので、色々と調整したカレーをすぐに作ることが可能なわけです。

また、オーディオファイルとの大きな違いがもう一点あります。
それは、MIDIファイルはカレーのレシピであってカレーでは無いという点です。
オーディオファイルはそのデータ自体が聴ける音楽なのですが、MIDIファイルは楽譜みたいなものであって音楽ではないんですよ
別途音源が必要になるのです。

変な例えでしたが、MIDIファイルの有用性は理解してもらえたのではないでしょうか?

4.MIDI端子とUSB端子

MIDIは2026年時点でも普通に使われているのですが、MIDI端子となると話は別だったりします。
その話に入る前に、まずはMIDI端子について説明していきますね。

MIDIに対応している電子楽器には、基本的にMIDI端子という接続ポートが存在します。
端子は5ピンのDINケーブルで、MIDIケーブルと呼ばれる専用ケーブルが必要です。

参考:Amazon

MIDI端子には、IN端子・OUT端子・THRU端子の三種類の端子が存在します。

IN端子

他のシンセサイザーのOUT端子から出力される演奏情報の受け口。

OUT端子

他のシンセサイザーのIN端子に入力する演奏情報の送り口。

THRU端子

IN端子に入ってきた信号をスルー[Through]する端子。
IN端子の信号を複製して別の機器に接続することができる。
あまり使い過ぎるとレイテンシ(遅延)やエラーの要因になる。
THRU端子が無い場合は、MIDIスプリッターと言うHUBのようなアイテムが存在するので、それで代用は可能。

例えば、シンセサイザーAとシンセサイザーBとシンセサイザーCがあった時、シンセサイザーAのOUT端子とシンセサイザーBのIN端子をMIDIケーブルで接続すると、シンセサイザーAを弾いたらシンセサイザーBも同じように音が鳴るようになります。

シンセサイザーAとシンセサイザーBのIN端子とOUT端子を相互に接続すると、シンセサイザーAを弾いたらシンセサイザーBも同じように音が鳴り、シンセサイザーBを弾いたらシンセサイザーAも同じように音が鳴るようになります。

シンセサイザーAのOUT端子とシンセサイザーBのIN端子、シンセサイザーBのTHRU端子とシンセサイザーCのIN端子を接続すると、シンセサイザーAを弾いたらシンセサイザーBとシンセサイザーCも同じように音が鳴るようになります。

THRU端子の繋ぎ方だけ注意が必要ですね。

そんなMIDI端子なのですが、最近のシンセサイザーには搭載されていないこともあります
代わりにUSB端子が搭載されていることが多いです。
その為、MIDIは時代遅れ…と説明しているWebページが存在しますが、それは嘘のようです。
ただ単に、MIDI端子で情報通信を行っていた機構がUSB端子で情報通信を行うようになっただけです。
つまり、USB端子を使ってMIDIデータのやり取りをしているだけです。

その為、MIDIは現役ですけど、専用ケーブルが必要となるMIDI端子はあまり使われないようになってきたと言えます。
一般普及しているUSB端子・USBケーブルの方が使いやすいから順当ですけどね。

ちなみに、USB端子でもなく、Bluetoothを使ってワイヤレスでMIDIデータを送信するようなシンセサイザーも登場しているので、技術の進歩でもっと便利になっていくのでしょうね。

5.MIDIチャンネルについて

MIDIファイルは、演奏のデータが事細かにデジタルデータとして記録されていると述べました。
この各々のMIDIデータは、MIDIチャンネルに分かれて送られてきます。
AチャンネルではAの楽器の演奏データ、BチャンネルではBの楽器の演奏データという具合に分かれているというだけです。

なので、MIDIデータを受け取る側は自分に必要なMIDIデータを保有しているチャンネルを設定する必要があります
そうしないと別の演奏データを読み取ってしまいますからね。

MIDIチャンネルのチャンネル数は16チャンネルが主流になっているようなのですが、なんで16なのかは不明です。
多過ぎず少な過ぎずの良い塩梅…なんですかね?

6.MIDIキーボードとは?

MIDIの概要は大体わかってもらえたかと思います。
実際に音楽を制作する場合、MIDIの情報をDAWなどの音楽制作ソフトに打ち込み(入力)するためのコントローラが必要になります。
このコントローラのことをMIDIキーボードと呼びます。

簡単に言えば、MIDIキーボードを使うと鍵盤に沿って音声データが入力可能なので、実際に楽器を使用する感覚で演奏データを入力できるようになります
MIDIキーボードを出鱈目に弾いたら、その出鱈目を完全再現できるということです。

音楽制作ソフトでは、マウスを使用して打ち込みが可能です。
それで充分なように感じるかもしれませんが、マウスを使用した打ち込みだと一切ズレの無いテンポ・高さ・強さ・長さで音が再生される為、人間味が無い演奏になります。

音楽って一般的に生演奏が好まれますよね?
これは、その場の空気感から演奏者それぞれの“味”なんかも楽しむ一つの要素だからです。
その為、多少人間味のある“ズレた演奏”の方が好まれる場合があります。
それを再現するためにはMIDIキーボードがうってつけなわけです。

まあ、逆に機械っぽさを利用する手法もありそうですけどね。

ちなみに、MIDIキーボードはデータを入力するための機材なので、音源は搭載されていません。
あくまで押した通りにMIDIデータを入力できるコントローラなのです。

7.MIDIの後継的な規格(OSC)

MIDIには、OSCという後継的な規格が存在します

OSCとは、MIDI[Musical Instrument Digital Interface]の後継的な規格として意識されて制定された通信プロトコルのことです。
[Open Sound Control]の略称です。

OSCでは、コンピュータやシンセサイザーの間でネットワークを繋ぎ、リアルタイムにコミュニケーションを図ることができます。

通信の仕組みとしては、インターネットに用いられているTCP/IPUDPなどの通信方式が流用されています。
要は、MIDIでやっていた情報のやり取りが、ネットワーク化・リアルタイム通信化したことで高速になるのです

元々はMIDIの代わりになるような次世代の通信プロトコルとして制定されたので、電子楽器の連携を目的としていました。
ですが、その拡張性・正確さ・柔軟性などから、音楽以外に映像や様々なアプリケーションなどにも活用されるようになっています。

以上、「MIDI」についての説明でした。