四則演算の有効数字の考え方

数学
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本ブログには数学系の知識も備忘録的にまとめてあります。
自分なりにカテゴリ分けをして共通分野のWebページは連番になるようにまとめているのですが、どこにも分類されないものも当然存在します。
本記事は、未分類ですが内容としては知っておきたいと思ったことについてわかりやすくまとめたものとなっています。

今回は、「四則演算の有効数字の考え方」についての説明です。

1.初めに

四則演算とは、足し算・引き算・掛け算・割り算のことです
これらの計算に小数が出てくることは珍しくありません。

では、仮に“0.1+0.21”という計算を求められた場合、あなたは何と答えますか?
おそらく“0.31”と答える人が多いと思われます。
ですが、実はこれ正しくないんです。
“0.3”とするのが有効数字という観点からすると正しいです。

文系に進むならあまり深く考える必要はないのかもしれませんが、理系の分野に進むと有効数字は基本として押さえておく必要があります。

ということで、今回は有効数字とは何なのか、有効数字はどうやって決めれば良いのかを解説していこうと思います。

2.有効数字とは?

そもそも有効数字とは何なのかという説明をしていきます。

まず、“0.1”と“0.10”の違いがわかるでしょうか?

“0.1”の場合、小数第二位以下の数字が不明です。
四捨五入してあるのか、はたまた不明だからそこまで書かれていないのか…この表示から小数第二位の値を予測することはできないのです。
“0.11”かもしれないし、“0.12”かもしれないのです。

それに対して、“0.10”の場合、小数第二位の値が“0”だとはっきりしています。
後者の方が数値がより具体的になっているんですね。

以上を踏まえて最初に例として挙げた“0.1+0.21”を見てください。“0.1”は小数第二位の値が不明ですよね?
その為、計算結果を“0.31”と書いて小数第二位まで表示しても、“0.1”が“0.11”だったとしたら答えは“0.32”になるし、“0.1”が“0.12”だったとしたら答えは“0.33”になってしまうのです
つまり、計算結果の小数第二位は変化する可能性があるので、書くだけ無駄な無効な数字なんです。

これは、計算結果として表示して意味のある…有効な数字は小数第一位だと言えます。
だから有効数字と呼んでいるのです。

3.有効桁数の数え方

計算した上での有効数字の考え方に入る前に、数字ごとの有効桁数の数え方を説明していきます。

①100
②0.12
③12.34

①の場合、有効桁数は3桁になります。
小数点が無い場合、桁数をそのまま数えれば良いわけです。

②の場合、有効桁数は2桁になります。
一の位が“0”の場合、小数点以下の桁数だけ数えましょう。

③の場合、有効桁数は4桁になります。
一の位が“0”以外の場合、全桁数を数えましょう。

この有効桁数の見方は乗除算で重要になってきますので、しっかりと押さえておきましょう。

4.四則演算/加減算編

まずは、加減算する場合の有効数字の考え方を説明していきます。

有効数字の説明で大体解説は終えてしまっているのですが、改めて詳しく述べていきますね。

ポイントは、どの桁からが無駄なのかを考えることです。

例えば、財布の中に10,000円くらい入っていたとします。
そこに一円玉を入れました。
この場合、財布の中身は『10,000円くらい』だと言いますよね?
『10,001円くらい』と言う人はいないでしょう。

では、財布の中に9,999円入っていて、そこに一円玉を入れたとします。
この場合、財布の中身は『10,000円だ』と言いませんか?

これが加減算の有効数字のイメージです。

前者の場合は財布の中身が大体10,000円なので、一の位/十の位/数の位/千の位がどう上下しているのか判断が付かないのです。
なので、一円玉が増えようが減ろうがどう影響するかわからないんですね。

それに対して後者の場合は財布の中身が9,999円だと一の位まで詳しくわかっているので、一円玉が増えるとちょうど10,000円になることがわかります。

まとめると、加減算の有効数字は、各数値の有効な桁の最小値を比較して、その中で最も大きい桁に合わせる必要があります。
単純なはずなのに、言葉にすると妙にわかりづらく聞こえますよね。

例を見ていきましょう。

①111+10.0
②0.1+0.126
③0.10+0.126

①の場合、“111”の有効な桁の最小値は一の位で、“10.0”の有効な桁の最小値は小数第一位です。
一の位と小数第一位では一の位の方が大きい桁なので、有効数字は一の位になります。
よって、“111+10.0≒121”が正解です。

②の場合、“0.1”の有効な桁の最小値は小数第一位で、“0.126”の有効な桁の最小値は小数第三位です。
小数第一位と小数第三位では小数第一位の方が大きい桁なので、有効数字は小数第一位となります。
よって、“0.1+0.126≒0.2”が正解です。

③の場合、“0.10”の有効な桁の最小値は小数第二位で、“0.126”の有効な桁の最小値は小数第三位です。
小数第二位と小数第三位では小数第二位の方が大きい桁なので、有効数字は小数第二位となります。
よって、“0.10+0.126≒0.23”が正解です。
有効数字は小数第二位なので、消去すべき小数第三位は四捨五入しましょう。

5.四則演算/乗除算編

次は、乗除算する場合の有効数字の考え方を説明していきます。

加減算のように例え話ができれば理解しやすいのですが、乗除算はちょっと例えられそうもないので、計算しながら説明していきます。
ここでは、“0.20×1.11”という計算をしてみます。

では、有効数字について考えてみますね。

まず、“0.20”という数値は四捨五入の観点から“0.195≦0.20<0.205”“1.11”という数値は“1.105≦1.11<1.115”の範囲に収まりますよね?
ということは、“0.195×1.105(※最小値同士の掛け算)≦0.2×1.11<0.205×1.115(※最大値同士の掛け算)になります。
結果、“0.215475≦0.2×1.11<0.228575”となります。
つまり、0.215475~0.228575の範囲で結果がぶれるんです。

では、肝心の有効数字について考えてみます。

有効数字を度外視すると、“0.222”が答えになります。

仮に有効数字を3桁で計算結果を“0.222”とした場合、0.2215≦0.222(0.2×1.11)<0.2225が四捨五入前の状態ということになります。
ですが、この範囲だと“0.20×1.11”が実は“0.195×1.105”だったりした場合、0.2215≦0.215475<0.2225のように不等式が成り立たなくなってしまいます。
つまり、有効数字を3桁にするのは間違いなのです。

ではどうすれば良いのかと言うと、最小値~最大値をカバーする範囲である0.215475~0.228575を満たすような有効数字を設定する必要があります。

有効数字を2桁にして計算結果を“0.22”とした場合、0.215≦0.22(0.2×1.11)<0.225が四捨五入前の状態ということになります。
これだと、0.215475~0.228575の範囲はまだ満たしていません。

有効数字を1桁にして計算結果を“0.2”とした場合、0.15≦0.2<0.25が四捨五入前の状態ということになります。
これなら0.215475~0.228575の範囲を満たしていますよね?
ということは、0.2×1.11の計算結果は0.15以上0.25より下に収まるわけですので、有効数字が2桁になります。

掛け算をする前の数値である“0.20”は有効数字が2桁、“1.11”は有効数字が3桁です。
ということは、掛け算をする前の数値の内、有効数字の桁数が小さいものに合わせられているわけです。
ここまで説明した関係は、他の乗除算でも適用可能です。

まとめると、乗除算の有効数字は、各数値の有効数字を比較して、有効数字の最も小さい数値に合わせる必要があります。

6.四則演算/加減算と乗除算が混ざっている場合

最後に、加減算と乗除算が混ざっている場合について触れておきます。
加減算と乗除算が混ざっている場合は、以下の手順で計算を行います。

乗除算を行う→乗除算の有効数字を考慮する→加減算を行う。加減算の有効数字を考慮する

例)100.2+200×3.2=100.2+64≒164

以上、「四則演算の有効数字の考え方」についての説明でした。