今回は、「POR(パワーオンリセット)とPDR(パワーダウンリセット)の必要性」についての説明です。
1.初めに
電子回路では、過電流や過電圧を監視するICがあったり、タイマで設定した時間が経過してから実行に移すような手順を踏んでいることがあります。
これは「○○を検出したら××をする」といった機能を組み込む必要があるからです。
回路は予め仕込んだ動きしかできませんからね。
そんな機能の一種として、POR・PDRという回路を組んでいることがあります。
よくあることですが、初見だと何の略称なのかわからないですよね。
一度覚えてしまえば連想しやすい用語ではあるのですが…。
ということで、今回はPORとPDRの用語の意味について解説していきます。
2.POR(パワーオンリセット)とは?
PORとは[Power On Reset]の略称です。
名称からわかる通り、電源ON時のリセット動作に関わる用語です。
昨今の電子機器の多くにはマイコン(コンピュータを制御するための機能を一通り備えた制御IC)が搭載されています。
電源投入時のマイコンは内部論理が定まっておらず、不安定な状態になっています。
なので、一度リセットしてマイコンの状態を初期化する必要があります。
寝起きで頭が働かないので顔を洗ってスッキリさせるようなものです。
ですが、リセットするには一つ気にすべきことがあります。
それは、リセットするための電源がしっかり供給されているかという点です。
通常、電源を入れたら出力が安定するまでにタイムラグがありますよね?
24V電源があったとしたら、デジタルの世界のように突然0Vから24Vになるわけではありません。
数μs~数msなど必要な時間に差はあるでしょうが、1Vや2Vなどの0Vと24Vの間の電圧値を経てアナログ的に変化をし、最終的に24Vに落ち着きます。
この24Vを主電源としてDC/DCコンバータで3.3Vを作り出し、マイコン用の電源としていたとします。
では、主電源が24Vに達しておらずに未だ10Vだったとして、DC/DCコンバータで3.3Vを作り出せると思いますか?
当然ながら無理です。
どんなICにも動作保証電圧が存在しますので、ある一定以上の電圧が印加されていなければDC/DCコンバータは満足に動作しません。
なので、このタイミングだとマイコンも満足に動作せず、うまくリセットできないんです。
ついでに言うと、中途半端に動くことで誤動作してしまう可能性もあります。
そこで、電源が安定した出力をできるようになるまでの時間も加味してリセットに必要な時間を算出し、その間はリセット動作を続けるように制御する必要があります。
こうすることで確実にリセットを行い、初期化を行っているんです。
このように、電源をONしてから確実にリセット動作を完遂させるための一連の動作や回路のことをPOR(パワーオンリセット)と呼びます。
マイコンのリセット信号の入力先は、高確率で“/RESET”と表示されています。
ここにLow信号を入力している間はリセット動作が行われ、High信号を入力するとリセット状態が解除されます。
3.PDR(パワーダウンリセット)とは?
PDRとは[Power Down Reset]の略称です。
名称からわかる通り、電源電圧が下がった時のリセット動作に関わる用語です。
PORの解説をした後なので説明不要な気もしますが、一応ちゃんと解説していきますね。
24Vを供給すると動作する製品があったとします。
この製品を動かすためには24V電源を繋ぐ必要があるわけですが、実際のところは21Vくらいでも動いたりします。
ですが、ある一定ラインを境に全く動作しなくなるポイントがあります。
では、そのライン前後の微妙な電圧を印加してしまったらどうなるのかというと、動作が不安定になり、誤動作や故障の要因になります。
なので、ある一定ラインより電源電圧が低下したら、強制的にシャットダウンさせる(リセットをかける)ような回路も場合によっては必要になります。
このように、電圧が低下した際に誤動作しないようにリセット動作を行うための一連の動作や回路のことはPDR(パワーダウンリセット)と呼びます。
PDRは、特にマイコンなんかには標準機能として搭載されていることが多いです。
マイコンが誤動作したら大変ですからね。
以上、「POR(パワーオンリセット)とPDR(パワーダウンリセット)の必要性」についての説明でした。




