【基礎から学ぶ設計思想】 熱とは何なのか?熱移動のメカニズム(熱伝導・熱対流・熱放射)と併せて解説!

電気電子
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回路設計を行う上で考慮すべき事柄は、使用環境・製品寿命・性能のバラつき・熱の影響・ノイズの影響など多岐に渡ります。
突き詰めていくと際限が無いので、本記事では設計時に意識しておくべきだと感じた内容についてわかりやすくまとめています。
考え方自体は回路設計以外にも通じるものがあるので、知っていて損をする内容ではないかと思いますよ?

今回は、「熱とは何なのかと熱移動のメカニズム(熱伝導・熱対流・熱放射)」についての説明です。

1.初めに

電気回路と熱は切っても切れない関係です。
何故なら、抵抗に電流が流れると、程度は違えど必ず熱が発生するからです。

プリント基板にて、実装した部品に電気が流れればもちろん発熱しますし、部品同士を接続する銅箔パターンに電気信号が伝わるだけでも微量ながら熱は発生してしまいます。
そんなプリント基板を使用しているPC・スマートフォンなどの身近な電子機器も、使っていると熱が発生するのは当然と言えます。

過度の発熱は部品の故障を招いたり、寿命を縮めてしまいます。
最悪、発火・発煙・破壊などの原因となります。
そんな不具合が私たちの身の周りの機器で起こってしまったら、消費者が火傷や怪我を負う可能性もあるわけです。
だからこそ、電気製品は熱に対する対策が必要不可欠になります。

今回は、そんな熱についての知識の第一歩として、熱とは何なのかと、熱移動のメカニズムについてまとめてみました。

2.そもそも“熱”とは何なのか?

そもそもの話として、“熱”とは何なのか言葉で説明できますか?

“熱”という漢字は“熱い”に結びつく為、温度が高くなっている物体が発するナニカと想像するかもしれません。
風邪を引いて体温が上がれば『熱が出た』と言いますしね。
ですが、平熱であったとしても人肌は温かいので、“熱”を持っていることには変わりないんですよね。
だから、このような認識は間違っています。

答えは、高温部から低温部へと移動する特性を持ったエネルギーのことです。
2つの物体があり、その物体間で熱エネルギーが移動することで温度が変化するのです。

例えば、カップラーメンを作って放置しておくと、お湯は冷めて水になってしまいますよね?
これは、お湯及びお湯に熱された外装部分が空気に触れているので、より温度の低い空気に熱エネルギーが移動することで起こる現象というわけです。

3.熱移動のメカニズムと種類

熱は熱いところから冷たいところに伝わっていくエネルギーだと説明しました。
基本的なところはこの認識だけで充分なのですが、厳密に熱の移動という現象のメカニズムを種類分けすると、熱伝導・熱対流・熱放射の3つに分類されます
それぞれ解説していきますね。

熱伝導

熱が物質同士を経由して伝わる現象のことです。
熱い物体と冷たい物体を接触させた際に、熱エネルギーが物体間を移動するという一般的な現象ですね。
素手で氷を掴んだ際に、手の温度が氷に移動して、熱が移動した氷は温められて溶けていく…この現象が熱伝導です。

あらゆるモノは原子で構成されていて、物質としての性質を持っている最小単位の粒子のことは分子と呼びます。
この分子間で振動が伝わったり電子が移動することにより、物質間を熱が伝達していくというのが実際のメカニズムです。

ちなみに、熱伝導率(物質の熱の伝わりやすさのこと)は固体>液体>気体という関係になっているので、固体がより熱を伝えやすくなっています。
勿論、その固体の種類によって熱伝導率は異なりますけどね。

熱対流

温度差によって発生する流体(液体や気体のこと)の移動によって熱が運ばれる現象のことです。

風呂を沸かして放置しておくと、上の方は温くても、下の方は妙に冷たくなってることがありませんか?
また、お湯を沸かしているヤカンに手をかざすと、蒸気が触れるので熱いですよね?

これらの現象からわかる通り、流体は熱を持っていると上昇する性質を持っています。
厳密には、流体の温度が上昇すると膨張して密度が小さくなって軽くなる為、温度が上がった流体ほど上昇する仕組みになっているのです。
逆に言うと、温度が下がった流体は重くなる為、下降してきます。
その結果、熱によって流体が上下移動を繰り返すことになり、流体の流れが発生するわけです。

熱放射

熱エネルギーが電磁波という形で移動する現象のことです。
熱輻射と呼ばれていることもあります。

電磁波による熱の伝達なので、熱伝導と熱対流のように熱が物質を伝わって移動するわけではなく、真空中のような物質が全く存在しない空間だとしても熱が伝わるようになっています。
最たる例は太陽光です。
宇宙という真空空間が間にあるのにも関わらず、地球まで熱が届いているでしょう?
電子レンジや電気ストーブなんかも熱放射を利用しています。

4.熱移動のまとめ

熱が移動する大体の原理は理解できたかと思いますので、最後にそれぞれのイメージをまとめた図を載せておきます。

プリント基板に実装されている発熱した部品の熱の流れは以下の通りです。

図1

部品の熱は、接触しているプリント基板に向けて伝わっていきます。
接触した物質間での熱の移動なので、この部分は熱伝導に当たります。

部品と熱伝導により温度が上がったプリント基板は冷やされた空気(流体)に触れているので、空気は熱を奪って上昇します。
そして、上昇した空気に変わり、熱されていない空気が下降してきます。
ここで熱対流が発生するわけです。

後は、電磁波も発生しているので、熱放射も起こっています。
ただ、熱放射は熱対流に比べて熱移動をしている割合は低めです。
基本は熱対流で部品及びプリント基板の温度が移動しています。

こんな感じに熱が移動しているわけです。

以上、「熱とは何なのかと熱移動のメカニズム(熱伝導・熱対流・熱放射)」についての説明でした。