【基礎から学ぶ音響技術】 サンプリングとは何なのか?サンプリングレートとサンプルレートコンバータ(SRC)の解説

音響
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音楽スタジオなどをイメージすると、なんか小さな画面やボタンがいっぱい付いた機器が置いてある気がしませんか?
あれらの機器で音楽を作ったり諸々の調整をしているわけですが、どんな機器があるのか/何をしているのかが気になりませんか?
本記事は、そんな好奇心を満たすためにまとめたものとなっています。

今回は、「サンプリングとSRC」についての説明です

1.初めに

音響機器に関わる業務についていると、頻繁にサンプリングレート・Fs・ジッタなどの用語を耳にすることになります。
音をデータとして取り込む際に重要になってくる考えなのですが、音響業界では知ってて当たり前のような扱いをされる為、新規で音響業界に参入するとこの辺りの用語の説明を全くしてくれません。
私も最初は疑問符だらけでしたが、みんな知ってる前提で話すので、聞くことができる空気じゃないんですよ…。

ということで、今回はサンプリングに関わる用語をまとめて解説していきます。
ついでにジッタについても説明します。

2.サンプリングとは?標本化とは?Fsとは?

サンプリングとは、英語で[sampling]と書きます。
広い意味では[標本化]を指す用語です。

モノを観察・調査して、データを取れるように保存処置したものを[標本]と呼びます。
昆虫の標本とか見たことあればイメージはできると思うのですが…。

音楽の世界では音をデータとして取り込むことをサンプリングと言います。

では、どのように取り込むかについて説明していきます。

音はなので、アナログデータです。
アナログデータは値が流動的に変化するので、データとして管理するのに向いていません。
その時々で微小に値が変化しているので、細かすぎて再現性がないからです。
その為、アナログデータを保存する場合、デジタル信号に変換するのが一般的です。

アナログとデジタルの違いがよくわからないという方は、以下の記事も参考にしてみてください。

【基礎から学ぶ論理回路】 アナログとデジタルの違い ~論理回路を学ぶ前提知識~
電子回路を構成する部品の中には、信号を反転させたり、複数の入力信号の状態の組み合わせによって出力信号を変えるようなものが存在します。きちんと筋道を立てて考える思考のことを“論理的”と言いますので、このような回路のことは論理回路と呼びます。本記事では、そんな論理回路の種類や実際の構成について、わかりやすく解説していきます。今回はアナログとデジタルの違いについてです。

アナログデータからデジタルデータへの変換は、アナログデータを時間単位で細かくぶつ切りにして平均値を求めた結果をデジタルデータとして表すことで実現します。

図1

このぶつ切りがサンプリングです
音の場合は低周波数~高周波数(低音~高音)が混ざり合っているので平均化はしませんけどね。

より正確にデータを取り込むためには、ぶつ切りにする間隔(サンプリング速度)を狭くする必要があります。
このサンプリングの程度は、サンプリングレートという形で表現されます。

サンプリングする時間間隔はサンプリング周期サンプリング間隔と呼ばれ、サンプリング周期の逆数はサンプリング周波数と呼ばれます。
サンプリング周波数に関してはFsと省略されていることが多いです。
Fsという表記を見かけたら、『1秒間に何回データをサンプリングできるのかを表してるんだな』と思ってください。

ちなみに、既存の楽曲から一部を引用して新たな楽曲を製作する手法のこともサンプリングと呼ぶそうです。

3.サンプリングレートの周波数について

音楽の業界では44.1kHzのサンプリングレート(オーディオサンプルレートとも呼ばれる)になっているのが一般的です。

サンプリングレートに関しては、実際にMP3やMP4を右クリックしてプロパティを開いてみると確認することができます。

図2

オーディオサンプルレートが44.1kHzになっているでしょう?
これがサンプリングレートです。

サンプリングレートが44.1kHzの場合、1秒間に44,100回サンプリングを行うということになります。
つまり、サンプリングレートが高いほどより細かく音が分割されてデータとして取り込まれるので、音が滑らかに聞こえ、音質が良くなったと感じるようになります

ただし、ここまで細かくなると人間の耳ではあまり差を感じられないレベルになるので、音質が良くなったと“感じる”に過ぎません。
本当に耳が良い人はその差がわかると言われていますが、わかる人にしかわからないならサンプリングレート上げなくてもいいじゃんってなるんですよね。
細かくサンプリングするほどデータ量は増えるので、個人利用する場合はどこまで自分で許容できるのかという視点を持つと良いです。
私は保有している音楽ファイルの数が異常な部類なので、あまり高いサンプリングレートは求めてなかったりします。

図3 新規購入したオーディオプレーヤーに音楽を移している図

ちなみに、音質を向上させるうえで大切になるのは、サンプリングレートの他にビットレートがあります。

サンプリングレートは「どれだけ細かく音を取り込むか」、ビットレートは「どれだけ細かく音を表現するか」を指しています。
時間軸で音を分割するのがサンプリングレート、その分割された音を低周波数~高周波数(低音~高音)に分けるのがビットレートです。
どちらかが悪いとその悪い方に引っ張られるので、音質の低下に結びつきます。

4.SRCとは?ASRCとは?サンプルレートコンバータとは?

SRCとは、[Sample Rate Converter(サンプルレートコンバータ)]のことです。
[Sampling Rate Converter(サンプリングレートコンバータ)]になっていることもありますが、どちらが正しいのかはよくわかっていません。

SRCとは、デジタルオーディオ機器のサンプリング周波数(単位時間当たりのサンプリング数・音をデータとして取り込む回数のこと)を変更する装置のことです。
ここまで解説してきたサンプリング周波数を調整するための部品がSRCというわけです。

先程述べたように、MP3データなどのサンプリング周波数は44.1kHzになっていることが一般的で、この場合は1秒間に44,100回サンプリングを行っていることになります。
なので、10秒のMP3データがあったとしたら、元の音楽データは441,000分割されてデジタルデータとして取り込まれることになります。
こうして得られたデジタルデータを、48kHz(ビデオ用オーディオの標準値)や96kHz(ハイレゾ)などのサンプリング周波数に変換できるのがSRCです。
48kHzに変換した場合、441,000分割して取り込んだデジタルデータが480,000分割に変換されるわけです。

5.SRCを活用する意味とジッタの関係

SRCはサンプリング周波数を変換する装置・部品なわけですが、そもそも何故サンプリング周波数を変更するのかと疑問に思いませんでしたか?
だって、元々441,000分割されていたデータを480,000分割に変換し直したとして、元のデータがより細かく分割されるというだけの話で、音質自体は向上しないでしょう?

では、何故サンプリング周波数を変更したいのかと言うと、ジッタを低減できるからです。

ジッタとは、信号を伝送する際に生じる時間軸方向のズレや揺らぎ、またその揺らぎによって生じる音声や映像の乱れのことです。
要するに、信号伝達の際に本来より信号が速く到着したり遅く到着したりすることがあるので、より細かくサンプリングすることでそのズレを無くそうというわけです。

他にも、製品仕様としては48kHz(ビデオ用オーディオの標準値)と96kHz(ハイレゾ)に対応させたいけど、製品内部基板では48kHzにしか対応していないなんてことがあるので、そんな時は基板上にSRCを配置して、96kHzが入ってきたら都度48kHzに変換していたりします。

ちなみに、変換前後の周波数は整数倍ではないので非同期変換となるため、ASRC[Asynchronous(非同期) SRC]とも呼ばれています。

以上、「サンプリングとSRC」についての説明でした。