今回は、「挿入実装用パッケージの種類」についての説明です。
1.実装タイプによるパッケージの違い
過去の記事で説明していますが、プリント基板にはんだ付けする部品の実装タイプには、DIPタイプ(リードタイプ)とSMTタイプ(表面実装タイプ)が存在します。
ただ、DIPタイプやSMTタイプと言っても、パッケージの種類は多々あります。
今回は、DIPタイプに当たる挿入実装用のパッケージの種類を紹介していこうと思います。
今回取り上げるのは、SIP・ZIP・DIP・PGAの4種類です。
※細かい種類分けをするともっと存在しますし、メーカによって特殊な呼び方をしている場合もあります。
2.SIPとは?
SIPとは、[Single In-line Package]の略称です。
接続ピンが1列に並んでいるパッケージのことです。

後述のDIPが異様に普及しているので、あまり見かけることは無いかと思われます。
見かけて抵抗アレイ(上図のような複数の抵抗をワンパッケージ化した製品)くらいじゃないですかね?
ちなみに、SiPだと[System in Package]の略称になり、複数のICを一つのパッケージに収めた製品を指します。
複数個のICを積層するタイプと、1~2個のICをパッケージングした部品自体を積層するタイプが存在します。
大文字小文字の違いで全く別物を指すようになるので注意しましょう。
どちらもパッケージを指している点もまた紛らわしいですね…。
3.ZIPとは?
ZIPとは、[Zigzag In-line Package]の略称です。
接続ピンが1側面方向にジグザグに並んでいるパッケージのことです。
接続ピンが1側面方向に集中しているのはSIPと同様ですが、接続ピンをジグザグにすることで接続ピン間のピッチを調整しています。
一辺が1mmの正方形があった場合、左下の点から左上の点までは1mmですが、左下の点から右上の点までは√2mm(約1.41mm)になるでしょう?
つまり、仮に接続ピンに1mmピッチが必要だったとしたら、斜めに配置することで1列に並べる時よりも距離を稼げるんです。
その結果、SIPと比較してパッケージの長辺を短くすることが可能になっています。
…それにしても、ジグザグって英単語でも[zigzag]になるんですね。
4.DIPとは?
DIPとは、[Dual In-line Package]の略称です。
接続ピンが2側面方向に出ているパッケージのことです。
挿入実装用の部品をまとめてDIPタイプと呼んでいることからわかる通り、挿入実装用部品の中では最も見かけることがあるパッケージです。
DIPタイプなので、接続ピンはパッケージに対して垂直方向に向いています。
DIPの中にも種類が結構ありますので、いくつか例を載せておきます。
本体がセラミック[Ceramic]でできたDIP。
本体がプラスチック[Plastic]でできたDIP。
他にも色々と種類がありますが、軒並みDIPの前に一文字付くだけなので、パッケージの種類で“○DIP”と記載されていたらそれは大体DIPの一種なのだと思いましょう。
5.PGAとは?
PGAとは、[Pin Grid Array]の略称です。
底面方向に短い接続ピンが格子状に配置されているパッケージのことです。

側面方向に接続ピンを出すパッケージと比べて多くの接続端子を配置できる点が利点です。
パッケージ自体は正方形になっていることがほとんどで、誤挿入防止のためにわざと接続ピンが対称な配置にならないようにしてあるタイプも存在します。
プリント基板に接続ピンをはんだ付けするためのスルーホールを用意して実装することもできますが、どちらかと言うとPGAを挿入する用のソケットを基板に実装しておく方式が取られていることが多いです。
この実装方式を取っていた場合、PGAは取り外しが可能になります。
PGAの中にも種類が結構ありますので、いくつか例を載せておきます。
本体がセラミック[Ceramic]でできたPGA。
本体がプラスチック[Plastic]でできたPGA。
接続ピンの配置が千鳥状[Staggered]になったPGA。
他にも色々と種類がありますが、軒並みPGAの前に一文字付くだけなので、パッケージの種類で“○PGA”と記載されていたらそれは大体PGAの一種なのだと思いましょう。
※FPGAは違います。
6.まとめ
今回説明した挿入実装用のパッケージは、まとめると以下のような分類になります。

以上、「挿入実装用パッケージの種類」についての説明でした。