今回は、「雷サージ」についての説明です。
1.初めに
私たちの生活は、電気が非常に身近な存在になっています。
照明も、家電製品も、携帯端末も、全部電気で動きますからね。
それらの電気は人工的に作り出したものですが、自然現象の中にも電気は存在しますよね?
そう、雷です。
雷が落ちると周辺で停電を引き起こしたりするのは周知の事実ですが、「そもそも何で雷が発生するのか?」、「何で停電するのか?」といった疑問を持ったことはありませんか?
ということで、今回は雷の発生メカニズムや雷サージと呼ばれる現象について解説していこう…と思ったのですが、雷の発生メカニズムの説明だけで結構な文字数になってしまったので、雷の発生メカニズムまでは前回の記事に分割してまとめました。
なので、今回は雷サージについて詳しく解説していこうと思います。
2.雷サージとは?
雷サージとは、雷によって瞬間的に発生する異常な過電流/過電圧のことです。
「かみなりサージ」もしくは「らいサージ」と読みます。
私は普通に「かみなりサージ」しか読みは無いと思ってました。
電気の流れはよく水流に例えられます。
電流が水流、電位が水位、電路が水路といった具合ですね。
本ブログでもその辺りの説明はまとめてあるので、気になる方は以下の記事を参照してください。

例え話ですが、ダムが決壊したとします。
すると、高所に溜められていた水は低所に勢いよく流れていきます。
この時、水の勢いはダムの規模が大きければ大きいほど激しいものとなるのは想像できるかと思います。
川に沿ったり路に沿ったりと様々な経路で水は流れていきますし、その途中に無防備に木や小屋が存在すれば容赦なくのみ込んでいきます。
この関係が、雷にも当て嵌まります。
雷という大きなエネルギーが地面に落ちたら(ダムが決壊したら)、当然ながら周りに影響が出るんですよ。
地面を経由して直接的に近場の建築物や電線に電流が流れ込むかもしれませんし、雷という大きな電流が流れることで発生する磁界の影響で間接的に通信線に過電流が発生するかもしれません。
その結果、電気機器・電子機器の絶縁破壊・誤動作・焼損・破損等の実害が発生します。
このような、直接的/間接的に関わらずに雷が短期的に周囲へ及ぼす被害が雷サージのイメージとなります。
だからこそ、避雷針のような雷による大電流を地中奥深くに誘導して逃がす機構なんかが作られているわけです。
意図的に電気の通り路を作っておくことで、雷が意図しない経路に流れていかないように調整しているのです。
ダムの繋がっている川を人里ではなく海に向けて引くようなものです。
ちなみに、雷サージは1kA/1kVを超えるような大きな電流/電圧になることもあります。
その辺の電気機器・電子機器がコンセントから供給されるAC100Vで動作していますし、瞬間的な耐圧は数百~数千Vが限度なので、それを考えるとそりゃあ壊れますよね。
3.雷サージの発生要因・経路の種類
雷サージは、その発生要因・発生経路により、大きく分けて3つのタイプが存在します。
直撃雷・誘導雷・逆流雷の3種類です。
名称から何となくどんなタイプなのか想像できるかもしれませんが、微妙に注意点もあるので一つずつ解説していきますね。
直撃雷
建築物の避雷針や通信用アンテナ、建築物付近の電柱に直接雷が落ちた場合は直撃雷に分類されます。
避雷針やアンテナは確かに直接雷が落ちていますが、電柱は建築物とは別なのでちょっと違和感があるかもしれません。
ただ、建築物に送電線や通信線を引いている電柱に雷が落ちた場合、その送電線・通信線経由で建築物の中に雷が入ってくることになります。
なので、直接建築物に雷が落ちるのと影響が変わらないんですよね。
だからか、そんな場合も直撃雷に分類されます。
“雷が直撃したのと同等の影響があるから直撃雷”とイメージすると良さそうですね。

直撃雷の場合はダイレクトに雷という高エネルギーが建築物に入ってくるわけですので、非常に高い電圧・電流が建物内の電気系統に掛かります。
その為、雷サージ対策をしていたとしても守り切ることは困難です。
車の衝突事故の備えとしてエアーバッグを用意してあるけど、余りにも激しい衝突事故の場合はエアーバッグが作動したとしても搭乗者を到底守り切れないでしょう?
それと同じで、直撃雷からは満足に守れないのです。
具体的には、コンセントに繋いである家電やPCなんかがぶっ壊れる可能性があります。
誘導雷
ある建築物の付近の別の建築物や樹木に落雷し、その落雷から引き起こされた誘導電流が引き起こす雷サージが誘導雷です。
直撃雷のように直接落雷の影響を受けるのではなく、建築物付近に落ちた雷が要因となった雷サージというわけです。
建築物や樹木に雷が落ちると、落雷地点周囲の空間磁界が変化します。
磁界が変化すると誘導電流が引き起こされるので、落雷地点付近の送電線や通信線に大きな電流・電圧が発生することになります。
この電流・電圧が別の建築物に入り込んでくるというわけです。
また、大きく磁界が変化しさえすれば誘導電流は発生するわけですので、落雷していなくても雷雲等の影響で誘導雷が発生するケースもあります。
誘導雷は副次的に引き起こされる雷サージなので、直撃雷と比較するとその衝撃自体は小さいです。
ただ、至る所にある送電線・通信線に誘導電流が発生する可能性がありますので、非常に広範囲に影響を及ぼすことになります。
逆流雷
ある建築物の付近の別の建築物や樹木に落雷して周辺の電位上昇が起こり、アース(接地)から別の建築物内に電流が逆流する雷サージが逆流雷です。
電流は、電位の高いところから低いところへ流れます。
なので、通常はアースに向けて電流が流れます。
なのですが、落雷地点は電位が上昇するので、落雷地点周辺に比べると相対的に電位が大きくなります。
すると、落雷地点周辺のアースからすると落雷地点のアースの方が高電位になってしまいます。
その結果、電流は電位の高いところから低いところに流れるというルールに則り、アース経由で電流が逆流してくるというわけです。
4.サージとノイズの違いについて
サージとよく混同されている用語としてノイズが挙げられます。
どちらも漠然としたイメージが「外部から入ってきて電気機器・電子機器に影響を及ぼす」という点が共通しているので、気持ちはわかりますけどね。
先程説明した通り、雷サージとは雷によって瞬間的に発生する異常な過電流/過電圧のことです。
ただのサージの場合、雷以外の何かしらの電気的要因によって瞬間的に発生する過電流/過電圧を指しているわけです。
異常な過電流/過電圧が掛かるので、影響を受けた電気機器・電子機器は絶縁破壊・誤動作・焼損・破損等に結びつきます。
サージ発生=電気機器・電子機器が破壊される恐れがあるという結びつきがあるわけです。
それに対して、外的要因で発生したノイズが電気機器・電子機器に影響を与えたとしても、破壊に結びつくことはありません。
程度としては、誤動作をしたり、メモリ内のデータを消失したりと言ったところです。
それはそれで厄介ではあるのですが、サージと比較するとノイズの影響は低めなんです。
これがサージとノイズの違いです。
5.雷サージへの対策
最後に、雷サージへの対策をいくつか挙げておきます。
回路的な専門的な対策については設計する機会があったら別途まとめるので、ここで説明するのは一般人向けの対策となります。
天候が雷の時はケーブル類は抜く
第1に、天候が雷の時はケーブル類はなるべく抜いておきましょう。
雷サージの種類は直撃雷・誘導雷・逆流雷の3種類でしたが、その影響の程度は違えど送電線や通信線経由で建築物に侵入してくるという点は共通してましたよね?
つまり、建築物に雷サージが入ってきたとしても、電気機器・電子機器と建築物が繋がっていなければ問題は無いのです。
なので、可能な限りケーブル類は抜いておくと安全です。
ケーブル類というと真っ先に思い付くのはコンセントに繋いだ電源ケーブルですが、LANケーブル・電話線・アース線なんかも対象です。
物理的な繋がりがあると不味いのです。
とは言え、避雷針の設置やら何やらで直撃雷でもない限りは電気機器・電子機器が破壊されるようなこともそうは無いので、どこまで対策するのかは個人にお任せします。
スマートフォンの充電ケーブルやPCの電源ケーブルくらいは抜いておいても良いのではないですかね?
ちなみに、まずあり得ない確率ですが、ケーブルを取り外している最中に雷サージが入ってくると普通に感電するので注意しましょう。
保護機能付きの製品を使用する
保護機能付きの製品を使用することも雷サージ対策として有効です。
例えば、電源タップには種類によっては雷サージ対策がされています。
先程の説明で「避雷針の設置やら何やら」と言った“何やら”の部分ですね。
他の“何やら”は『そもそも直撃雷に見舞われる可能性が低い』とかですね。
保護機能付きが良いと言っても、それで雷サージ対策が安全安心だというわけでもありません。
対策できる電流値/電圧値に限度はありますし、対策内容の都合上保護機能は一度のみの使い切りになっていることがほとんどです。
コストや自分の中での優先順位と照らし合わせて、採用するかどうかを考えましょう。
SPD(サージ保護デバイス)という建物内部の電気機器・電子機器を雷サージから保護する機器が有名なので、気になったら調べてみると良いかと思います。

以上、「雷サージ」についての説明でした。



