【電気部品・電子部品の解説】 トランスとは?変圧器とは? ~交流電圧を変換する最も一般的な部品~

電気電子
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

電気の仕事をしていると様々な部品を用いる機会が出てきます。
コイル・コンデンサ・IC・コンバータ・パワーサプライなどなど…名前は聞いたことあるけどイマイチ何なのか理解していないものもあるのではないでしょうか?
この記事では、そんな部品について基本からわかりやすく解説していけたらと思っています。
機械部品に関する記事も混ざってたりしますが、深く考えないでください。

分類するのが面倒だっただけです。

今回は、「トランス(変圧器)」についての説明です。

1.トランスとは?変圧器とは?

トランスとは、交流電圧を変換する部品のことです。
変圧器とも呼びます。

電圧を変換する部品自体は様々な種類があるのですが、最も一般的と言えるのがトランスです。

電気は発電所で作られ、電線を通って変電所を経由し、各家庭のコンセントに供給されています。
発電所で作られた電気は電送に多くのメリットを持つ三相交流になっています。

なのですが、一般家庭で使用されているような家電製品は単相交流のAC100Vで動作するものがほとんどです。
TVも冷蔵庫も洗濯機も、全部コンセントに繋いでいるでしょう?
コンセントにはAC100Vの単相交流が入ってきていて、それを基にして動作しているんです。
その為、一度変電所を経由して三相→単相に変換してから家庭まで送電する仕組みになっています。
このタイミングでAC100Vを作り出しているのがトランスです。

ちなみに、一般家庭ではせいぜいAC100Vしか使用しませんが、工場やビルなどの大規模な現場だとAC6600V以上の高電圧を取り扱うことがあります。
この場合も、変電所でトランスを用いて適切な電圧に変換し、送り出しています。
会社に家庭で見かけないようなゴツいコンセントがあった場合、それはAC200Vとかもっと高電圧を供給しているコンセントなのだと覚えておきましょう。

2.トランスの構造と原理

トランスによって変換する電圧に大小の差はあれど、基本的な構造と原理が変わることはありません。
イメージ図は以下のようになります。

図1

構造としては、鉄心(コア)に1次コイルと2次コイルを巻き付け、1次側のコイルに変換したい交流電源を供給しているだけです。
これだけで変圧ができるのです。

では、動作原理について説明していきますね。

1次コイルに電流が流れると、磁気作用により右ねじの法則に則った磁束が発生します。
ここで発生した磁束は、鉄心内を通ります。
すると、2次コイルと磁束が交わりますよね?
コイルには、鎖交する(交わる)磁束が変化すると起電力が発生して電流が流れる電磁誘導という現象が発生します。
その為、2次コイルには誘導起電力が発生し、右ネジの法則に則った向きに電流が流れるようになります

鎖交する磁束の変化に応じて電磁誘導で2次側に起電力が発生するので、1次側の交流電源の変化に合わせて2次側の起電力も変化します。
この電磁誘導という現象によって、1次側の交流電源を2次側にコピーしているとでも思ってください。

ここまでの説明では1次側の電圧をそのまま2次側に移しているようなイメージになっているかと思います。
ここからが重要で、1次側と2次側の電圧比はコイルの巻数に比例します
要するに、コイルの巻数を弄れば、昇圧(入力電圧を変換したら出力電圧の方が高くなること)も降圧(入力電圧を変換したら出力電圧の方が低くなること)も可能なんです。
ここがトランスの肝です。
トランスには昇圧トランスや降圧トランスという種類が存在しますが、究極的に言えば巻数比が異なるだけなのです。

1次コイルの巻数をN1、1次コイルに印加する電圧をV1、2次コイルの巻数をN2、2次コイルに誘起される電圧をV2とすると、以下のような関係が成り立ちます。

V1/V2=N1/N2
V1N2=V2N1

例えば、AC1000VからAC100Vを作りたいとしたら、N1:N2=10:1にすれば良いわけです。
コイルの巻数が多い方がパワーが上がりそうというイメージはつくかと思いますので、そこさえ意識しておけば関係式の分母と分子がごちゃごちゃになることは無いかと思います。

ちなみに、1次側と2次側で磁気エネルギーは変化しないので、1次側電圧×1次側電流=2次側電圧×2次側電流という関係が成り立ちます。
結果、1次側電圧<2次側電圧にすると1次側電流>2次側電流となり、1次側電圧>2次側電圧にすると1次側電流<2次側電流となります。

3.トランスの分類

トランスには、構造による分類と取り扱い電圧による分類が存在します。

構造による分類

先程説明したトランスの構造モデルは、内鉄型という種類のトランスです。
トランスの動作原理の説明によく使用されるのは見てわかりやすい内鉄型なのですが、外鉄型という種類も存在します。
もっと分類すると鉄心(コア)の形状によって様々な種類が出てくるのですが、大枠としては内鉄型と外鉄型に二分されます。

内鉄型は、その名の通りコイルが鉄心を覆うような構造になっています。
図1では、鉄心の外側にコイルが巻かれているでしょう?
なので、外鉄型は内鉄型とは逆で、コイルが鉄心で覆われるような形になっています。

具体的には、以下のようになっています。

図2

部分的には鉄心がコイルの内側を通っているわけですが、1つのトランスとして見ると鉄心は外側にあるでしょう?

取り扱い電圧による分類

トランスの構造による分類は内鉄型と外鉄型でしたが、トランスで取り扱う電圧によっても分類が存在します。
厳密には、高電圧を取り扱う場合は特殊な名称になっています。

分類は以下の通りです。

超高圧変圧器

11万V以上に対応。
発電所や変電所などで使用される。

特高変圧器

2万V~11万Vに対応。
工事現場などで使用される。

高圧変圧器

6,600V~2万Vに対応。
工場・病院・商業施設などで使用される。

4.トランスに関する小ネタ

後は、トランスに関する小ネタを何点か紹介しておきます。

トランスは回路の絶縁用途としても使用される

トランスは基本的に変圧する用途だと考えられがちですが、1次側と2次側の回路を絶縁する作用も重要視されています。

先程のトランスの構造を見ればわかる通り、1次側と2次側の回路は直接繋がっていない(絶縁されている)でしょう?
その為、1次側と2次側のどちらかの回路で異常が発生して大電流が流れたとしても、もう片側とは繋がっていないので二次被害を防ぐことができます。
そんな絶縁用途で使用されていることもあるのです。

コイルとトランスの違い

説明を見ていて思いませんでしたか?
『コイルとトランスって何が違うの?』と。

トランスにコイルを使用しているので、何か同じものだと感じますよね。
実際のところは、コイルの種類としてトランスが存在します

コイルには、電圧を変換する以外にも、ノイズを吸収したり、交流だけ妨げて直流はそのまま通すといった作用があります。
この内、電圧を変換する機能を使用している装置がトランスということになります。

以上、「トランス(変圧器)」についての説明でした。