【基礎から学ぶ基板】 プリント基板の層構成のイメージ図と関連用語

電気電子
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私たちの身の周りには、電気で動く製品が多々存在します。
そんな製品の機能は、内部に組み込まれている“プリント基板”というものによって決められています。
今回は、そんなプリント基板についての知識を、1から調べ直してわかりやすくまとめてみました。

今回は、「プリント基板の構成」についてまとめてみました。
情報量が多いものに関しては、本記事には簡単な意味を載せ、詳細はリンク先を参照する形式としています。

1.初めに

本ブログには私が気になった用語の意味を多々まとめています。
その中には、同じような意味の用語・関連する用語・上下関係にある用語などが存在します。
基本的にリンクで結びついているので順番に確認していただければ理解はできるようになっているのですが、相関図・イメージ図があった方がすんなり理解できるかと思います

ということで、本記事ではイメージ図を用いて簡単な解説を行い、用語をまとめて覚えられるように一工夫してみました

※ 用語の並び順は、「特殊記号」→「数字」→「アルファベット」→「ひらがな・カタカナ・漢字の読み仮名の五十音順」という並びにしています。

2.イメージ図と用語の説明

図1 プリント基板の層構成

CCL(銅張積層板)

積層板という硬化した樹脂材料プリプレグという接着剤を利用して銅箔を貼り付けた材料のこと。

CCLは、[Copper Clad Laminate]の略称です。
[copper(銅)]・[clad(被覆材)]・[laminate(積層)]なので、銅張積層板とも呼ばれます。
積層板に銅を張っている…その名の通り、プリント基板を積層するためのベースとなる板ということです。

ガラスクロス

ガラスの性質を持ったクロス(織物)のこと。
耐熱性・電気絶縁性・寸法安定性・引張強度などに優れた素材で、プリント基板のベース素材である積層板の材料であるプリプレグの母材としてよく使われている。

コア

多層構造(パターン層が複数ある構造)であるプリント基板を形成している銅張積層板のこと。

多層構造のプリント基板を作る場合、銅張積層板と銅張積層板を重ね合わせて構成します。
そうすれば、銅張積層板の表裏で二層、計四層のパターンが引かれた多層基板が出来上がります。
こうしてできた多層基板において、片面もしくは両面に銅箔が貼り付けられた銅張積層板のことをコアと呼びます
要するに、多層構造のプリント基板を構成する銅張積層板のことをコアと呼ぶのであって、銅張積層板のこと自体をコアと呼ぶわけではないというです。
なので、プリント基板の説明を眺めていて唐突にコア層という単語が出てきたら、それは多層基板における銅張積層板を指しているのです。

ちなみに、銅張積層板を接着させるための層はプリプレグを使用しているため、単純にプリプレグ層と呼びます。

樹脂

樹木から分泌される粘着性の樹液が固まった物質及びそれに似た人工物のこと。
前者を天然樹脂、後者を合成樹脂(プラスチック)と呼ぶ。

詳しくは以下の記事を参照。

積層板

プリプレグを複数枚積み重ねて加熱・加圧処理を施して綺麗に仕上げた樹脂材料のこと。
完全に硬化していて、電気絶縁材料や断熱材などとして使用されます。
プリント基板を構成する材料の一つとして有名です。

プリント基板は樹脂に銅箔を貼り付けたものという説明をよく見かけますが、ここで言うところの“樹脂”が積層板に当たります。
この積層暗にプリプレグを使って銅箔を加圧・加熱処理すると銅張積層板になります。
名称がそのまんまなんですよね。

ソルダーレジスト

プリント基板のパターンを覆うように塗られた耐熱性・絶縁性ありの緑色のインクのこと。
単にレジストと呼んでいることもあります。
基板によっては青色だったり赤色だったりしますが、一番安いのが緑色なので緑色が最も一般的となっています。

ソルダー=はんだ、レジスト=抵抗なので、はんだの付着に対して抵抗を持っている物質を指しています。
パッドやランドのような銅箔を露出させる必要のある部分以外にソルダーレジストを塗ることで、部品実装時に余計な部分にはんだが付着しないようにしています

ちなみに、絶縁していると言っても非常に薄い膜状になっているだけなので、金属で触れるのは控えるべきです。
また、ほこりや湿気といったストレスからもパターンを守る働きがあります。

熱硬化性樹脂

合成樹脂の一種であり、熱を加えると可塑性(力を加えると変形し、力を取り去っても元の形に戻らない性質)を持つ。
ただし、一度熱を加えると硬化して、再加熱しても硬化したままになる。

プリプレグ

プリント基板の成形に必要な絶縁性の接着剤のこと。
多層構造(パターン層が複数ある構造)であるプリント基板を作る際に、銅張積層板と銅張積層板を重ね合わせてくっつけるための接着剤として使用します

また、積層板に銅箔を貼り付ける際の接着剤としても使用します
そして、そもそも積層板はプリプレグを複数枚重ね合わせて加圧・加熱処理をして完全硬化させた材料を綺麗に仕上げたものを指しています

つまり、プリント基板はプリプレグばかりで構成されています。

プリプレグは絶縁性の高いガラス繊維で織ったガラスクロスや紙などの基材に熱硬化性を持った樹脂を含浸(がんしん)させて、加熱処理を施すことで半硬化状態になった樹脂材料のことです。
ガラスクロスと熱硬化性樹脂を積層した構造になっています。

加熱処理前は接着剤のように粘着性を持っているのですが、適切な加熱処理を行うことで常温だと粘着性を持たない半硬化状態にすることが可能です。
半硬化状態にした時以上のある一定ラインを超えた温度で加熱することで完全に硬化した状態にすることも可能なのですが、プリプレグはあえて半硬化状態にしています。
何故かと言うと、完全硬化した状態では再加熱しても硬化したままなのですが、半硬化状態だと再加熱すると溶融するからです
つまり、溶融させて、元の接着剤の状態に戻すことが可能なのです。

プリント基板

樹脂でできた絶縁性の板の上に電線の代わりに銅箔で回路を形成(プリント)することで小型化し、様々な電子部品を実装するための基板のこと。

表裏のみ使用する場合は銅張積層板のことを指しています。
銅箔で回路を形成するのに表裏の二層だけでは足りない場合は、銅張積層板を重ね合わせてプリプレグ(接着剤)で固めて多層構造にします。
四層構造が最も一般的。

詳しくは以下の記事を参照。

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以上、プリント基板の構成についての説明でした。